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卵はどれだけ食べても大丈夫?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「卵はどれだけ食べても大丈夫?」というお話です。
2015年に、「日本人の食事摂取基準」が改訂され、従来定められていたコレステロールの食事摂取基準が撤廃された。これは、食事によるコレステロール摂取量と血中コレステロールの相関を示す証拠が十分でない、つまり、コレステロール摂取量を制限しても、血中コレステロール値の下がり方に個人差が大きいためだ。
では、脂質異常症患者も、卵を好きなだけ食べてもよくなったのだろうか。結論から言うと、日本動脈硬化学会は、脂質異常症といった冠動脈疾患の発症リスクが高い人はLDLコレステロール値を目標値以下に下げる必要があり、これまで通りコレステロール摂取を制限することを推奨している。特に、高LDLコレステロール血症患者はコレステロール摂取量を1日200mg以下(卵1個程度)に抑える必要がある。
コレステロールの摂取制限が撤廃されたのは、あくまで健康な人であり、高LDLコレステロール血症患者には当てはまらない点に注意したい。コレステロールが多く含まれている卵の摂取量と冠動脈疾患のリスクを検討した結果、1日当たりの卵消費量が1個増えるごとの相対リスクは0.99倍と、相関は全くなく、致死的な冠動脈疾患についても相関がない。しかし、冠動脈疾患のリスク因子の1つである糖尿病患者に限定すると、卵消費量が最も多い群の最も少ない群に対する相対リスクは1.54倍となり、有意な関係が認められ、リスク因子を有する患者ではコレステロール摂取量に注意が求められるといえる。
日本で約5万人の脂質異常症治療薬の投与患者を対象に実施された研究結果を見ると、総コレステロール値が最も低い群での死亡率が最も高く、反対に180~259mg/dLが最も低かった。しかし、これは「因果の逆転」で、コレステロール値が低いから死亡したのか、あるいはもともと死亡リスクの高い人でコレステロール値が低かったのかの判断は難しい。千葉大学の横手教授は、「LDLコレステロール低下による死亡増の懸念は、他の研究結果から否定されている」と言う。同氏は「LDLコレステロール値を下げたら死亡が増えるという懸念は、これまでの様々な研究結果から否定されている」と断言する。上記の結果については「癌や肝硬変などの患者はコレステロール値が低くなるので、そうした疾患の患者が隠れていた可能性などを考慮して、解釈する必要があるだろう」と続けている。
*NIKKEI DRUG INFORMATIONの記事より抜粋し、一部改変
一時期、上記の様な「コレステロール低下不要論?」が週刊誌等で取り上げられ、脂質異常症薬が悪者にされ、叩かれていた時期もありました。また、その様な報告を某学会がマスコミ等への影響も考えず、不用意にしたことも格好のネタにされたのもある意味では某学会の見識のなさも問題となりました。治療薬には病気の予防という側面とある意味、副作用を含めた負の側面を併せ持っています。その負の側面が取り沙汰されると薬剤は全てが悪者になる可能性もあります。兎角、最近のマスコミは医療タタキが横行していますので皆さんはそれに踊らされることなく、信頼出来る医療関係者の意見を聞くことが大事かも?知れませんね(笑)