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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

社会経済的地位で将来が予測可能?

2017年3月8日

テーマ:医療コラム

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

社会経済的地位で将来が予測可能?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「社会経済的地位で将来が予測可能?」という報告です。
世界保健機関(WHO)は、非感染性疾患の管理推進運動において、7つの修正可能な危険因子(高用量のアルコール摂取、身体的不活動、喫煙、高血圧、ナトリウム摂取、糖尿病、および肥満)を目標にした。低い社会経済的地位は、世界中で病的状態および早期死亡を強力に予測するが、国際的には修正可能な危険因子として認識されていない。社会経済的地位の死亡率への関与を評価するために、研究者らは、48の研究からの患者レベルのデータを統合した。所得が高い7ヵ国の170万人が、社会経済的地位(職業に基づいて低所得、中所得、高所得と規定した)、WHOの危険因子、および死亡率に関する情報を提供し、参加者らは平均13.3年間のフォローアップを受けた。
全死亡率は、社会経済的地位の低い人々のほうが社会経済的地位の高い人々より高かった(危険率は、男性が1.42倍、女性が1.34倍)。差はWHOの7つの危険因子で補正したあとも有意なままであった(危険率1.26倍)。がん、心血管疾患、およびその他の原因による死亡率の差も同様であった。社会経済的地位に起因すると考えられた集団の過剰な死亡率の比は、喫煙、身体的不活動に続いて3番目に高かった。低い社会経済的地位は、40~85歳において余命の2.1年間の短縮を伴い、高用量のアルコール摂取、肥満、および高血圧より大きかった。
低い社会経済的地位の死亡率に対する有害な影響は、認識されているその他の危険因子を部分的に介しているが、それで完全に説明されるものではないようである。著者らは、比較的恵まれた人々がより多くアクセスする個々人への臨床面での救済策(例、禁煙支援)と併せて、公平な社会的救済策(例、早期小児教育、健康な食品、およびプライマリケアへのアクセス)を適用することにより、社会経済的地位を修正可能な危険因子として目標とすべきである、と主張している。
この報告は日本でも当然、当てはまりそうです。米国ほどではないにしろ、日本でも社会経済的な格差がかなり進んできており、今後さらに強化される可能性が危惧されます。ただ、報告の最後でも述べられているように今後は日本においてもさらなる貧困の連鎖を繰り返さないためにも社会的な救済措置によってこれを修正可能な危険因子にするような国家的な政策が望まれる段階に入ってきたのかも?知れませんね...
      
17.3.7 梅?
 昨朝の通勤路で見つけた光景。まだまだ寒い日が続きそうですが、春は確実に近づいている様です!

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佐藤浩明

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