何もしない日は、何もさせてもらえない。
目次
酒を飲む。
酔う。
そして翌朝。
「昨日、私なんか変なこと言ってないよね?」
……言いました。
かなり。
( ̄▽ ̄;)
しかも、
昨日のあなた、思った以上に口が軽い。
酒が入ると、急に自分の広報部になる
普段は、
「いやいや、私なんて全然ですよ。」
「みなさんのおかげです。」
「そんな大したことじゃないです。」
なんて言っている。
ところが。
飲む。
一杯。
「いや〜、今日は楽しいね。」
まだ普通。
二杯。
「実は俺さ……」
……「実は」が出た。
この時点で、もう怪しい。
三杯。
「俺が一番頑張ったんだよ。」
出た。
自己評価、急上昇。
昼間は謙虚。
夜は、
自分の功績を自分で表彰。
誰も表彰状を頼んでいない。
さらに飲むと、過去の自分が盛られ始める
「昔はめちゃくちゃモテた。」
……出た。
過去の栄光、再放送。
しかも、
再放送なのに、
前回より話が大きくなっている。
「昔はさ、結構モテたんだよ。」
↓
「若い頃は、かなりモテた。」
↓
「俺、昔はモテすぎて大変だった。」
……誰か止めてあげて。
本人の記憶の中で、
過去がインフレしている。
次は、謎の人脈が出てくる
さらに飲む。
「実は俺、○○さんと知り合いでさ。」
……はい。
人脈の時間です。
誰も聞いていないのに、
突然始まる。
「あの人知ってる?」
「知り合いだよ。」
「この前も会った。」
「昔から付き合いがある。」
……人脈だけ、政界の派閥争い。
さっきまで、
普通の会社員だったのに。
酒を飲んだだけで、
急に顔が広い。
そして、誰にも頼まれていない本音が出る
さらに飲む。
「俺さ、本当はずっと思ってたんだけど……」
始まった。
「○○ってさ……」
「会社ってさ……」
「俺はさ……」
……急に人生相談室が開業。
しかも、
相談員も本人。
相談者も本人。
客、誰もいない。
それなのに、よくしゃべる。
最後は、秘密まで持ってくる
「ここだけの話なんだけど。」
……出ました。
信用してはいけない言葉ランキング上位。
「ここだけの話。」
と言いながら、
声だけは、
店の端まで届いている。
そして、翌朝。
本人は、全部忘れている。
……こっちは忘れてない。
翌朝、本人だけが平和
「昨日、楽しかったね〜。」
……うん。
楽しかったね。
あなたは。
「私、昨日何か言った?」
言った。
「変なこと言ってない?」
言った。
「誰かに絡んでない?」
絡んだ。
「○○さんの話した?」
した。
「会社のこと何か言った?」
言った。
「昔の恋愛の話とかしてない?」
した。
「……私、何しゃべった?」
全部。
昨日のあなた、ほぼ全部しゃべりました。
しかも、
本人が忘れているだけで、
こちらには、
記憶がある。
写真もある。
動画もある。
LINEもある。
証拠だけは、妙に充実している。
酒が本性を作っているわけじゃない
だから、
「酒って怖いよね。」
と言うけれど。
違う。
酒は、
モテた話を作っていない。
自慢話も作っていない。
謎の人脈も作っていない。
会社への不満も作っていない。
誰かへの文句も作っていない。
最初から、本人の中にあった。
ただ、
酒が入ると、
「まあ、今日はいいか。」
ってなる。
すると、
普段なら、
「それ、言わないほうがいいよ。」
と止めてくれる脳内スタッフが帰る。
そして、
本人だけが残る。
しかも、マイクを持っている。
( ̄▽ ̄;)
酒って、
人を変えるんじゃない。
人間の口に、解除ボタンをつける。
そして翌朝。
本人、記憶なし。
周囲、記憶あり。
証拠、大量。
本人、
「昨日楽しかったね〜。」
……楽しかったのは、あなたの口だけのようです。



