第8回:スタッフを“動かす”リーダーの言葉力

店長になると、毎日のように売上を確認します。
売上が目標に届かなかった日は、
「なぜ売れなかったのだろう。」
「競合店の影響かな。」
「天気が悪かったからかな。」
と、原因を考えることが多いでしょう。
これは店長として当然のことです。
しかし、私がモスバーガーで店長をしていた頃、オーナーから言われた言葉は意外なものでした。
「なんで売上がいいんだ?」
最初は意味が分かりませんでした。
「売上が良いのだから問題ないのでは?」
そう思っていたのです。
しかし、この言葉には、店長として最も大切な考え方が隠されていました。
売上が悪い理由より、良い理由を探せ
売上が悪いと原因を探す人はたくさんいます。
ところが、売上が良かった日に、その理由を真剣に分析する人は意外と少ないものです。
例えば、
「今日は忙しかったね。」
「ラッキーだったね。」
そんな一言で終わってしまうことはありませんか。
しかし、本当に優れた店長は違います。
「なぜ今日は売上が良かったのか。」
「何が成功したのか。」
「次も同じことができるのか。」
そこまで考えます。
私自身、この考え方を教わってから、店舗の見方が大きく変わりました。
オーナーから教えられた
「売上が良い時ほど、その理由を考えなさい。」
という言葉は、今でも私のマネジメントの原点です。
成功には必ず理由がある
売上が良かった日は偶然ではありません。
必ず理由があります。
例えば、
・接客がいつも以上に良かった
・おすすめ商品の提案が増えた
・スタッフ同士の連携が良かった
・天候と商品の相性が良かった
・店内の雰囲気が明るかった
このように、一つひとつを振り返ることで、「再現できる成功」が見えてきます。
反対に、「たまたま忙しかった」で終わらせてしまうと、同じ成功を二度と再現できません。
店長の仕事は、成功を偶然ではなく「仕組み」に変えることなのです。
成功を共有すると、チームはもっと強くなる
もう一つ大切なのは、成功を店長だけのものにしないことです。
「今日は○○さんの笑顔が良かったね。」
「おすすめ商品の案内が自然にできていたね。」
「みんなの連携が素晴らしかった。」
このように成功の理由をスタッフと共有すると、
「自分たちの頑張りが評価された。」
という喜びが生まれます。
その積み重ねが、自信となり、お店全体の成長につながっていきます。
数字だけを伝えるのではなく、
「なぜ良かったのか。」
を一緒に考える時間を持つことが、店長には求められます。
私が今でも続けていること
私はこれまで店舗支援や販売応援の仕事で、多くの店舗を訪問してきました。
一日の終わりには、
「今日はなぜ成果が出たのか。」
「お客様はどんな言葉に反応されたのか。」
「どの説明が購入の決め手になったのか。」
このような振り返りを必ず行っています。
成功を分析する習慣は、店長時代から現在まで変わることはありません。
どんな仕事でも、この習慣が成長につながると確信しています。
今日からできる実践ポイント
・売上が良かった日は必ず理由を書き出してみる。
・成功したスタッフの行動を具体的に伝えて褒める。
・数字だけではなく、「なぜ」を考える習慣を持つ。
・成功事例をチーム全員で共有する。
店長は、失敗から学ぶことも大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、成功から学ぶことです。
成功の理由を分析できる店長は、同じ成果を何度も再現できます。
そして、その積み重ねが「強いお店」をつくっていくのです。
次回は、「店長が磨くべき率先垂範力」をテーマに、リーダーは言葉ではなく行動で示すことの大切さについてお話しします。
本連載について
本連載は、私の著書『新米店長の道しるべ―16年の失敗と成功から学ぶ』をベースに、現場で新たに得た経験や生成AI時代のマネジメント・マーケティングの視点を加えながら再構成しています。20年以上にわたる店舗運営の経験が、店長やリーダー、経営者の皆さまの実践に少しでもお役に立てれば幸いです。
著書紹介
『新米店長の道しるべ―16年の失敗と成功から学ぶ』では、20年以上の店舗運営と16年間の店長経験をもとに、現場で培ったマネジメントやマーケティングの考え方を実例とともに紹介しています。理論だけではなく、実際の失敗や成功から得た「現場で使える知恵」をまとめた一冊です。
新米店長の道しるべ16年の失敗と成功から学ぶ
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