コールセンターの課題はなぜバラバラに見える? 4回のアンケートから見えてきたこと
提案をしても、相手に受け入れてもらえることもあれば、断られてしまうこともあります。
自分では十分に考えた提案なのに、思うような反応が得られない。一方で、同じような内容でも、相手によってはすんなり受け入れてもらえることもある。
この違いは、どこから生まれるのでしょうか。
提案がうまくいく方法を知りたいと考えたとき、相手の立場に立つ、課題を把握する、メリットを伝えるなど、さまざまな工夫が思い浮かびます。実際に、こうした工夫が提案の成否に関わることはあるでしょう。
では、経験豊富な人が実践している方法には、共通する法則があるのでしょうか。
もし共通する法則があるとすれば、それを理解することで、提案の成功を再現しやすくなるかもしれません。
ただし、どのような相手にも必ず受け入れられる、万能の提案方法が存在するとは限りません。提案する相手や状況が異なれば、必要な情報も、受け入れられる条件も変わるからです。
そこで今回は、提案の経験や工夫を振り返りながら、うまくいく提案に共通する法則を探ります。
また、提案を考える際によく使われる「誰に、何を、どのように」という三つの観点についても、提案に必要な情報を整理する枠組みとして考えてみます。
提案に百戦百勝はあり得るのか?
仕事をしていると、商品やサービスの提案、社内での企画提案、改善案の提示など、さまざまな場面で相手に何かを提案する機会があります。
提案する以上、できれば受け入れてもらいたいものです。
そのために、相手の状況を調べ、資料を準備し、伝え方を工夫する。時間をかけて準備した提案が受け入れられれば、工夫が実を結んだと感じるでしょう。
ところが、十分に準備したつもりでも、提案が通らないことがあります。
反対に、自分ではそれほど手応えを感じていなかった提案が、予想以上に評価されることもあります。
同じ提案であっても、相手が変われば反応が変わる。似たような提案であっても、あるときは受け入れられ、別のときには断られる。
こうした経験に、心当たりはないでしょうか。
もし提案の成否が、提案者の能力や話し方だけで決まるのであれば、経験を積み、技術を磨くことで、いつでも安定した成果を出せるようになるはずです。
しかし、実際には、相手の置かれた状況や提案を受け入れる条件など、提案者だけでは変えられない要素もあります。
そう考えると、どのような相手にも必ず受け入れられる「百戦百勝の提案」を実現するのは、簡単ではなさそうです。
では、提案の成功を運や個人の経験だけに委ねるしかないのでしょうか。
必ず成功する方法がないとしても、提案がうまくいくときに共通していることを見つけられれば、成功する可能性を高める手がかりになるかもしれません。
まずは、自分自身の提案経験を振り返るところから始めてみましょう。
提案がうまくいくとき、何が違うのか?
提案がうまくいったとき、自分は何をしていたでしょうか。
相手について事前に調べていた。困っていることを聞き出していた。提案のメリットを具体的に説明していた。相手が納得できるよう、伝える順序を工夫していた。
人によって、思い当たる工夫はさまざまでしょう。
また、提案がうまくいかなかった経験にも、振り返る価値があります。
相手の事情を十分に把握できていなかったのか。こちらが伝えたいことを優先してしまったのか。提案内容には納得してもらえたものの、実行に必要な条件が整っていなかったのか。
結果だけを見るのではなく、そのとき何を考え、何を確認し、どのように提案を進めたのかを振り返ることで、成否に関わった要素が見えてくる可能性があります。
ここで注目したいのは、うまくいった経験と、うまくいかなかった経験を、それぞれ別のものとして片づけないことです。
例えば、相手の状況を確認してから提案したときには受け入れられやすかった。一方、こちらが良いと思う内容を先に説明したときには、相手の反応が鈍かった。
こうした経験が複数あれば、提案の進め方と結果との間に、何らかの関係があるのではないかと考えられます。
ただし、一度うまくいった方法が、いつでも同じ結果を生むとは限りません。相手や状況が異なれば、同じ方法が適切とは限らないからです。
また、本人が意識している工夫だけが、提案の成否に関わっているとも限りません。
経験を積んだ人は、相手の反応を見ながら、質問する内容や説明の順序を自然に変えているかもしれません。本人にとっては当たり前の行動でも、経験の浅い人にとっては、簡単には再現できない工夫である可能性があります。
だからこそ、個々の成功体験を「うまくいった方法」として記録するだけでなく、どのような状況で、なぜその方法を選び、どのような結果につながったのかを考えることが大切です。
そこから、個人の経験にとどまらない、提案に共通する要素を探せるのではないでしょうか。
経験から得た方法に、共通する法則はあるのか?
提案の経験を振り返ると、さまざまな方法や工夫が見つかります。
では、それらを整理すれば、提案に共通する法則を見つけられるのでしょうか。
ここで、まず区別しておきたいのが「方法」と「法則」です。
方法とは、目的を達成するために、具体的に何をするかということです。
例えば、提案する前に相手の状況を調べる、相手の困りごとを質問する、提案のメリットを数値で示すといった行動が、方法に当たります。
一方、法則を探るとは、複数の経験を比較し、どのような条件や傾向が結果と結びついているのかを見いだそうとすることです。
ある方法を実践してうまくいったとしても、その方法だけが成功の理由だったとは限りません。相手の状況や提案を受け入れられる条件など、別の要素が関係していた可能性もあります。
例えば、提案前に相手の状況を調べることが有効だったとしても、調べた情報をどのように使ったのかによって、結果は変わるかもしれません。
相手について多くの情報を集めること自体が、必ずしも良い提案につながるわけではありません。集めた情報を理解し、提案する内容や伝え方に反映できて初めて、意味を持つ場合もあります。
つまり、方法を知っていることと、その方法がどのような条件で有効なのかを理解していることは、同じではないのです。
また、経験から法則を探る際には、うまくいった事例だけを集めるのではなく、うまくいかなかった事例にも目を向ける必要があります。
成功した事例だけを見れば、共通しているように見える行動が見つかるかもしれません。しかし、失敗した事例にも同じ行動が見られるのであれば、その行動だけで成功を説明することはできません。
成功と失敗の両方を比較し、相手や状況の違いも考慮することで、何が共通し、何が異なっていたのかを検討できます。
もちろん、経験を集めれば必ず普遍的な法則が見つかるわけではありません。共通点が見つかったとしても、それが提案の成否を決める唯一の要因だとは限りません。
それでも、さまざまな人の経験や工夫を持ち寄り、共通点と違いを確かめることには意味があります。
自分一人の経験では気づかなかった工夫や、これまで当たり前だと思っていた行動の意味が見えてくる可能性があるからです。
では、提案の経験を比較するとき、どのような情報に注目すればよいのでしょうか。
必勝提案に必要な情報を、どう整理するのか?
提案を考える際によく使われる枠組みの一つに、「誰に、何を、どのように」という三つの観点があります。
提案を整理するための分かりやすい枠組みですが、この三つの観点で、提案の成否に関わる情報を十分に捉えられるのでしょうか。
それぞれの意味を確認してみましょう。
「誰に」──提案する相手を理解する
「誰に」は、提案を受け取る相手に関する観点です。
相手の立場や役割、置かれている状況、抱えている問題などを把握することが考えられます。
例えば、同じ商品やサービスを提案する場合でも、実際に利用する人と、導入を決定する人では、確認したいことや重視する条件が異なるかもしれません。
相手がどのような立場にあり、何を検討しているのかを理解することで、提案に必要な情報を考えやすくなります。
ただし、相手の立場や状況を把握することと、相手が何を大切にしているのかを理解することは、必ずしも同じではありません。
例えば、相手が業務の効率化を求めていると分かったとしても、何をもって効率化が実現したと考えるのか、どのような条件なら受け入れられるのかまでは、分からない場合があります。
相手の状況を知ることは大切ですが、それだけで相手の期待を理解できたとは限らないのです。
「何を」──何を提案し、どのような価値を届けるのか
「何を」は、提案する内容に関する観点です。
どのような商品やサービス、解決策を提案するのか。それによって、相手のどのような問題を解決できるのか。どのような価値や効果を提供できるのか。
こうした点を整理することで、提案の内容を具体化できます。
例えば、業務の効率化を目的とする相手に対して、単に機能や特徴を説明するだけでは、相手が求める価値が十分に伝わらないかもしれません。
その機能によって、どの業務がどう変わり、相手にどのような効果があるのかまで説明することで、提案内容と相手の期待との関係を示しやすくなります。
一方で、提案する側が価値があると考えていることと、相手が価値を感じることは、必ずしも一致しません。
提案内容を考える際には、こちらが伝えたいことだけでなく、相手が何を求めているのか、その期待に提案がどのように応えられるのかを考える必要があります。
「どのように」──相手に合わせて伝える
「どのように」は、提案の伝え方に関する観点です。
説明する順序、言葉の選び方、資料の見せ方、伝えるタイミングなど、提案を相手に届けるための工夫が含まれます。
例えば、相手が課題を十分に認識していない場合と、すでに解決策を比較検討している場合とでは、説明の進め方が異なることがあります。
また、同じ内容でも、相手が必要としている情報から説明するのか、提案する側が伝えたい特徴から説明するのかによって、受け取られ方が変わる可能性があります。
伝え方を工夫することは、提案内容を相手に理解してもらうために重要です。
ただし、どれほど説明が上手でも、提案内容が相手の問題や期待に応えていなければ、受け入れてもらうことは難しいでしょう。
伝え方を整えるだけでなく、何を伝えるべきか、その内容が相手にとってどのような意味を持つのかを考えることが必要です。
三つの観点だけで、提案に必要な情報を十分に捉えられるのか?
ここまで見てきたように、「誰に、何を、どのように」は、提案を整理するうえで役立つ枠組みです。
しかし、この三つの観点を埋めれば、必ず提案がうまくいくというわけではありません。
「誰に」で相手の立場や状況を把握していても、相手が何に価値を感じ、何を期待しているのかまでは理解できていない場合があります。
「何を」で提案内容や提供できる価値を整理していても、それが相手の期待に合っているとは限りません。
「どのように」で伝え方を工夫していても、提案を受け入れるために必要な条件が整っていなければ、実行には至らないかもしれません。
つまり、三つの観点を使って情報を整理することと、提案に必要な情報を十分に理解できていることは、分けて考える必要があります。
では、実際に提案をするとき、どのような情報を確認しているでしょうか。
相手の立場や状況だけでなく、抱えている問題や困りごと、実現したいこと、価値を感じること、提案に期待すること、受け入れられる条件なども考慮しているでしょうか。
あるいは、提案の内容や伝え方を考える際に、ほかにも重視している情報があるでしょうか。
こうした問いに対して、誰もが同じ答えを持っているとは限りません。仕事の種類や提案する相手、これまでの経験によっても、重視する情報は変わるでしょう。
だからこそ、提案の経験や工夫を持ち寄り、どのような情報を必要としているのかを比較することに意味があります。
「誰に、何を、どのように」という枠組みだけで十分なのか。それとも、さらに整理すべき観点があるのか。
現時点で一つの答えを決めつけるのではなく、実際の経験をもとに考えてみたいと思います。
提案に関する経験・工夫についてのアンケート
ここまで、提案がうまくいくときの工夫や、経験から共通する法則を探ることについて考えてきました。
ただ、提案の方法や成功につながる条件を考えるには、一人の経験だけでは分からないこともあります。
業種や職種、提案する相手、扱う商品・サービスが異なれば、必要な工夫も変わるでしょう。一方で、異なる経験の中に、共通する考え方や行動が見つかるかもしれません。
そこで、提案に関する経験や工夫について、皆さまの考えをお聞きするアンケートを実施しています。
どのようなことをお聞きするのか
アンケートでは、提案に関わる経験や、普段どのような工夫をしているのかをお聞きします。
例えば、次のような内容です。
- 提案がうまくいった経験、うまくいかなかった経験
- 提案するときに意識していることや、工夫していること
- 提案を成功させるために必要だと考える情報
- 「誰に、何を、どのように」という三つの観点で、必要な情報を十分に整理できると考えるか
- 提案に関する経験や工夫を、組織の中でどのように共有しているか
正解を当てるためのアンケートではありません。
普段は意識していない工夫や、経験を通じて身につけた考え方を振り返る機会として、ご自身の経験をお聞かせいただければと思います。
回答することで、自分の経験を振り返る機会に
提案の仕事に慣れてくると、うまくいくために行っている工夫を、改めて言葉にする機会は少ないかもしれません。
しかし、何を意識しているのか、なぜその方法を選ぶのかを振り返ることで、自分の経験を整理するきっかけになります。
また、集まった回答を分析し、個人や企業が特定されない形で集計結果を共有することを予定しています。
集計結果を通じて、ほかの回答者がどのようなことを重視しているのか、自分の考え方とどこが共通し、どこが異なるのかを知る機会にもなればと考えています。
なお、アンケートの回答は、提案に関する調査・分析および集計結果の共有に活用するもので、回答者への直接的な営業活動を目的としたものではありません。
自由記述欄に回答する際は、ご自身や所属企業、顧客などが特定される個人情報・企業情報を記載しないようお願いいたします。
提案に関する経験・工夫について、ぜひお聞かせください
提案に百戦百勝はあり得るのか。
どのような提案にも通用する必勝法があるのか、それとも、相手や状況に応じた工夫の積み重ねが重要なのか。
その答えを最初から決めつけるのではなく、さまざまな経験を持ち寄り、共通する要素や違いを探っていきたいと考えています。
提案に関わった経験のある方は、ぜひアンケートにご協力ください。
提案に関する経験・工夫についてのアンケート
皆さまからお寄せいただいた回答を、提案に関する経験や工夫を理解するための調査・分析に活用し、集計結果として共有していきます。
ご協力を、よろしくお願いいたします。


