新しい「マナー」:言葉の時代に潜むうんざりする価値観の押し付け
産業カウンセラーの鎌田千穂です。
チホズスタジオは福岡市に拠点を置き、オンラインや訪問をあわせた産業カウンセリングを実施。
・事業内容は産業カウンセリング及びコンサルティング。
・人材育成の仕組みづくりのための自発的行動を促す教育研修。
・「業務改善・組織変革」の企画提案実施です。
他にもチホズ文字分析による、人材分析及び提案も。
さて、今日のお話は飯塚市の嘉穂劇場。
この劇場を受け継いで奮闘された一人の人物をご存知ですか?
その名も伊藤隆さん。
今日は、その功績というかご苦労というか、現代に受け継がれた人の想いに心を馳せます。
目次
私は名前だけ知っていた嘉穂劇場。
詳しく知ろうともしていませんでした。
毎回思うことは、関心を持つことの大切さです。
またまた、福岡で受け継がれている方のお話のひとつ。
沢山の人達の情熱と信念、そして困難に立ち向かう心が今も語り継がれています。
嘉穂劇場の誕生
嘉穂劇場は、麻生太郎・副総理兼財務相の曽祖父である麻生太吉氏の弟・太七氏が設立し、後に嘉穂劇場主となる伊藤隆氏が再建した、歴史ある芝居小屋です。
この劇場は、炭鉱で栄えた筑豊地域の象徴的存在として、多くの人々に親しまれてきました。
「生きた文化財」として、現在も多様な公演を行い、多くの人々に愛され続けています。
煌めきの時代—初代「中座」の栄光と繁栄
嘉穂劇場のルーツは、大正11(1922)年に開場した「中座」にあります。
この劇場は、炭鉱で働く労働者やその家族のための娯楽施設として設立。
当時はラジオもテレビもない時代で、芝居小屋は地域住民にとって大切なエンターテインメントの場でした。
地域住民の期待に応え、六代目尾上菊五郎が出演するなど、多くの有名な芸能人が舞台に立ったようです。
試練に立ち向かう—昭和初期の二度にわたる全壊
ですが、昭和初期には中座に厳しい試練が襲います。
昭和3(1928)年5月には漏電による火災で全焼。
新築落成から1年もたたぬ昭和5(1930)年7月には台風による倒壊。
嘉穂劇場は、二度の全壊という逆境に見舞われました。
この連続した惨事により、出資者たちは手を引き、劇場の存続が危うくなっています。
心の灯を守り抜く—伊藤隆の奮闘と再建への道
この時、伊藤隆氏が個人資産を投じて劇場の再建に名乗りをあげます。
彼の義侠心と強い意志は、嘉穂劇場の再建を実現しました。
昭和6(1931)年、規模は2階に縮小されたものの、入母屋造りの堂々たる外観と直径16メートルの廻り舞台を備えた本格的な劇場として再スタートを切ります。
伝統と革新の融合—再生された嘉穂劇場の姿
嘉穂劇場は、再建以降も地域住民に愛され続け、多くの公演やイベントを開催してきました。
大衆演劇やコンサート、落語公演など、様々なエンターテインメントを提供し続け、地域の文化を守りつつ発展。
2021年(令和3年)9月、嘉穂劇場の建物は飯塚市に贈与され、さらにその地域との結びつきを強めています。
永遠の輝きを求めて—「生きた文化財」としての嘉穂劇場
今日、この劇場は多様な公演を行う「生きた文化財」として、多くの人々に愛されています。
その存在は、嘉穂劇場の起点となった中座や、協力者たちの思いを脈々と語り継がれているほどに。
~ ちょっと余談 ~
・・・文化というものは建物があるところに花開く。
そして建物と共に花開いた文化は、建物がなくなれば途絶える。
再現性のないもの、五感で感じ、触れることができないものに変わると文化も終わるんです。
嘉穂劇場にしても、伊藤隆氏が私財を投げうってまで残すと決めたから残った建造物。
建物には関わってきた人たちの人生や生き様が宿っているんです。
福岡市内は、建物を壊してひっそりと〇〇跡地などという石碑と石柱だらけ。
石碑や石柱を見たって、想いを馳せることなどできないものです。
そうは言っても福岡市も再開発ラッシュ。
何でもかんでも壊さないで欲しいという願いがいっぱいです。
伊藤隆から現代の私たちが感じ取ること
嘉穂劇場の物語は、情熱と義侠心が結実した象徴。
伊藤隆さんの献身的な行動は、現代に生きる私たちにも重要なメッセージを伝えています。
どんな困難な状況にあっても諦めず、自分の信念や地域の歴史を守るために行動する決断。
伊藤隆さんの生き様は、目の前にある課題を自分事として捉えたからできたこと。
現代においては、生まれ育った自分の地域を大切に思い、地域社会のために尽力することの大切さを示しています。
未来への希望—不安を抱える現代人
将来に不安を抱える人や、自分には偉業を成し遂げられないと感じる人がとても多くなりました。
そこで、伊藤隆さんの生き方を通じて何を学べるでしょうか。
伊藤隆さんも、時代は過去といえど、絶望的な状況に直面しています。
ですが、きっと好きなものを残したかったんだと思います。
その気持ちが、原動力になったのではないでしょうか。
情熱と信念をもって行動し続けたように取り上げられたとしても、お話を知る限り、孤独なときも、もうダメだと投げ出したかったときもあったのではないでしょうか。
私たちも日々の仕事や生活の中で様々な困難に直面します。
ですがそんなときほどこそ、伊藤隆さんのように、自分や他者のために行動できること、信じることを見つけることが何よりの原動力となります。
偉業ではなくともいいんです。
「自分だけの成功」を築くことで、自信と誇りを持ち続けることが重要です。
そして、私たちもまた、自分自身や周囲に変化をもたらす力を持っていることを感じ取る機会になると嬉しいなと感じます。
あなたの今やっていることが、あなたの人生そのものです。