太ると食欲が抑制出来なくなるのは何故?
5300年前の人類も脂肪好き?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘5300年前の人類も脂肪好き?’という報告です。
アルプス山脈で発見された5300年前の男性のミイラ「アイスマン」は、高脂肪な食事を好んで食べていた可能性があることが、ユーラック研究所のミイラ研究機関に所属する研究者らによる研究から明らかになった。同氏らがアイスマンの胃の内容物を分析した結果、最後に食べたと考えられる食べ物の多くを脂質が占めていたという。1991年にイタリアのアルプス山脈の氷河で発見されたアイスマンは、「エッツィ」の愛称でも知られている。同氏らが今回、アイスマンの胃の内容物を詳細に分析した結果、アイスマンが最後に取った食事の約46%を脂質性の残留物が占めていたことが分かった。この結果について、同氏は「アイスマンが最後に食べた物に占める脂質の割合は、驚くほど高かった」と話している。
胃の中には野生のヤギやアカシカの肉、穀類、有毒な山菜が含まれていた。野生の肉は生または干した状態で食べていたと考えられた。また、有毒なワラビは寄生虫による消化管障害の治療として取っていたか、あるいは食べ物を包むために葉を使っていた可能性が考えられるという。同氏らは、アイスマンが高脂肪食を食べていたとは予想していなかったが、「アイスマンが生きていた環境の厳しさを考えると、こうした食事を取ることは理に適っている」と指摘している。
今回、同氏とともに研究を行った同研究所の別の研究者によれば、人間は、高気温や低気温の環境では急速に飢餓状態に陥ったりするため、エネルギーを失わないように十分な栄養の摂取が必要になるという。同氏は「アイスマンの食事には炭水化物とたんぱく質、多くの脂質が含まれており、高地での山歩きに適したエネルギー豊富な食事を取っていた可能性が考えられる。アイスマンは豊富な脂質が最良のエネルギー源となることを十分に認識していたようだ」との見方を示している。また、同氏らは「アイスマンの胃の内容物を分析することで、5000年以上前に欧州に住んでいた人たちの食習慣や調理法を明らかにする重要な手がかりを得ることができる」と話している。
5000年以上の人類が厳しい生活環境で生き抜くために理にかなった食事を摂っていたと言うことは驚きでもありますし、でも生存のために必要な手段をしっかり取っていたということに人類の知恵も感じます!