コラム
墓石の劣化と「吸水率」との関係
2009年8月2日 公開 / 2010年9月21日更新
今年の梅雨明けは例年になく遅く、
8月に入ったにもかかわらず
すっきりしない天気が続いています。
墓石は通常屋外に建立され
風雨にさらされる環境にあります。
それゆえに、石材が水を吸収する割合(「吸水率」)が
墓石の耐久性に大きく関係してきます。
もともと、石は水を吸収する性質を持っています。
地下水を汲み上げる際に、岩盤を地下深くまで
ボーリングを行うときれいな水が湧き出るといわれますが、
何層にも重なった岩盤がろ過機能を果たし、
気の遠くなるような年月を経て、
地上で降った雨水や雪解け水が
きれいな地下水となって生まれ変わります。
墓石に使用される御影石(花崗岩)も例外ではなく、
採掘されるまでは水を吸収し
自然のサイクルに沿ってその役割を果たして来ました。
墓石に生まれ変わってからもその性質は続きます。
御影石の内部は、様々な鉱物が
複雑なパズルのように構成されており、
それらの間にはわずかな隙間(細孔)が生じています。
この細孔率によって「吸水率」に違いが出ますが、
この隙間に水が浸透し、劣化の原因になります。
「吸水率」は百分率(%)で表され、
低いものでは0.1以下、高いものでは0,4以上と
石材により様々ですが、「吸水率」が低い石ほど
耐久性に優れているといえるでしょう。
水分が及ぼす影響としては、
しみ込んだ水分の凍結により、
繰り返し表面の組織が壊されることによる
「ひび割れ」や「変色」、「光沢の低下」などがあります。
日本は一年を通じて寒暖の差が大きく、
夏場は雨が多く、湿度も非常に高くなります。
墓石には硬度が高くて吸水性の低い日本の気候風土、
またお墓を建てる地域に適した石を
お選びいただくことをお勧めいたします。
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