医師は変人なのか?
クララが立てなかった理由?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘クララが立てなかった理由?’というお話です。
『アルプスの少女ハイジ』の名場面といえば、一般的には50話でクララが立ったシーンが有名ですね。物語のクライマックス、クララは本当のところ立てるはずだと信じるハイジに罵られます。「クララのバカッ。何よ意気地なしっ。一人で立てないのを足のせいにして。足はちゃんと治ってるわ。クララの甘えん坊! 恐がり! 意気地なし!」
文字だけで見たらものすごい罵り様ですが、このハイジの後押しにより、クララはガンダムよろしく大地に立つわけです。クララが立てなかった理由についてはこれまでいろんな人が考察してきたようです。例えば、NHKの元「ためしてガッテン」の2012年放送回では、ビタミンD不足が指摘されました。
それはともかく、ビタミンD不足というのにはそれなりに説得力があります。ハイジの舞台になっている19世紀末の欧州では、工業化が進むと同時に大気汚染が深刻になり、紫外線量が少なくなっていたようです。これに伴いビタミンDの合成がうまくいかなくなっていたのではないかという説は、そうなのかもねと思わせるものがあります。それに加えて当時の栄養状況を考えると、カルシウムも不足して、くる病を発症していたのではないかと言われると、へぇ、なるほどなぁって感じです。山に行ってチーズ食べてカルシウム摂取しつつ日光浴したわけです。
最近知ったのですが、転換性障害のために立てなかったとする意見もあるようですね。心理的負担から、身体能力が無意識に制限されてしまう状態で、声が出なくなったり、立てなくなったり、歩けなくなったりしてしまうものです。これも、そうかもなと思わせるものがあります。アニメの中では、歩きたいと思いつつも、歩けないはずだと思い込んでいるような描かれ方をしています。歩いてしまうと構ってくれた皆さんから構ってもらえなくなるかもしれないというストレスでもあったのでしょうか。これはもう一度そういう目でアニメを見直さなくてはなりません……。宮崎駿ならそういうことも細かく描いているはず!
薬師寺 泰匡先生(岸和田徳洲会病院救命救急センター)のコラムを抜粋し、一部改変
アニメもこういう見方をすると深くなるかも知れませんね(笑)