“一緒に考えてくれる人”がいるだけで、動けることがあります
「片付けなきゃいけないのは、分かっているんです」
そんな言葉を、これまで何度も聞いてきました。
分かっているけれど、できない。
やった方がいいことも、いつかはやらなければならないことも、本人が一番よく分かっているのだと思います。
それでも動けないのは、なぜなのでしょう。
もしかしたら、
「片付ける=捨てる」
になっていることも、その理由の一つなのかもしれません。
まずは、友達になる
先日、知人と話をしていた時のことです。
90歳を過ぎたご家族が、片付けはもちろん、これからのことについても何も準備をしようとしない、という話になりました。
私は思わず、
「じゃあ、私がお話ししに行きますよ。私、お年寄り得意ですから」
と言いました。
もちろん、本当にお会いしたとしても、
「片付けましょう」
「これからの準備をしましょう」
と、いきなり言うつもりはありません。
まずは、お話をしてみたい。
どんな人生を歩んできたのか。
何が好きで、何を大切にしているのか。
そんなことを聞きながら、その方のことを知りたいと思います。
何かをさせようとする前に、まずはその人を知る。
初めましての方には、まずは友達になるような気持ちで向き合う。
そんな関係から始めることで、その方が本当に困っていることや、大切にしていることが、少しずつ見えてくるのではないかと思っています。
「捨てろと言わないから好き」
長くお付き合いしているお客様から、こんなことを言われたことがあります。
「小曽根さんは、捨てろって言わないから好き」
その方は、ご自分でもよくおっしゃいます。
「捨てないとですよね」
きっと、分かっているのです。
私も正直に言えば、もう少し手放せたら暮らしやすくなるのにな、と思うことはあります。
でも、今できないのなら、その方にとっては、今がその時ではないのかもしれません。
大切にしてきた物には、その人にしか分からない思いがあります。
周りから見れば不要な物でも、本人にとっては簡単に捨てられない物もあります。
だから私は、無理に捨ててもらうことが、片付けだとは思っていません。
できることなら、自分で納得して手放してほしい。
そう思っています。
背中を押すということ
「早く片付けた方がいい」
「元気なうちに始めた方がいい」
「家族に迷惑をかけないように準備した方がいい」
どれも、間違ってはいません。
でも、正しいことを言われたからといって、人はすぐに動けるわけではありません。
本人だって、分かっている。
分かっているけれど、できないから困っているのです。
そんな人に必要なのは、さらに正しいことを言うことではないのかもしれません。
「捨てなくても大丈夫ですよ」
「まずは、できるところから考えてみましょうか」
そんな言葉で、動けなくしているものを一つ取り除くことが、最初の一歩につながることもあります。
背中を押すというと、後ろから力を加えて前へ進ませるようなイメージがあります。
でも、無理に押したら、かえって動けなくなることもあります。
まずは、その人を知る。
話を聞く。
そして、その人自身が「やってみようかな」と思った時に、一緒に最初の一歩を踏み出す。
無理強いはしない。
でも、きっかけはつくる。
それが、くらととのスタンスなのだと思います。


