必要な「家族会」がいつしか誤った方向へⅠ
ーーはじめにーー
ひきこもりの改善は、
今日の一手で急に
結果が出るものではありません。
長年積み重ねられた
家庭の日常を変えるには、
小さな布石を打ち続ける
覚悟が必要です。
信頼は、一日では築けない
「信頼を築く」とよく言います。
けれど、信頼とは、
今日ひとつ何かをしたから、
明日すぐ返ってくるものでは
ありません。
何事も、積み重ねがあってこそ、
それなりの結果が現れます。
今日の一手が、
いつ何につながるのかは
分かりません。
しかし、確かなことがあります。
今日の一手は、
いつか必ず何かにつながります。
だからこそ、布石を打つのです。
布石を打たなければ、
成果が出る根拠そのものを
作ることができません。
「やってみたけどダメでした」
で終わらせていないか
ご相談の中で、
よく聞く言葉があります。
「今日、言われたことを
やってみたのですが、ダメでした」
「ムダでした」
「何度言っても動きません」
気持ちは分かります。
親御さんも苦しんでいます。
焦りもあります。
けれど、ここで一つ、
厳しく見なければならない
ことがあります。
今日の一手の結果を、今日のうちに
求めていないでしょうか。
一度やって反応がなかった。
二度伝えて動かなかった。
それで「意味がなかった」と
結論を出してしまう。
これは、ひきこもり支援において、
とても危うい見方です。
ひきこもりは、生活習慣病のようなもの
不登校やひきこもりは、
ある日突然、何の理由もなく
起きるものではありません。
もちろん、きっかけはあります。
傷ついた出来事、学校でのつまずき、
人間関係の苦しさ、
トラウマのような体験が
関係していることもあります。
しかし、それだけではありません。
長年の家庭の日常。
親子の関わり方。
言葉の積み重ね。
家庭の空気感。
問題に気づかず、
そのままにしてきたこと。
そうしたものが積み重なって、
今の現象として
表れている場合があります。
ひきこもりは、
生活習慣病のようなものです。
長年の習慣によって生じたものは、
短期間では変わりません。
衣服に染みついた臭いが、
少し洗っただけでは取れないように、
家庭に染みついた習慣も、
簡単には抜けないのです。
リモコンのように、子どもは変わらない
10年近くひきこもっていた
わが子に対して、
「半年ぐらいで治りますか」
と尋ねられることがあります。
また、5年、6年と
ひきこもっていた状態から
働きかけを始め、
1年ほどで思うように変わらないと、
あっさり諦めてしまう
親御さんもいます。
ここにあるのは、
今の現象だけを見ている姿です。
長い時間をかけて
ここまで来たにもかかわらず、
変化だけは短期間で求めてしまう。
まるでリモコンを押せば、
すぐに画面が切り替わるように。
一手ですべてを変えようと
してしまうのです。
しかし、人の心も、家庭の空気も、
そんなふうには変わりません。
小さな布石を軽く見てはいけない
成果を出すためには、
小さな積み上げが必要です。
ところが、
その意味が分からないでいると、
せっかく打った布石を
自分で無駄にしてしまいます。
少しやって反応がない。
だからやめる。
何度か試して変化が見えない。
だから諦める。
それでは、成果が出る前に、
親の側が道を閉ざしている
ことになります。
過去には、
途中で勝手に諦めてしまい、
数年後に、逆にわが子から
せっつかれるような形で、
再び相談に来られた
ご家族もありました。
その時には、
数年前に積み上げかけていたものを、
もう一度積み上げ直すところから
始めなければなりませんでした。
これほどもったいないことはありません。
(続く)
まとめ
- ひきこもりの改善は、今日の一手で即座に結果が出るものではない
- 不登校やひきこもりは、長年の家庭の日常や習慣の積み重ねとして現れることがある
- 一度の働きかけで変わらないからといって、無駄だったとは言えない
- 親が途中で諦めると、積み上げてきた布石を失ってしまう
- 大切なのは、結果を急ぐことではなく、成果の根拠を作り続けること
わが子が変わらないと感じた時ほど、
親が見るべきものは
「今日の反応」ではありません。
これまで何を積み重ねてきたのか。
これから何を積み重ねるのか。
まずは、今日できる小さな布石を
一つだけ見直してみてください。


