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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

糖尿病患者では軽度な運動でも血糖値改善?

2018年4月7日

テーマ:糖尿病関連の報告

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

糖尿病患者では軽度な運動でも血糖値改善?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘糖尿病患者では軽度な運動でも血糖値改善?’という報告です。

 日本人の2型糖尿病患者では、50分間の軽度な運動を2週に1回行うだけでも血糖コントロールが改善するほか、軽度な運動に食事療法を併用すると減量にも有効な可能性のあることが、川崎医科大学の研究グループの検討で分かった。

 今回研究の対象は、2013年9月~2017年8月の間に運動プログラムに1回以上参加した外来の成人2型糖尿病患者49人と、年齢や体格指数(BMI)を一致させた同じ期間中に運動プログラムに参加しなかった同患者83人。運動プログラムは1回50分、運動強度は2~2.5METsと軽度で、専門家のもとで2週に1回開催した。プログラムは、まず10分間のストレッチを行った後、個々の身体強度や体重に合わせた軽度の運動をそれぞれ20分間行った。対象患者の運動プログラムの参加回数と食事療法の有無を確認し、血糖コントロール状況とBMIの変化との関連を調べた。

 その結果、HbA1c値が改善する確率は、運動プログラムに参加しなかった患者群と比べて1~2回参加した患者群では2.76倍、3回以上参加した患者群では4.17倍に上ることが分かった。また、BMIについては運動プログラムに参加すると低下傾向がみられた。

 また、全ての対象患者を運動療法と食事療法の有無で4群に分けて比較した結果、どちらも行わなかった群と比べて、運動療法または食事療法単独でもHbA1c値が改善する確率は高まったが、これらを併用した場合にはその確率は9.69倍に上昇した。さらに、運動療法と食事療法を併用するとBMIが低下する確率は2.17倍となった。

 以上の結果を踏まえて、研究グループは「2型糖尿病患者は、軽度な運動を2週に1回行うだけでも血糖コントロールが改善する可能性があり、食事療法と併用すると減量効果も得られるかもしれない」と結論づけるとともに、今回は後ろ向きの観察研究であったことから、前向き研究で再検証する必要性を指摘している。

 よくダイエット目的で運動するなら30分位しないと有酸素運動にならないので効果は低いなどとも言われていますが、今回の報告では2週に1回の運動でも血糖コントロールの改善が見られたというのは少し驚きです。糖尿病治療の原則は食事と運動ですが、毎日運動するとなるとハードルが高いですが自分ができる範囲で少しでも運動を心がけることが一番なのかも知れませんね。

18.4.6 桜

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