宗教豆知識『仏教』③天台宗の歴史

能島孝志

能島孝志


【天台宗の歴史】

インド仏教は2〜3世紀に中国に伝わり、
独自の展開を見せてゆきます。

中国の風土に合った仏教を模索していた
智凱という傑出した僧は、
世俗を嫌って天台山に入り、悟りを開きました。

天台宗の名はこの天台山に由来しています。
日本においては平安初期、最澄(伝教大師)が
中国で学んで日本に持ち帰り、比叡山で広めました。

この有徳の僧、最澄に感銘を抱いたのが桓武天皇です。
最澄は天台宗の法門を学ぶため、
天皇に遣唐使としての派遣を願い出ます。

最澄が目指していたものは高遠な総合仏教であったことから、
法華円教(天台宗)、真言密教、達磨禅法、大乗菩薩戒とが、
唐で合わせて学ぶ対象とされ、
これが四宗融合として日本天台宗の特色となります。

最澄は帰国して後、開宗の許しは受けたものの、
最大の理解者であった桓武天皇の崩御や、
交流のあった空海との絶縁などの中、巡礼の旅に出ます。

そして、完全に独立した一宗としての
勅許を求めながら、822年に入寂したのです。

臨済宗の栄西、浄土宗の法然、
浄土真宗の親鸞、日蓮宗の日蓮といった、
後に各宗派を開くことになる傑出した高僧らも、
若き日には天台宗を学びました。

天台宗は後に円仁や円珍らによって発展するのみならず、
日本の仏教の発展に大きく寄与することになったのです。

霊園ガイド(六月書房発行)より

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