怒りの表現と活用方法
今や街にも店にもモニターやカメラが溢れていますよね。24時間どんなふうに人や物が動いているのか一目瞭然です。
リアルの「物」はカメラに映ります。
ですが心は映りません。けれど自分の心が1日の中でどんなふうに動いたり止まったり上がったり下がったりしているか分かると便利ですよね。
「心をモニタリングする」方法を考えました。
1.心をモニタリングする方法5選
①ジャーナリング
ジャーナリングとは、思っていることを判断を加えずに手書きでノートにひたすら書き綴ることで、自分でも気づいていなかった本心に気づくことが出来る作業です。
大抵人が文章を書くときは、誰かに何かを伝えるときです。手紙、報告書、ブログ、小説を書くのもそうですね。
必ず「他人の目」を意識して書きます。だからどうしても「間違ったことを言ってはいけない」「ちゃんとした文章にしなきゃいけない」「褒めてもらえるものを書きたい」のような余計な願望が邪魔をします。
ジャーナリングのルールの一つに「他人に見せない」があります。
他人は絶対に見ません。その前提で思っていることを制限時間分書きつくすと、何に対して自分がどう考えてどう感じてそれに対してどうしようとしているか、が浮き上がってきます。
②マインドフルネス
マインドフルネスは有名ですね。
マインドフルネスとは、現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程である。 瞑想、およびその他の訓練を通じて発達させることができるとされる(wikipedia)
マインドフルネスもジャーナリング同様、「良い悪い」を考えません。今この瞬間自分が体験しているものへ意識を向けます。
マインドフルになるとは、今作業に取り組んでいる自分と、その周囲にあるものに注意を向けることです。聞こえる音、隣にいる人、自分の姿勢や感情。
特に感情は、「疲れたなー」「肩が凝ったな」「喉乾いた」「落ち着ない」「隣の人のキータッチ音が気になる」とか色々あるでしょう。
自分自身の状態に気づくことは、自分を客観視するために必要な作業です。自分を客観的に見ることで、思考や感情に覆いつくされず、それらも自分の一部に過ぎないことに気づけます。自分の一部に過ぎないなら、自分で取り扱うことが出来ますよね。
そうして余裕を取り戻すことが出来ます。
③フォーカシング
フォーカシング(Focusing)は、心理療法の一形態であり、クライエントが内なる感覚や感情に焦点を当て、それらに注意を向けることを通じて自己理解や癒しを促進する手法です。このアプローチは、心の中に潜む感覚や情報にアクセスし、それらを探求することで、個人の深層心理にアプローチします。
フォーカシングのやり方として、自分の思考や感情(フェルトセンス)に名前を付ける、というステップがあります。
ピッタリの名前を付けるためには、フェルトセンスにしっかり向き合う必要がありますよね。
例えば友人に言われた言葉がどうしても気になって仕方がない、という時。
その言葉を思い出した時の体の変化、重さ、色、濃さ、大きさ、動いているかじっとしているか、等から具体化します。
そして名前を付けるまでの過程で、自分の心をモニタリングすることが出来るのです。
④他者との対話
人と会話することは、自分を知るうえで非常に有効な手段です。
「モニタリングしたいから付き合って」のように身構える必要はありません。
むしろ一見何の関係も無いような会話の中で、自分の感情に気づくことが出来ます。
「今日の服可愛いね」
と言われたら、大抵の人は褒めてもらったと思って嬉しくなります。
しかし状況や相手との関係性、自分のメンタル状態によっては他の感情が沸いてくることがあります。
何故か嬉しくない、モヤッとした、カチンときた、など。
例えば自分では可愛いと思っていないのに褒められたとしたら、褒め言葉の裏を探ろうとするかもしれません。
他者との会話は自分を知るためのトリガーです。他者から刺激をもらって、未知の自分を発掘するチャンスに出来ます。
⑤生活習慣の定点観測
普段の生活の中にも、心をモニタリングするための要素が無数に隠れています。
いつもより朝起きるのが辛い、お昼なのにお腹が空かない、普段とは違うものが飲みたくなった、定時で会社を出たのに家に帰りたくない、お風呂に入るのが億劫。
どれも誰もが経験する小さな変化ですが、だからこそ小さいうちに対処するために注目したい変化です。
お昼だけど食欲がないのは、体調が悪いのでしょうか。それとも一緒に食べるメンバーが嫌なのかもしれないし、食事より優先させたい何かがあるのかもしれません。
小さな変化をよく観察すると、隠れていた自分の本心が見えてきます。
2.心をモニタリングすると、どうなる?
①自分の感情を受け止めやすくなる
自分の感情とは非常に扱いづらいです。喜怒哀楽も一喜一憂も、全部自分が感じて自分がどうにかするしかないのです。誰かに相談したり愚痴ったり甘えたり気分転換しても、最後は自分が対処しなければいけません。
厄介だからと相手にしなければ、放置された幼児のように暴れ出します。一見大人しくしているように見えても裏で非行に走ります。その結果がストレスです。
感情は受け止めるしかありませんが、モニタリングする習慣をつけることで、特徴が分かります。扱い方が分かることで、放置することが減っていき、結果としてストレスも減っていきます。
②健康を守れる
小さな変化に気づくことがモニタリングのコツ、とお話しました。
小さな変化に気づいて対処するとは、予防の一種です。
医療の予防には一次~三次まであります。
一次予防は「病気にかからない」、二次予防は「悪化させない」、三次予防は「リハビリテーション」です。
小さな変化に気づくためのモニタリングは、一次予防にも二次予防にもなります。
それによって健康を守ることが出来るのです。
③成長のための手がかり
成長とは子どもや若い世代だけのものではありません。
人は生きている限り変化します。その変化が、自分が希望する方向へ向かっている時に「成長」と感じることが出来ます。
通常、人は変化を避けようとします。ですが、「なりたい自分」に近づくための変化=成長は歓迎したいですよね。
モニタリングによって自分の感情や行動パターンを分析することで、個人的な成長に向けた改善点を見つけやすくなります。自分にとって有益な習慣や行動を見つけ、成長していくことができます。
④コミュニケーションの円滑化
自分の思考や感情をモニタリングする習慣が身につくと、感情の浮き沈み、爆発の仕方、沈静化するまでの経過を知ることが出来ます。
そうすると、他者とのコミュニケーションにも良い影響が出てきます。
自分がどんなふうに考えているか、を、相手に伝えることが出来ると、相手からの理解度が上がります。より深く理解してくれた相手には、こちらの信頼度も上がります。相手のことも知ろうとするでしょう。
良い円環関係が回り始めます。
⑤自己肯定できる
「~しなきゃいけない」「~でなくてはいけない」というルールや規律に縛られていたせいで、自分の本心を見落としています。
しかしモニタリングすることで、本心に気づくだけでなく、未知の自分の強さ・長所・スキル・実績に気づくことが出来ます。
人の言葉にすぐ傷ついてしまうことを短所だと思って悩んでいたとします。
ずっとそれをひた隠しにして来た人が、モニタリング習慣によって誰かに話すことが出来ると、「自分の弱いところ・未熟な点を他人に話すことが出来る」という長所が生まれます。
3.まとめ
①心のモニタリングの方法は主に5つ→自分を客観視する姿勢がポイント
②心をモニタリングするメリットは5つ→自分を肯定できるようになる
自分の心をモニタリングするスキルは、大人には必須のスキルです。
毎日の生活の中に取り入れて、自分と上手に付き合っていきたいですね。