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肺炎に関わる6つの事実?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「肺炎に関わる6つの事実?」というお話です。
日本呼吸器学会は新たに「成人肺炎診療ガイドライン2017」を作成した。この背景には何があるのか、現代の日本の肺炎診療を考える上で参考になる6つのファクトを紹介する(取材等:m3.com編集部)
1. 肺炎死因第3位に:戦前の日本人の死因は肺炎、胃腸炎、結核といった感染症がほとんどであったが、抗菌薬の開発で大半の感染症は激減。しかし、肺炎だけが再び日本人の主要な死因として復活。2011年には脳血管障害を抜いて3位に上昇した。「1960年頃から脳血管障害による高齢者の死亡数は減り続けている一方、肺炎による死亡は横ばい」とされている。
2. 肺炎死、高齢者の割合「96.8%」:日本における肺炎死亡者数に占める65歳以上の高齢者の割合は96.8%。若い人も肺炎にかかるが、ほとんど死亡せず、肺炎で亡くなるのは高齢者とされており、高齢者の増加に伴い年間死亡者数は増え続けており、65歳以上の高齢者は8割以上を占める。
3. 肺炎死のリスクは「耐性菌」よりも「誤嚥性肺炎」で急上昇:高齢者肺炎の多くは誤嚥性肺炎であることも分かってきている。全国調査では全肺炎入院患者の60%強を誤嚥性肺炎が占め、50歳以降、加齢とともに急激に上昇し、70歳以降ではほとんどを占める。
4. 終末期の評価指標は「生存率改善」が最適とは限らない:高齢者を対象とした報告によると、終末期に胃瘻や人工呼吸器、心肺蘇生、抗菌薬の強力な使用を「希望しない」と答えた割合は9割前後で、米国の介護施設入所者を対象とした研究では、肺炎への抗菌薬投与が無治療に比べ、死亡率を約80%減少させたが、認知症患者の安楽さは無治療に比べ、悪化したとの結果も報告されている。
5. 2011年、医療・介護関連肺炎から「重症度判定」外れる:院内肺炎の多くに誤嚥性肺炎や疾患終末期、老衰が含まれること、こうした患者への強力な治療が時に必ずしも有益なことだけではないと考えられるケースが少なくないとの倫理的な配慮を踏まえた考え方だ。
6. 「専門医が主治医となった治療」でも予後改善は難しい:高齢者肺炎では必ずしも呼吸器専門医を主治医とする必要はないが、寝たきりと栄養状態良好など、本人の状態が予後に大きな影響を与えると考えられ、チーム医療・ケアの重要性が示唆されている。高齢者肺炎は原因菌をたたくだけでは治癒が困難で新規抗菌薬の開発や医療の発展が高齢者肺炎にあまり恩恵を与えていない可能性があることは、広く認識されていくべきと考えられる。
以上の様に超高齢化した日本で肺炎が死亡原因の3位となった背景には色々な要因があるようですが、治療に関してもただ積極的に治療すれば良いという状況でも無いようです。元々、抵抗力や免疫状態が悪化している状況で肺炎になるわけですからある意味では老衰にも近い状況であり、そこに医療が介入するに際しては倫理的な配慮も必要にすらなってきているということの様ですね。今後益々この様な問題は頻発するでしょうから我々医療従事者も真摯に考える必要がありそうです!