経営を脅かすリスクを再点検!! 経営リスクを無力化できる対策を公開。是非お役立てください
目次
研修を実施している。マニュアルも整備している。業務改善にも取り組んでいる。
それなのに、学んだことが日々の業務で実践されない。改善が一部の人にしか広がらない。しばらくすると、以前のやり方に戻ってしまう。
こうした状況に、心当たりはないでしょうか。
対策を講じているのに、組織全体が変わった実感が得られない。その原因は、個々の施策の内容だけにあるとは限りません。
例えば、教育の問題を教育だけで解決しようとしても、業務の進め方や評価の仕組みが変わらなければ、学んだことを実践しにくい場合があります。マニュアルを整備しても、使う機会がなく、更新する仕組みもなければ、次第に活用されなくなるかもしれません。
それぞれの課題に対処することは大切です。しかし、個別の対策が組織の目指す姿につながっていなければ、組織全体の変化には結びつきにくくなります。
このような問題を考えるうえで重要になるのが、「チェンジマネジメント」という考え方です。
チェンジマネジメントは、単に新しい制度や仕組みを導入することではありません。組織が目指す姿に向けて変わり、その変化を実際の業務に定着させていくための取り組みです。
この記事では、チェンジマネジメントの意味や目的、代表的な手法と進め方を解説します。さらに、個別の改善施策を組織全体の変化につなげるには何が必要なのかを、具体例を交えながら考えます。
※本記事では、検索時に用いられる専門用語として「チェンジマネジメント」を使用し、組織が目指す姿に向けて変わっていくことを「組織変革」や「変革」と表現しています。アンケートでは、回答される方が自社の状況を具体的に振り返りやすいよう、設問の内容に応じて「変革」などの言葉を使い分けています。いずれも、組織が目指す姿に向けて変化し、その成果を定着させていくという共通のテーマを扱っています。
チェンジマネジメントとは?意味と目的を分かりやすく解説
チェンジマネジメントの意味
チェンジマネジメントとは、組織が目指す姿に向けて変化していく過程を計画的に進め、従業員の行動や業務の進め方、組織の仕組みなどに変化を定着させていくための取り組みです。
企業を取り巻く環境や顧客の期待が変われば、商品・サービスの提供方法や業務の進め方、組織の役割なども見直す必要が生じます。
しかし、方針を示したり、新しい制度を導入したりするだけで、組織が自動的に変わるわけではありません。
新しいやり方を理解していても、実践するための知識や能力が不足していることがあります。実践する意欲があっても、従来の業務手順や評価制度が障壁になる場合もあります。
そのため、組織が変わるには、何を目指すのかを明確にし、必要な施策を設計するとともに、実際に行動を変えられる条件を整えることが重要です。
さらに、変化が一時的なものに終わらないよう、実践状況を確認し、必要に応じて見直しながら、組織の通常の業務として定着させていく必要があります。
個別の施策を実施することと、組織が変わることは同じではない
例えば、従業員の応対品質を高めたい企業が、研修を実施したとします。
研修を受けた従業員が知識を身につけても、実際の業務で活用できなければ、期待した変化は生まれにくいでしょう。
実践するための手順が明確でない、上司から従来のやり方を求められる、評価基準が新しい行動に対応していない、といった事情があれば、研修で学んだことを使い続けるのは難しくなります。
この場合、研修の内容だけを改善しても、問題が解決するとは限りません。業務の進め方や評価、上司の支援なども含めて、実践できる条件を整える必要があります。
つまり、個別の施策を実施することと、その施策によって組織が目指す状態に変わることは、分けて考える必要があるのです。
チェンジマネジメントの目的は、施策を実施したという事実をつくることではありません。施策を通じて必要な変化を実現し、組織全体で実践できる状態にすることです。
チェンジマネジメントが必要とされる理由
対策を講じているのに、組織が変わらない
組織が変わらないとき、必ずしも何も対策していないわけではありません。
例えば、次のような状況が考えられます。
- 研修を実施しているが、学んだことが日々の業務で実践されない
- FAQやマニュアルを整備しているが、従業員が活用していない
- トークスクリプトを作成しているが、担当者が自分の経験に頼って応対している
- 改善に取り組んでいるが、一部の従業員にしか広がらない
- 一度は改善したものの、時間がたつと以前のやり方に戻ってしまう
- 特定の人に知識や対応方法が集中し、その人が不在になると業務が滞る
これらは、それぞれ異なる問題に見えるかもしれません。
実際、原因が教育にある場合もあれば、業務設計や人員体制、評価、情報共有などにある場合もあります。すべてを同じ原因で説明することはできません。
ただし、個々の問題に対する対策が実施されていても、それぞれが組織の目指す姿につながっていなければ、組織全体の変化は進みにくくなります。
例えば、教育の問題に対して研修を実施し、情報共有の問題に対してマニュアルを整備したとしても、実践する機会がなく、実践状況を振り返る仕組みもなければ、期待する変化が定着しない可能性があります。
このように、個々の課題への対策が組織全体の変化につながっていない状態は、チェンジマネジメントが十分に機能していない状態とも捉えられます。
個別の問題を解決するだけでは、組織全体の変化につながらない
組織の課題を解決するには、まず具体的な問題を把握する必要があります。
人員が不足しているなら、人員体制を見直す。知識が不足しているなら、教育や情報提供を改善する。業務が複雑なら、手順や役割分担を見直す。
こうした個別の対策は、いずれも重要です。
しかし、対策を一つずつ実施するだけでは、組織全体が目指す姿に近づいているかどうかを確認できないことがあります。
例えば、業務の処理件数を増やすために作業を効率化した結果、顧客への説明が不足するようになったとします。業務効率という観点では改善していても、顧客に納得してもらうという目標からは遠ざかっているかもしれません。
また、教育担当者が研修内容を改善しても、管理者が従来の行動を評価し続けていれば、新しい行動が定着しない可能性があります。
ここで必要なのは、個々の対策が正しいかどうかだけでなく、それらが組織の目指す姿に向かって整合しているかを確認することです。
人員体制、教育、業務、評価、情報共有などの対策を、共通の目標に向けてつなげる。その全体を進め、実践と改善を続けるために、チェンジマネジメントが必要になります。
属人化も、組織全体の変化という観点から捉え直す
特定の従業員に知識や対応方法が集中する「属人化」も、組織の変化を考えるうえで重要な課題です。
経験豊富な従業員が適切に対応できていても、その方法が本人の経験や勘にとどまっていれば、ほかの従業員が同じように実践できるとは限りません。
そこで、マニュアルを作成したり、研修を実施したりすることが考えられます。
しかし、知識を文書にまとめるだけで、属人化が解消されるとは限りません。何を確認し、どのように考え、どの条件で次の対応に進むのかが共有されていなければ、文書を読んでも実践できないことがあります。
さらに、共有した知識を業務で使い、実践結果を振り返り、必要に応じて更新する仕組みも必要です。
属人化を個人の問題として捉えるだけでなく、個人の知識や経験を組織全体で活用できる状態に変えるには何が必要なのか、という観点で考えることが大切です。
個人の努力や能力を否定するのではなく、その力を組織全体の成果につなげる。これも、組織変革を進めるうえで重要な視点です。
チェンジマネジメントの代表的な手法と進め方
チェンジマネジメントには、変化を進める際の考え方を整理したさまざまなモデルがあります。
ここでは、代表的なものとして、ADKARモデル、コッターの8段階変革プロセス、レヴィンの変革モデルを紹介します。
それぞれ着目する対象や変化の捉え方が異なるため、特徴を理解して使い分けることが大切です。
ADKARモデル:一人ひとりが変化を実践するための条件を捉える
ADKARモデルは、変化に取り組む個人に必要な五つの要素を整理したモデルです。Prosciが提唱するモデルとして知られています。
https://www.prosci.com/methodology/adkar
ADKARは、次の五つの英単語の頭文字から成り立っています。
- Awareness(認識):なぜ変化が必要なのかを理解している
- Desire(意欲):変化に参加し、支援しようとする意欲がある
- Knowledge(知識):どのように変化すればよいかを知っている
- Ability(能力):必要な行動やスキルを実際に発揮できる
- Reinforcement(定着・強化):変化した行動を維持し、元に戻ることを防ぐ
例えば、新しい業務手順を導入する場合、従業員がその必要性を理解していなければ、変更の意図が伝わらないかもしれません。
必要性を理解していても、実践する意欲がなかったり、やり方を知らなかったりすれば、行動は変わりにくいでしょう。研修で知識を得ても、実際の業務で使う能力が身についていなければ、期待する成果にはつながりません。
さらに、実践できるようになった後も、従来の方法に戻らないよう、継続的な支援や振り返りが必要になります。
ADKARモデルは、変化が進まないときに、個人のどの段階で障壁が生じているのかを考える手がかりになります。
ただし、個人の意欲や能力だけを問題にすればよいわけではありません。実践するための時間や業務手順、評価制度など、組織側の条件も併せて確認する必要があります。
コッターの8段階変革プロセス:組織全体で変化を進める
コッターの8段階変革プロセスは、組織全体で変革を進める際に必要な要素を整理した枠組みです。Kotterの公式サイトでは、次の8段階が紹介されています。
https://www.kotterinc.com/methodology/8-steps/
- 変革の必要性を認識する:なぜ今、変わる必要があるのかを共有する
- 変革を推進するチームをつくる:変革を導き、調整し、伝えていく人々を集める
- 目指す姿と戦略を明確にする:どのような組織を実現したいのかを示す
- 変革への参加を広げる:多くの人が共通の目標に向かって行動できるようにする
- 行動を妨げる障壁を取り除く:業務手順や仕組みなど、変化を妨げる要因を見直す
- 短期的な成果を生み出す:途中の成果を確認し、共有する
- 変革を継続・加速する:初期の成果で終わらせず、次の改善につなげる
- 変化を組織に定着させる:新しい行動が組織の習慣や仕組みに根づくようにする
このモデルで注目したいのは、変革を推進するチームの存在や、目指す姿の共有、障壁の解消、成果の確認、定着までを一連の取り組みとして捉えている点です。
例えば、経営層が変革の必要性を示しても、実際に業務を進める人々が何を変えればよいのか分からなければ、行動にはつながりにくいでしょう。
また、初期の成果が出たとしても、その後の改善が続かなければ、変化が一時的なものに終わる可能性があります。
組織全体の変革を進めるには、目指す姿を示すだけでなく、関係者が協力して実践し、障壁を取り除きながら、変化を継続できるようにすることが重要です。
レヴィンの変革モデル:変化の大きな流れを捉える
レヴィンの変革モデルとして一般に紹介される枠組みでは、変化を次の三段階で捉えます。
- Unfreeze(解凍):現在の状態や従来のやり方を見直し、変化に向けた準備をする
- Change(変化):新しい考え方や行動、業務の進め方へ移行する
- Refreeze(再凍結):新しい状態を安定させ、維持できるようにする
この三段階は、変化の大きな流れを理解するための枠組みとして広く知られています。ただし、学術研究では、この三段階モデルをレヴィン本人が現在一般的に紹介される形で提示したのかについて議論があります。そのため、ここではレヴィンの考え方に関連づけて紹介される代表的な枠組みとして扱います。
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0018726715577707
例えば、従来の業務手順を変える場合、まず現在のやり方を続けることで生じている問題や、変化する必要性を理解することが重要です。
次に、新しい手順を試し、必要な教育や支援を受けながら実践します。そして、新しい手順が業務の中で使われ続けるように、ルールや役割分担、評価などを整えていきます。
このように考えると、変化を始めることと、変化を定着させることは別の課題だと分かります。
三つのモデルを、どのように活用すればよいのか
ここまで紹介した三つのモデルは、着目する対象が異なります。
ADKARモデルは、一人ひとりが変化を実践するために必要な条件を捉えるものです。コッターの8段階変革プロセスは、組織全体で変化を進めるための要素を整理しています。レヴィンの変革モデルは、変化の準備から実践、定着までの大きな流れを捉える枠組みです。
これらのモデルは、いずれも変革を考える手がかりになりますが、モデルを採用しただけで組織が変わるわけではありません。
自社が目指す姿を明確にし、現状とのギャップを把握したうえで、何が変化を妨げているのかを確認する必要があります。そのうえで、教育、業務、評価、情報共有など、必要な対策を設計し、実践状況を確認しながら改善していきます。
重要なのは、モデルの段階を形式的に満たすことではなく、自社の課題と変化の進み具合を理解し、次に何をすべきかを考えるために活用することです。
個別の改善施策を、組織全体の変化につなげるには
代表的なモデルを理解したら、次に考えたいのが、実際の業務でどのように変化を実現するかということです。
組織の目指す姿を明確にし、必要な施策を実施しても、それぞれが独立した取り組みのままでは、期待する変化が生まれないことがあります。
ここでは、個別の施策を組織全体の変化につなげるための考え方を整理します。
まず、組織が目指す姿を明確にする
組織変革を進めるには、何を実現したいのかを明確にする必要があります。
例えば、顧客対応の品質を高めたいという目標があったとします。
この目標だけでは、具体的にどのような応対を実現すればよいのかが、人によって異なるかもしれません。
顧客の質問に正確に答えることなのか、迅速に対応することなのか、顧客の問題を解決し、納得してもらうことなのか。それぞれを区別して考える必要があります。
目指す姿が曖昧なままでは、教育担当者は知識を増やすことを重視し、管理者は処理件数を重視するなど、施策ごとに異なる方向を向いてしまう可能性があります。
そのため、まず組織として何を実現したいのかを明確にし、その姿を実現するために必要な行動や業務、仕組みを整理することが重要です。
教育・業務・評価・情報共有を、目指す姿につなげる
目指す姿が明確になったら、そこに向かうために必要な施策を考えます。
例えば、顧客の問題解決を重視する応対を実現したい場合、教育では必要な質問や確認の進め方を学べるようにします。
業務では、問題解決に必要な情報を確認しやすい手順を整えます。評価では、単に処理時間や件数を見るだけでなく、顧客の問題解決につながる行動も確認できるようにします。
さらに、実際の応対で得られた気づきや、顧客から寄せられた声を共有し、教育内容や業務手順の見直しに活用します。
こうした施策が相互につながっていれば、教育で学んだことを業務で実践し、実践結果を評価や改善に反映する流れをつくりやすくなります。
一方、教育だけを改善しても、業務手順や評価が従来のままであれば、新しい行動が定着しないことがあります。
個々の施策をそれぞれ改善するだけでなく、施策同士がどのようにつながり、組織の目指す姿に貢献するのかを考えることが大切です。
マニュアルやトークスクリプトは、作成して終わりではない
個別の施策が組織全体の変化につながらない例として、マニュアルやトークスクリプトの運用を考えてみましょう。
例えば、業務開始時にトークスクリプトを作成したとします。
ところが、担当者がスクリプトを使わず、経験や自己流のやり方で応対するようになれば、作成した内容は実際の業務に活かされません。
さらに、応対を通じて得られた気づきや顧客の声がスクリプトの更新に反映されなければ、内容が実態に合わなくなる可能性があります。
その結果、スクリプトが使われにくくなり、担当者がますます自己流の対応に頼る。こうした循環が生じることも考えられます。
もちろん、スクリプトが使われない理由は一つではありません。内容が実態に合っていない、使い方が分からない、必要な情報にたどり着きにくい、業務上の制約があるなど、状況に応じて原因を確認する必要があります。
大切なのは、スクリプトを作成したことだけで成果を判断しないことです。
何のために使うのか、どのような状況で活用するのか、実践した結果をどのように振り返るのか、誰が内容を更新するのか。こうした運用まで含めて設計する必要があります。
マニュアルやスクリプトを整備することは、組織変革の一部です。それらを業務で実践し、改善し続けられる状態にすることが、組織全体の変化につながります。
個人の経験を、組織全体で実践できる知識に変える
組織の中には、経験を通じて優れた対応方法を身につけている人がいます。
その人が持つ知識や工夫は、組織にとって大切な資産です。しかし、本人の経験や勘にとどまっていれば、ほかの人が同じように実践できるとは限りません。
そこで必要になるのが、経験を共有するだけでなく、ほかの人も実践できる形に整理することです。
例えば、うまくいった応対について、単に会話内容を記録するだけでは、なぜその質問をしたのか、何を確認するためだったのか、どのような条件で次の案内に進んだのかまでは伝わらない場合があります。
必要なのは、言葉だけでなく、その応対が何を実現するためのものだったのかを理解できるようにすることです。
そして、整理した内容を教育や業務手順に反映し、実際の業務で使いながら、必要に応じて見直していきます。
このような取り組みによって、個人の経験を組織全体で活用できる知識へと変えていくことができます。
ただし、知識を共有すれば、すぐに誰もが同じように実践できるわけではありません。実践する機会や支援、振り返りの仕組みも必要です。
個人の努力に頼るのではなく、知識を実践し、学び、改善する循環を組織としてつくることが重要になります。
変化の実践・振り返り・改善を続ける
組織変革は、施策を導入した時点で完了するものではありません。
実際に変化が生まれているか、期待した成果につながっているかを確認し、必要に応じて見直すことが重要です。
例えば、新しい業務手順を導入した場合、実際に使われているかだけでなく、業務が進めやすくなったか、顧客の問題解決につながっているか、予期しなかった問題が生じていないかも確認します。
期待した成果が得られていない場合には、担当者の努力不足と決めつけず、手順や教育、評価、情報共有などに改善の余地がないかを検討します。
また、実践を通じて新しい気づきが得られたら、それを個人の経験にとどめず、組織全体で共有し、必要な施策に反映します。
このように、目指す姿を明確にすること、必要な施策を設計すること、実践すること、結果を振り返ること、改善することをつなげていく必要があります。
組織変革において大切なのは、施策の数を増やすことではありません。それぞれの施策を組織の目指す姿につなげ、変化を実践し、改善し続けられる状態をつくることです。
AIコーチングエンジンを活用する場合も、組織としての推進体制が必要
こうした考え方は、AIなどのシステムを活用する場合にも当てはまります。
例えば、株式会社アクティブ・コーチング・システムが提供する「AIコーチングエンジン」は、設計された会話の流れに沿って対応候補を提示し、顧客の状況に応じた応対を支援する仕組みです。
しかし、AIコーチングエンジンを導入すること自体が、組織変革の完了を意味するわけではありません。
顧客にどのような価値を提供したいのか、どのような会話運びを実現するのかを設計し、実際の応対で活用できるようにする必要があります。
さらに、実践状況を振り返り、候補やスクリプトを見直し、改善を継続することも欠かせません。
そのため、AIコーチングエンジンの運用では、変革を推進するチームを設けることを必須としています。
これは、コッターの8段階変革プロセスで扱われる推進チームの考え方とも関連します。ただし、両者が同一の仕組みという意味ではありません。重要なのは、変革を特定の担当者やシステム任せにせず、組織として推進し、実践と改善を継続する体制を整えることです。
AIが人に代わって判断や意思決定を行うのではなく、必要な候補を提示し、人が判断・意思決定する。そのうえで、応対から得られた気づきを組織の学習や改善につなげていくことを目指します。
AIやシステムは、組織変革を進めるための手段の一つです。目指す姿、業務、教育、評価、推進体制などと結びついて初めて、その価値を活かしやすくなります。
自社のチェンジマネジメントの現状と課題を振り返る
ここまで、チェンジマネジメントの意味や代表的なモデル、個別の改善施策を組織全体の変化につなげるための考え方を紹介してきました。
では、自社の取り組みは、組織が目指す姿に向かってつながっているでしょうか。
自社の状況を振り返るための視点
まずは、次のような観点から、自社の現状を振り返ってみてください。
1.目指す姿が明確になっているか
- 組織として、どのような状態を実現したいのかが明確になっている
- 関係者が、目指す姿や変革の必要性を理解している
- 個々の施策が、目指す姿とどのようにつながるのかを説明できる
2.新しいやり方が、実際の業務で実践されているか
- 研修で学んだ内容が、日々の業務で活用されている
- マニュアルやスクリプトが、実際の業務に合った形で使われている
- 特定の人だけでなく、組織全体に実践が広がっている
3.教育・業務・評価が連動しているか
- 教育で求める行動と、実際の業務手順が整合している
- 評価基準が、組織の目指す姿に沿った行動を後押ししている
- 新しいやり方を実践するための時間や支援が確保されている
4.実践から得られた気づきが、改善に活かされているか
- 実践結果や課題を振り返る機会がある
- 個人が得た知識や経験を、組織全体で共有できている
- 顧客の声や業務上の気づきが、教育や業務手順の見直しに反映されている
5.変化が継続し、定着しているか
- 改善が一時的な取り組みで終わっていない
- 従来のやり方に戻る原因を確認し、必要な対策を講じている
- 特定の人に依存せず、組織として実践・改善を続けられる
すべての項目が満たされていなければならない、ということではありません。組織の状況や目指す姿によって、優先して取り組むべき課題は異なります。
大切なのは、自社の取り組みがどの段階にあり、何が変化を妨げているのかを把握することです。
組織変革に関する経験や工夫を、アンケートで共有しませんか
組織変革の進め方は、企業の規模や事業、組織の状況によって異なります。
ある企業では教育の改善が重要かもしれません。別の企業では、業務手順や評価制度、情報共有の仕組みを見直すことが必要かもしれません。
一方で、異なる企業の経験を比較することで、共通する課題や、変化を進めるうえで役立つ工夫が見えてくる可能性もあります。
そこで、組織の変革に関する現状や課題、取り組みについて、皆さまの考えをお聞きするアンケートを実施しています。
アンケートでは、組織の変革に関する取り組みの状況や、課題として感じていること、実施している対策、変化を継続するうえでの難しさなどをお聞きします。
回答に正解・不正解はありません。自社の状況を振り返りながら、実際の経験や考えをお聞かせください。
集まった回答は、個人や企業が特定されない形で集計・分析し、全体の傾向を共有する予定です。ほかの回答者の傾向と自社の状況を比較することで、自社の特徴や、今後考えるべき課題を振り返る機会になればと考えています。
なお、アンケートは組織変革に関する調査・分析と集計結果の共有を目的としており、回答者への直接的な営業活動を目的としたものではありません。
自由記述欄には、ご自身や所属企業、顧客などが特定される個人情報・企業情報を記載しないようお願いいたします。
個別の施策を、組織全体の変化につなげるために
チェンジマネジメントとは、組織が目指す姿に向けて変化し、その変化を実際の業務に定着させていくための取り組みです。
研修、マニュアル、業務改善、システム導入など、個別の施策は組織を変えるための重要な手段です。しかし、それぞれを実施するだけで、組織全体が変わるとは限りません。
目指す姿を明確にし、教育・業務・評価・情報共有などをつなげ、実践・振り返り・改善を続けることが重要です。
自社の取り組みは、組織が目指す姿につながっているでしょうか。個別の施策は実施できていても、組織全体の変化には結びついていないことはないでしょうか。
ぜひ、アンケートを通じて、自社の現状や課題、これまでの経験や工夫を振り返ってみてください。
【組織変革に関するアンケートに回答する】
皆さまからお寄せいただいた回答を、組織変革に関する現状や課題を理解し、集計結果を共有するために活用していきます。
ご協力を、よろしくお願いいたします。
参考情報
- Prosci「The Prosci ADKAR Model」
- https://www.prosci.com/methodology/adkar
- Kotter「The 8 Steps for Leading Change」
- https://www.kotterinc.com/methodology/8-steps/
- Cummings, Bridgman, Brown(2016)“Unfreezing change as three steps: Rethinking Kurt Lewin's legacy for change management,” Human Relations
- https://doi.org/10.1177/0018726715577707


