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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

減量後に食欲が増すのはなぜ?

2018年3月6日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

減量後に食欲が増すのはなぜ?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘減量後に食欲が増すのはなぜ?’という報告です。

 減量が成功した後に食欲が増したように感じるのは、ホルモンに変化が生じて食欲が増大するためであることが重症の肥満患者を対象としたノルウェーの研究で示された。こうした患者がカロリー摂取量を急激に減らすと胃から分泌されて食欲の増進に働く「グレリン」と呼ばれるホルモンの分泌量が増え、これが減量した体重の維持を妨げていることが分かった。

 グレリンは「飢餓ホルモン」とも呼ばれ、人類が飢餓を生き延びるために重要な役割を担ってきた。研究著者のノルウェー科学技術大学の研究者は「肥満の患者も治療にあたる医師も、減量すると空腹感が増すことを知っておくことが大切だ。今回の結果は、減量が続かずに脱落してしまう肥満患者が多いことの説明になる」と述べている。

 この研究は、減量開始前の平均体重が約125kgで、平均BMIが42.5を示す重症肥満患者35人を対象としたもの。対象患者にはまず、食事指導と心理カウンセリング、運動指導を中心とした3週間の入院プログラムに参加してもらい、2年間の追跡期間中に3週間のセッションをさらに4回受けてもらった。なお、対象患者には1日の摂取カロリーを体重に応じた必要摂取量よりも500kcal低い量に抑えてもらう様に指導した。

 その結果、対象患者の体重は減量プログラムを開始後3週間で約5kg、2年後には約11kg減少した。しかし、1年, 2年後には全ての患者が減量後に空腹感が増大したと報告しており、減量後の体重を維持できたのは5人に1人に過ぎなかった。さらに、ベースライン時と比べて4週後、1年, 2年後の時点でもグレリンの血中濃度が上昇していた。

 こうした結果について同氏らは「減量するとグレリン値が上昇したままになる一方で基本的な身体機能に必要とされるエネルギー量も減る。その結果、グレリン値が上がったことで失った体重を取り戻そうとする強いプレッシャーがかかり、激しい空腹感に抗う必要が生じるようになる」と説明している。

 減量後にリバウンドするというのはよく聞く話ですが、カロリー制限が継続できないのが最大の原因なのでは?と思っていましたが、どうもそれだけではなくグレリンも影響している様です。まあ、何れにせよ減量するのはなかなか大変なことであるのはいうまでもありませんので太らない様に気をつける事が一番大事かも?知れませんね。

18.3.5 冬鳥

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