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十分な減量で糖尿病が寛解?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘十分な減量で糖尿病が寛解?’という報告です。
減量により12ヵ月で、試験に参加した2型糖尿病患者の約半数が糖尿病治療薬から離脱し、非糖尿病状態すなわち寛解に達したことが、英国・グラスゴー大学の研究者らが行ったプライマリケアでの集中的な体重管理の効果を検証した試験「DiRECT試験」の1年目の結果で示された。
2型糖尿病は生涯にわたり治療を要する慢性疾患とされる。これまでの研究で食事療法による糖尿病の持続的な寛解を評価したものはなかった。結果を踏まえて著者は、「2型糖尿病の寛解は、プラリマリケアのプラクティカルな目標である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年12月5日号掲載の報告。
DiRECT(Diabetes Remission Clinical Trial)試験は、スコットランドと北東イングランド)で実施された。対象は、過去6年以内に2型糖尿病と診断され、BMIが27~45で、インスリン治療歴のない20~65歳の患者であった。体重管理プログラムは、糖尿病治療薬および降圧薬の中止、食事全置換(825~853kcal/日の調整食を3~5ヵ月)、段階的な食物再導入(2~8週)、長期減量維持の構造化された支援により構成された。
試験開始後12ヵ月時点で、15kg以上の減量を達成したのは、介入群で36例(24%)、対照群はなし。糖尿病の寛解達成は介入群68例(46%)、対照群6例(4%)であった(危険率:19.7倍)。寛解達成は減量の程度によって異なり、体重が増加した76例では寛解達成者はおらず、0~5kg減量を維持している89例では6例(7%)、5~10kg減量した56例中19例(34%)、10~15kg減量した28例中16例(57%)、15kg以上減量を達成した36例中31例(86%)が寛解を達成した。平均体重は、介入群で10kg、対照群で1.0kg減少した。
なお、著者は研究の限界として、人種や民族の特徴として白人が多い地域であったこと、プライマリケアに限定しており、体組成の詳細は評価されていないことなどを挙げている。
今回の報告は十分な減量により糖尿病状態から寛解出来るというもしかすると初の報告かも?しれません。それも医学雑誌としては超一流のLancetに掲載されたものですからその価値も非常に高いと思われます。
ただ、報告の最後でも述べられていますが、あくまでもある意味、超肥満の人達も含む白人を対象とした試験であることもあり、一概に日本人にも当てはまるかと言われるとそれは少し疑問ではあります。日本人の場合は糖尿病の要因としてインスリンの分泌不全が関与していることが多いため、純粋な減量だけで糖尿病から寛解出来るかとそれには疑問符は残ります。しかし、今回の報告で厳密な食事制限により、糖尿病からの寛解の可能性が示されたことは非常に意義深いものと考えます。