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コラム
味噌で高血圧・脳卒中予防?
2017年8月30日
味噌で高血圧・脳卒中予防?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科の・消化器科の佐藤です。今朝は‘味噌で高血圧・脳卒中予防?’という報告です。
日本人の食生活に欠かせない「味噌」を摂取すると、食塩含有量が多いにもかかわらず血圧上昇が抑えられ、脳卒中の予防効果をもたらす可能性のあることを、広島大学の研究グループがラットを用いた実験で突き止めた。研究グループは、発酵熟成の過程で産生される何らかの物質が食塩の作用を抑制している可能性を想定し、「塩分摂取量が多い日本人が長寿であるパラドックスを解明する一因となるのではないか」と述べている。
味噌は、昔から健康に良いものと考えられてきた。これまでの研究では味噌の摂取量が多いと乳がんや早期の前立腺がん、大腸・肝臓・胃がんなどになりにくい可能性が示され、基礎研究でもその効果が証明されている。一方で、味噌の摂取は食塩の過剰摂取につながる恐れがあるとされてきたが、最近では、味噌汁の摂取頻度と血圧の間に関連は認められないとする研究報告が示されている。
さらに、閉経後の女性では大豆イソフラボンを多く摂取すると脳卒中や心筋梗塞が抑えられることが示されているが、味噌の効果については明らかにされていない。そこで研究グループは今回、味噌の摂取による脳卒中への影響を検討するため、ラットを用いた実験を行った。研究グループは、脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP)36匹を用いて、(1)味噌由来の2.8%の食塩を含む餌(味噌群)と(2)同量の食塩を含む餌(高食塩群)、(3)0.3%の食塩を含む普通餌(低食塩群)を摂取させ、1日に3回、63日間観察し、歩行障害や異常がみられた場合には剖検してその原因を特定した。なお、このSHRSPは、低食塩群でも血圧は200mHgを超える。
その結果、3群を比べたところ、味噌群および低食塩群と比べて高食塩群では生存率が有意に低下していた。また、高食塩群では低食塩群よりも血圧が上昇し、早期から歩行障害などの脳卒中症状が現れたのに対し、味噌群の血圧は低食塩群との間に差はみられず、脳卒中による死亡率は低食塩群よりやや高かったものの有意差は得られなかった。さらに、高食塩群には大脳に大出血を生じたラットもあったが、味噌群と低食塩群には認められなかった。同研究者らは、動物実験の結果をヒトに応用するには慎重さが必要としながらも、「料理の味付けを食塩から味噌を含む発酵食品に代えることで、脳卒中の発症率がわずかでも下げられるのではないか。がんを減らし、生活習慣病を改善するには、昔ながらの『ご飯と味噌汁』の食生活を再評価することが有用かもしれない」との考えを示している。
世界遺産にも選ばれた和食...その一翼を担う味噌汁の主役である味噌には高血圧の主原因ともされる塩分を影響を打ち消すほどの効果がありそうです。先人たちの知恵...恐るべしです!
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