お墓の形の移り変わり①お墓の出現

能島孝志

能島孝志

安養院宝篋印塔(神奈川県鎌倉市・国指定重要文化財)
死者を葬る行為は、人間としての心情であり、
古くはネアンデルタール人の遺跡からも、
花を捧げ死者を葬送したものが発見されています。

日本でも縄文・弥生時代には甕棺(かめかん)墓と呼ばれる、
甕に遺体を納め埋葬することが広く行われていたことは、
これらの時代の遺跡から出土しています。

しかし、甕棺墓という表現ではありますが、
これらは遺体を埋葬するという意味合いが強く、
今日の故人を祀るお墓という意味とは
少し異なると考えるべきでしょう。

遺体を埋葬し、祀るという意味が確立して、
お墓と呼べるものが出現したのは
古墳時代になってからといえるでしょう。

しかし古墳時代に数多く造営された墳墓(ふんぼ)は、
天皇や権力者のものが大半で、
一般人の場合は、山腹に造られた横穴など、
共同墓地的なものがほとんどです。

仏教が伝来し、やがて貴族の中にも仏教が浸透すると、
在来の信仰とも混合され、葬送儀礼とも結びついて、
仏教の影響を強く感じさせるお墓が誕生してきました。

鎌倉時代になると、武士階級には五輪塔型、
宝篋印(ほうきょういん)塔型の墓石や、
塔姿(とうば)を模した石板塔姿の墓標が多く見られるようになります。

//////////////////つづく/////////////////

※思いのこもる美しい墓(株式会社六月書房発行)参照

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