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高齢者の入院には注意?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者の入院には注意?’というお話です。
90歳女性のAさん。誤嚥性肺炎で救急外来に搬送され、入院となった。しかし、入院によるリロケーション(移転)ダメージでせん妄を来し、点滴を引き抜くなど問題行動を起こし始めた。安全のために身体拘束を行った結果、ADLが低下。入院のきっかけは軽い肺炎だったが、自宅に戻れず介護施設入所となってしまった。
入院は、それ自体がフレイルを生むリスクだ。加齢変化にベッド上での安静や治療に伴うリスクが加われば、様々な「害」が生じる。高齢者がベッドの上で動かなければ廃用症候群が進行する。不慣れな環境はせん妄を引き起こし、フレイルや転落しやすいベッド、硬く滑りやすい床も相まって転倒や骨折が起こる。転倒を防ごうと抑制を行えば、廃用症候群が進行する悪循環に陥る。
入院は高齢者の生命予後まで短縮する可能性が指摘されている。16のランダム化比較試験を集めたレビューでは、入院後6カ月までの死亡が1000件当たり240件であるのに対し、在宅医療では1000件当たり185件で、入院の方が予後が悪いと結論づけている。
*日経メディカルの医療関連コラムを抜粋し、一部改変
当クリニックでも高齢の患者さんが少し具合が悪くなるとご家族は自宅で診るの大変なので入院させてもらうことを希望なさることがあります。入院するとそれ以前よりも元気になるのでは?と錯覚している様です。でも、上述の様に入院してベットの上で安静にするということで早ければ2-3日でせん妄状態となり、認知症が一気に進行するということはよくあることです。ご高齢の方々は具合が悪くなっていくのが傍目には分かりにくいことは事実ですが、入院を要するほど悪くなる前にちょっとした異変を周りのご家族が早めに気付いてあげてなるべく入院しなくても済む方向に持っていくことが大事だろうと思います。