健康長寿は何で決まる?
笑いが慎重投与になる場合?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘笑いが慎重投与になる場合?’というお話です。
「笑い」による健康増進は多くの人が気軽かつ比較的安価に実践できるのが強みだが、疾患を有する患者に「処方」する際、慎重投与が必要な場合もあるようだ。ただし、福島県立医科大学疫学講座の大平哲也教授は、多くの場合、運動が難しいようなケースでも安全に運動で得られるような効果が期待できるのはやはり「笑い」の強みと指摘する。
ところで、「笑い」を治療に取り入れる際に注意すべき有害事象はあるのか。米国の研究グループが慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者にユーモアを処方、あるいは「笑い」介入試験として面白い映像、または何の感情も引き起こさない映像を見せる群にランダム化割り付けし、試験前後の予後を比較。ユーモアによる介入では抑うつや不安の軽減、QOLの向上が見られた。ただし、「笑い」介入試験では肺の過度膨張が見られたと報告している。研究グループはCOPD患者へのユーモア提供で心理機能へのポジティブな影響とQOLの向上が確認された一方、大声で笑うことが肺機能の急性増悪を引き起こす可能性があると結論付けている。
また、2005年の米国胸部学会では「笑い」が喘息増悪の引き金となる患者が少なくないとの発表も行われていた。喘息患者235例のうち、56%が笑いを契機に喘息発作が起きていたそうだ。研究グループは「笑い」誘発喘息は症状コントロールの目安であり、喘息患者ももっと笑えるようにすべきと結論付けている。
「膝や腰が悪く、思うようにウオーキングや運動ができない人でも屋内で笑える映像や本を読んだり、笑いヨガなどを実践したりすることで、運動した時に近いエネルギー消費や健康増進効果が期待できる」と大平教授。実際に、健康な人だけでなく「笑い」を心血管疾患患者の心肺リハビリテーションに取り入れようとの動きもある。ブラジルのグループが最近、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた虚血性心疾患患者に30分間のコメディーまたはドキュメンタリー映像を見せ、心肺機能や代謝機能への影響を比較する小規模なランダム化比較試験を実施している。
日本でも最近、癌の当事者だけでなく、癌医療に携わる医療従事者が「笑い」の舞台を定期的に鑑賞することでそうでない場合に比べ、QOLや免疫機能、自己効力感がどう変化するかを検討する、ランダム化クロスオーバー試験が開始されたばかり。「笑い」のエビデンスが診療ガイドラインに採択される日も遠くないかもしれない?!
(取材・まとめ:m3.com編集部)
笑いはどんな人にでも処方可能かと思っていましたが、どうもそうでもない様ですね。でも、どんな人でも思い切り笑える様な健康状態は保ちたいものです!