「ちょっと気になる」は、気になって仕方ない。

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:心のあり方のヒント

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最初は、ほんの小さな違和感

何かが気になる。

たとえば、
部屋の隅の小さな汚れ。

「あれ?こんなのあったっけ?」

……ところが、
一度気がつくとダメ。

近づいて見る。
しゃがんで見る。
ちょっと離れて見る。
角度を変える。

……急に、かなり気にスイッチオン。

さっきまで存在すら知らなかった汚れが、
今では部屋の主役。

なんなら、
こっちを見ている気までしてくる。

汚れ一個で、捜査が始まる

「何だろう、これ?」

「いつから?」

「何がついた?」

拭く。
落ちない。

もう一度拭く。
落ちない。

洗剤を持ってくる。
それでも落ちない。

ここまで来ると、
ただの汚れじゃなくなる。

事件にかわる。

……単なる汚れが心を占領する。

ただの汚れ。
なのに、頭の中では現場検証が始まる。

「この位置からすると……」
「昨日はなかった気がする……」
「となると……」

名探偵〇〇、爆誕。

何の事件だ。
犯人は誰だ。

私は今、
汚れと戦っているのか、
自分の想像力と戦っているのか。


メール一通でも、同じことが起きる

返信がない。

最初は、

「あれ、まだかな?」

くらい。

少し経つ。

「忙しいのかな?」

さらに経つ。

「何か気に障ること、書いたかな?」

もっと経つ。

「もしかして……」

ここから先は、
もう危険区域。

たった一通の返信から昨日の会話。

先週の会話。
数年前の会話。
全部を引っ張り出してくる。

脳内で、
過去の発言が再放送され始める。


しかも、字幕付き。

「あのときの、あの言い方……」
「もしかして、あれ?」

……ただ、まだ返信がないだけ。

返信がないだけなのに、
勝手に人間関係の最終回まで進めてしまう。


気になると、話が勝手に育っていく

小さな違和感は、
そのままなら小さい。

ところが、
頭の中に入れた瞬間から、

「あれ?」

が、

「もしかして?」

になり、

「ひょっとして?」

になり、

最後には、

「やっぱり、そういうことか」

に水面着地。

……何が「そういうこと」なのか、
本人もよく分かっていない。

ただ、話だけは立派に完成。

事実は一つ。
想像は、勝手に増築。


しかも、増築費用は無料。

だから困る。

気になることがあると脳は妙に働く。

働かなくていいところまで、
ものすごく働く。

小さな違和感は、小さいままで見ておく

気づくこと自体は悪くない。
むしろ、気づけるのは大事。

ただ、
その先まで、
勝手に決めなくていい。

汚れなら、まず拭いてみる。
返信なら、もう少し待つ。

それで済む話を、
推理小説にしない。

小さな違和感ひとつで、
脳内にナイアガラ瀑布を造らない。

雨が降っているだけなのに、
「洪水かもしれない」と思い始めると、
もう止まらない。

……まあ、
本当に洪水のときは逃げたほうがいい。

そこは別の話。

気になる。
考える。
また気になる。

その間に、

事実より先に、
想像だけを走らせない。


小さな汚れは、
小さな汚れのまま。

返信がないなら、
返信がないだけ。

話を大きくするのは、
事実が増えてからでいい。

そのくらいが、ちょうどいい。

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鎌田千穂
専門家

鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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