Mybestpro Members

佐藤浩明プロは福島放送が厳正なる審査をした登録専門家です

市販薬の咳止めは効かない?

佐藤浩明

佐藤浩明

テーマ:薬剤の有効性

市販薬の咳止めは効かない?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘市販薬の咳止めは効かない?’という報告です。
しつこい咳を抑える風邪薬を探し求めている人に、残念なニュースだ。市販されているさまざまな咳止めの薬から米国で「風邪に効く」とされているチキンスープといった民間療法まで、あらゆる治療法に関して米国胸部医学会の専門家委員会が文献のレビューを行ったところ、効果を裏付ける質の高いエビデンスがある治療法は一つもなかったという。これに基づき同委員会は指針をまとめ、「風邪による咳を抑えるために市販の咳止めや風邪薬を飲むことは推奨されない」との見解を示した。
米クレイトン大学の研究者によると、数多くの米国人が風邪による咳に対して市販薬を使用しており、2015年の米国における市販の風邪薬や咳止め薬、抗アレルギー薬の販売額は95億ドル(約1兆700億円)を超えていたという。今回、同氏らはさまざまな咳に対する治療法の効果を検証したレビューを実施した。その結果、抗ヒスタミン薬や鎮痛薬、鼻粘膜の充血を緩和する成分が含まれる風邪薬に効果があることを示す一貫したエビデンスはなかった。また、ナプロキセンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬の試験データの分析からも、これらの効果を裏付けるエビデンスはないことが分かった。
 では、眠れないほどつらい咳にはどう対処すればよいのだろうか。同氏によると、1歳以上の小児に対しては蜂蜜にある程度の効果があることを示した複数の研究があるという。ただし、1歳未満の小児に蜂蜜は与えるべきではないとしている。また、成人の咳には亜鉛トローチが有効であるとの弱いエビデンスがあるが、使用を推奨するには不十分で、亜鉛には副作用もあるため注意が必要だとしている。このほか、チキンスープや鼻洗浄といった民間療法についても強いエビデンスはなかった。ただし、同氏は「お気に入りのお茶やスープを飲んで気分が良くなるなら、そうするべき」と話す。また、市販の風邪薬を試す場合、医師や薬剤師に相談することが望ましく、特に2歳未満の小児に薬を飲ませる場合にはかかりつけの小児科医に相談すべきだとしている。
 米国立ユダヤ医療研究センターの研究者は「休暇を取って安静にすることが必要だ」と助言している。水分摂取も咳の原因となる粘液を洗い流すのに有効だという。なお、頻繁に風邪をひく場合や咳が長引く場合は軽度の喘息や慢性副鼻腔炎などの疾患が隠れている可能性もあるため、医師に相談した方がよいとしている。
 確かに風邪で来院する患者さんが「市販の咳止めを飲んでいたのですけど良くなりませんでした」とよく言われます。それでは来院した際にはどうするのか?我々も一応、鎮咳作用のある薬剤や漢方薬を処方したりします。ただ、喉の痛みや発熱は意外に早く良くなりますが、咳症状は長引く事が多い印象を持っています。その様な時には上記薬剤を変更したり、気管支拡張作用を有する薬剤の追加や咳を引き起こす根本的な原因とも考えられる気管支の炎症やアレルギーを抑えると考えられる薬剤の投与も検討します。ただ、本来はいわゆる風邪薬は風邪に関連した症状を和らげるだけで治すのはご本人の体力や免疫力ですから日頃からの心がけが大事なのは言うまでもありません。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

佐藤浩明プロは福島放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼