この時この瞬間が人生の本番の初日
夏の夜。
静かな部屋。
音がする。
……気のせいかな。
音のした方向を見る。
……何もいない。
もう一度見る。
……いない。
視界の端を、
黒い何かが横切った。
……消えた。
完全にステルスモード。
全身が、レーダー探知機と化す。
そして正体判明。
カサカサカサ。
……いた。
黒光りしてそこに居座る。
そう、頭文字「G」の昆虫。
( ̄▽ ̄;)
……お前か。
見つかった途端に走る。
秒速で走る。
壁も登れる。
隙間にも入れる。
その上、飛ぶ。
……機能、盛りすぎ。
しかも、こっちに向かって飛んでくる。
……それはもう攻撃。
こっちは丸腰。
殺虫剤。
どこ???
スリッパ。
遠い!!!
新聞紙。
取ってない!!!
段ボール。
どうするんじゃ???
……戦力差がすごい。
Gを見失う
これが一番困る。
さっきまで、確かにいた。
なのに、いない。
どこ行った?
カーテン。
怪しい。
家具の下。
怪しい。
壁。
怪しい。
部屋の隅。
かなり怪しい。
カサ。
「G?」
風。
「G?」
何か落ちる。
「G?」
もう、家の中で起こること全部G。
さっきまで癒しの部屋。
いつの間にかG捜索大本部。
駆除するまでが長い夜
見つからない。
これが一番困る。
電気を消せない。
寝られない。
ベッドに入っても、
「もし今、足元にいたら……」
と思う。
天井を見る。
壁を見る。
床を見る。
もう一度見る。
……いない。
でも。
駆除できていない。
……これが大問題。
そして、私のメンタル戦闘態勢
そして翌朝。
……カサ。
……おったんかい。
昨夜、
あれだけ探したのに。
……まだ駆除できていない。
朝から気分が悪い。
家賃を払っているのは私。
掃除しているのも私。
なのに、
G一匹で、
家の治安が崩壊。
しかも、
朝から私の機嫌まで崩壊。
人のこころ、
ちょっとしたことでコロコロ変わる。



