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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

夜勤で腹部肥満リスク上昇?

2017年10月26日

テーマ:医療情報

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

夜勤で腹部肥満リスク上昇?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘夜勤で腹部肥満リスク上昇?’という報告です。
 夜勤で働く人は太りやすく、特に腹部肥満になりやすい可能性があることが、香港中文大学の研究者らの調査で分かった。夜勤をする人は世界中で700万人に上り、世界の労働人口の20%に当たると推定されている。また、腹部肥満は心臓病や糖尿病、脳卒中のリスクを高めることから、同氏らは公衆衛生上、重要な知見だとしている。
 同研究者らは、まず2017年3月までに公表されたシフト勤務パターンと肥満との関連を調べた観察研究を抽出。1999~2016年に行われた基準を満たす28件の研究を対象に解析を行った。
 その結果、夜勤をする人は全体的に肥満や過体重になるリスクが1.23倍になることが分かった。また、夜勤者は肥満の中でも腹部肥満になりやすく、そのリスクは1.35倍に上っていた。さらに、長期間にわたり夜勤だけで働き続けると、ローテーションで夜勤する場合に比べて肥満リスクが29%高まることも明らかにされた。
 この研究は夜勤と肥満の因果関係を証明するものではないが、専門家の一人、米ワシントン大学の別の研究者は「夜勤による睡眠の妨げが主な原因であることに疑問の余地はない」と強調。「人間の身体は食欲に関係するホルモンをリセットするため、夜になると眠るようにプログラムされている。そのため、眠るべき時に眠らないとこうしたホルモンのバランスが崩れて必要以上に食べてしまい、肥満につながると考えられる」と説明している。
 また、ある調査によると夜勤に合わせて睡眠スケジュールを調整している人は全体の3%に満たず、多くは十分な睡眠時間を確保できていない可能性がある。米ペンシルベニア州立大学の研究者も、夜勤は人間に従来備わっている概日リズムに影響を及ぼすことから、「できる限り睡眠不足は避けることが大切だ」と述べている。同氏は、夜勤をする人は身体に良い食品を食べたり、運動する機会が減りがちになることも指摘。解決策の一つとして、バランスの取れた弁当や間食を職場に持参するよう勧めている。
 実際の臨床の現場でも残業時間が多く、帰宅が遅い人たちが肥満になるというよりはシフトワーカーの多い職場の方が明らかに肥満の人たちが多い印象はあります。報告にもある様に睡眠時間の問題もあるのでしょうし、夜遅くそれなりのカロリーのものを食べることも多いようでそういう積み重ねが腹部肥満を招いているのでは?と思われます。仕事柄、シフトワークを避けられないのであればせめて食事に関しては細心の注意が必要であろうと思われます。

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