≪うつ病家族を持つ人の心得≫自分のことを後回しにしない

西岡惠美子

西岡惠美子

テーマ:ケアラー支援

自分のことを後回しにしない

たまに、ではなく、常に自分のことは後回しにしてしまう習慣、持ってないですか?
少しの体調不良、疲れ、睡眠不足。
本当はやりたい、やりたくない、自信がない。
けれど周囲の空気や期待を読み取って、自分の状態や気持ちを後回しにして引き受けたり譲ったり。

家庭や職場を円滑に回すための潤滑油としては非常に有効な手段ですが、
「常に」やり続ける自分自身がすり減ってしまいます。

1.自分を後回しにしやすい状況とは?

自分の欲求が無い人はほとんどいないと思います。
しかし状況によって、カメが甲羅に引っ込むように、自分の欲求を引っ込めてしまうことがあります。

目に見えないもの

メンタル状況や健康状態、睡眠不足などは、かなり悪化しないと自覚しずらいため「まだ大丈夫」と考えてしまいがちです。

期限がないもの

やっておきたい、やりたい、けど「いつまでに」という明確な期限がないものは「後でもいいか」と考えて後回しになります。

ずっと後回しにし続けてきたこと

後回しにする習慣が自分の中に出来てしまっているので、他のことより優先させようと思うことが難しくなっています。

世間的に重視されていないこと、重視されていることと反対のもの

どうしても他人の目は気になります。自分が身を置いている状況で「価値がある」とされているもののほうが優先度は高くなってしまいます。
少し体調が良くない、けれど残業する人だらけの会社では、定時では帰れないから、少しだけ残って仕事していく、のような。

2.「自分」を後回しにし続けるとどうなるか

自分の状態や気持ちを後回しにしてばかりいることのデメリットは、気づかないうちに少しずつ溜まっていきます

  • 少しずつ、しかし毎日ストレスがたまる
  • 「常に」後回しにすることで、周囲から「自己主張のない人」「欲がない人」と思われて利用される
  • 常に自分の気持ちとはズレたことを優先し続けるから、疲れる
  • 自分の状態や気持ちに鈍感になる→健康やメンタルヘルスを損なう⇒悪化するとうつ病に


3.自分を後回しにしないためには?

自分を優先させるか、後回しにするかは、選択が重要になります。
その判断基準が「自分の価値観」になります。

「ここだけは譲らない」というポイントを作ることで、周囲からも

例えばあまり遅くまで残業出来ない事情がある場合。日中は周囲への配慮分を大きくして、その代わり自分の仕事が終わっているなら定時で退社する、など。

「何故自分を後回しにしてしまうのか」を自分に問う

例えばそのほうが面倒ではないから、とか、自分のことは後で一人でどうにかすればいい(どうにかなる程度の軽い問題だと思っている)、または主張しても拒否される(拒否された経験があるから)などですね。
後回しにしてしまう理由を考えることで、本当の課題が見えてきます。

4.常に後回しにしないで済む関係・状況とは?

後回しにしてしまう人に問題があるわけではないと考えます。
自分のことを後回しにしてしまいやすい「状況」や「関係」が、前提として存在するでしょう。
例えば家族には自由に自分のしたいことを言える人が、会社では全く主張出来ないこともあります。
では、どんな関係性や状況なら、後回しにすることを習慣化せずに済むでしょうか。

お互いの「ここだけは譲らない」ポイントを共有し合える

その場にいる全員が、同じ「譲らないポイント」を持っているなら、そもそも後回しになることはありません。
それぞれが違うポイントを持っていることで、自分の「譲らないポイント」が言い出しづらくなるのです。
なので、お互いが譲らないポイントを共有し合うことで、凸凹を補強し合えると、「お互い様」精神が働きやすくなります。

不必要な「我慢」をしない状況

必要な「我慢」と、不要な「我慢」があります。
明日が期限の仕事を仕上げるために、疲れを押して残業するのは必要な我慢かもしれませんが、やることがないのに「遅くまで会社にいる人は頑張ってる人」という文化があると、不要な我慢を強いられます。
結果、「早く帰りたい」といえなくなります。

何が必要なことで、不要なことなのかを、関係者同士で一致させておけると、常に我慢する=後回しにすることが減っていくでしょう。

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常に自分を後回しにする、他の人の事情を常に優先させる、というのは、関係性として不健康と言わざるを得ません。
しかし、体や心の病気と同じく、不健康な状態にある人だけに原因があるわけではありません
それまでの過ごし方、経験、周囲にいる人からの影響など、様々な要因が絡み合った結果なので、自分だけでどうにかしようとしても限界があります。

まずは「自分はこうしたい」という軸をしっかり持って、どうしても、という場面では主張出来るようになるところから始めたいですね。

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