神話の中の「他界」②

能島孝志

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~前のコラムからの続きです~

「高天原(たかまがはら)」は
一つの例外をのぞいて「死後の世界」ではありません。
地上にあるこの世の「中つ国・なかつくに」
(豊葦原中津国・とよあしはらなかつくに)に対する
天上界の「天つ国・あまつくに」(天津神の世界)で、
天井他界といわれ、
天照大神(あまてらすおおみかみ)が治める
神々のすむ国です。

「常世国(とこよのくに)・妣(はは)が国」は、
海のはるか彼方にある理想的な
長寿のくにといわれる海上他界です。

『古事記』には、大国主命(おおくにぬしのみこと)とともに
日本をつくった少彦名の命(すくなびこなのみこと)が
国堅めを終わって帰っていった海原です。

また神武天皇(御毛沼命・みけぬのみこと)が
海上を渡り「常世の国」へ行き、
別の兄弟(稲氷命・いなひのみこと)は海原に入って
「妣(はは)の国」へ行った、という用例もあります。

「妣(はは)」とは「亡き母」の意味で、
ここでは玉依毘売命(たまよりひめのみこと・玉依姫)のことです。

『丹後国(たんごのくに)風土記』逸文(『万葉集』巻九)では、
浦島伝説の浦島が亀に乗って行った常世(とこよ)を
「蓬山(とこよのくに)」(蓬莱山・ほうらいさん)といいます。

これは中国の道教の影響を受けたもので、
「神仙(しんせん)」が住む不老長生の楽土のことです。

民俗学では沖縄の「二ライ・カナイ」(万物や霊魂の原郷)ともいわれ、
のちに仏教が入ってくると観音浄土の
「補陀洛山・ふだらくさん=補陀洛浄土)と習合します。

                     ~つづく~  

※日本人のお墓(小畠宏允著・日本石材産業協会発行)より

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