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恐竜も痛風に苦しんでいた?
おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「恐竜も痛風に苦しんでいた?」というお話です。
今から6,500万年以上前、肉食恐竜のティラノサウルスが痛風に苦しんでいたことをご存じですか?シカゴのフィールド自然史博物館には、世界で最も有名と言われる「スー」と名付けられたティラノサウルスの化石があります。この「スー」の右手指の骨には、骨の一部が丸く溶けるという痛風の痕跡が認められています。原因は解明されていませんが、赤身肉などの高プリン食の摂取が原因と考えられています。
しかし、肉食動物はすべて痛風かというと、そうではありません。トカゲや亀、ワニ類は痛風になることが明らかになっています。しかし、肉食動物であるライオンは痛風にはなりません。この違いは何によるものなのでしょうか。それは「ウリカーゼ」という酵素の存在によります。ヒトを含む霊長類や爬虫類にとって、プリン体の最終分解産物は尿酸です。しかし、霊長類以外の哺乳類は、尿酸をウリカーゼで酸化し、水溶性の高いアラントインという物質にまで分解します。このため、人間のように排泄しきれなくなった尿酸が結晶となって関節にたまり痛風の症状として出る、といったことは起こりません。
太古の時代にはヒトもウリカーゼを保有していたといわれていますが、進化の過程で失われたということです。太古の時代、地球の王者であった恐竜は、ウリカーゼを保有しておらず、現在の王者である人間もウリカーゼを保有していません。これは偶然なのでしょうか。王者は、次の王者に痛風という病も継承したのかもしれません。
痛風はよく贅沢病などと言われ、実際に痛風で苦しむ患者さんは肥満体型の方が多い様に思われます。以前は尿酸値が高いだけで痛風の発作が起きない患者さんはあまり治療もされていなかったかも知れませんが、最近では腎機能低下のみならず心血管疾患の原因の一つにも数えられるようになり、当クリニックでも積極的な治療の対象としています。