神話の中の「他界」③

能島孝志

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~前のコラムからの続きです~

「黄泉(よみ)の国」は「根の国」ともいわれ、
男神のイザナギの命と女神のイザナミの命が
日本(大八洲・おおやしま)の国づくりをしたとき、
イザナミが火の神(迦倶土神・かぐつちのかみ)を
生んだため亡くなって逝った死者の国です。

イザナミの命やスサノヲの命が支配する地下他界です。

妻の死を嘆いて、黄泉の国をたずねたイザナギが目にしたのは、
全身にウジ虫がわき頭髪から足先までに八つの雷神(いかづちのかみ)が宿る、
恐ろしいイザナミの亡骸(むくろ)でした。

黄泉の国から戻ったイザナギは「死の穢(けが)れ」を滌(あら)い清めるため
筑紫(つくし)の日向(ひむか)で「禊(みそ)ぎ祓(はら)い」をしました。

これが「死穢(しえ)」と「禊ぎ」の根拠で、
今日まで民族学・神道・仏教学・宗教学で、
お墓や葬儀などの「死穢」としてとても大きな影響を及ぼしています。

そして、ここでは死者の国、つまり他界へ生者が行ったり帰ったりできる、ということです。

『日本書記』には黄泉の国を「殯歛の処(もがりのところ)」としている文書もあります。

これは、お墓を考える場合にとても重要な意味があります。

「殯歛の処」は「殯宮(もがりのみや・ひんきゅう)・「殯屋(もがりや)」ともいわれ、
埋葬するまで遺体を一定期間、仮に安置する所です。

なお『古事記』には、イザナギの命が禊ぎをしたとき、
天照大神(あまてらすおおみかみ)・月読之命(つくよみのみこと)・
須佐之男之命(すさのおのみこと)の三貴子(さんきし)があらわれ、
それぞれ高天原(たかまがはら)・夜の食国(よるのをすくに)・海原を治めるよう命じました。

この海原が「常世国(とこよのくに)」です。

                     ~つづく~  

※日本人のお墓(小畠宏允著・日本石材産業協会発行)より

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