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コールセンターの運営で、重要な指標の一つとなる「応答率」。
応答率は、コールセンターに入ってきた電話のうち、オペレーターが実際に応答した割合を示す指標です。顧客が電話で問い合わせたとき、どれだけつながりやすいかを把握するために使われます。
応答率を維持するために、時間帯ごとの入電数を予測し、必要なオペレーターを配置する。こうした取り組みは、顧客をお待たせしないために欠かせません。
一方で、日々の応答率の管理や要員配置の調整に追われ、顧客期待に応える応対や、コールセンターの品質向上にまで手が回らないということはないでしょうか。
応答率を改善する方法は、要員配置の調整だけではありません。
顧客の問題を解決するための会話運びを設計し、応対に必要な時間や業務の進め方を見直すことで、同じ人員でも対応できる呼量を広げられる可能性があります。
そして、生産性向上によって生まれた余力を、顧客期待に応える応対やサービス改善に活かすこともできます。
この記事では、応答率の意味や計算方法、目安、低下する原因と改善策を整理したうえで、顧客期待に応えるコールセンターをつくるための考え方を解説します。
コールセンターの応答率とは?計算方法と基本的な考え方
応答率の意味と計算方法
コールセンターの応答率とは、コールセンターに入ってきた電話のうち、オペレーターが応答した電話の割合を示す指標です。
計算式は、次のとおりです。
応答率(%)=オペレーター応答件数 ÷ コールセンターへの入電数 × 100
例えば、1日に500件の電話が入り、そのうち450件にオペレーターが応答した場合、応答率は90%です。
応答率を確認することで、入電に対してどの程度応答できているかを把握できます。
ただし、応答率の定義や集計対象は、コールセンターの運用やシステムによって異なる場合があります。着信前に失われた呼を含めるか、IVRなどで処理された呼をどう扱うかによっても数値が変わるため、改善に取り組む際は、まず自社の集計条件を確認することが重要です。
応答率の目安はどのくらい?
コールセンターの応答率については、90%程度を目安として紹介する解説記事が多く見られます。ただし、90%や95%以上であれば、どのようなコールセンターでも適切だと一律に決められるわけではありません。
適切な目標は、問い合わせの内容、入電の集中度、受付時間、顧客が許容できる待ち時間、運営にかけられる人件費などによって変わります。
例えば、緊急性の高い問い合わせを受け付ける窓口と、一般的な商品・サービスの問い合わせを受け付ける窓口では、求められる応答水準が異なることがあります。
また、1日全体の応答率が高くても、特定の時間帯に入電が集中し、その時間帯だけ応答率が大きく低下している場合があります。平均値だけでは、顧客が実際に電話をかけたときのつながりやすさを十分に把握できないこともあるのです。
応答率の目安は、自社の運営状況を確認するための参考として活用し、顧客にとって必要な応答水準と、人件費とのバランスを踏まえて設定することが大切です。
応答率と放棄呼率の関係
放棄呼率は、コールセンターに入った電話のうち、オペレーターにつながる前に顧客が電話を切るなど、応答に至らなかった電話の割合を示す指標です。
例えば、1,000件の電話が入り、800件にオペレーターが応答し、残りの200件がすべて放棄呼として集計される場合、応答率は80%、放棄呼率は20%となります。
このように、応答に至らなかった電話がすべて放棄呼に該当する集計条件であれば、応答率と放棄呼率を合わせると100%になります。
ただし、実際の集計では、IVRでの処理や途中離脱の扱いなどによって、両者の関係が異なる場合があります。何を分母・分子としているかを確認し、同じ条件で比較することが必要です。
放棄呼が増える背景には、顧客が長時間待たされていることや、入電に対して応答できる体制が不足していることなどが考えられます。応答率の改善は、単に管理指標を引き上げることではなく、顧客が必要なときに問い合わせ、問題を解決できる状態を目指す取り組みです。
応答率とサービスレベルは何が違う?
応答率と混同されやすい指標に、サービスレベル(SL)があります。
応答率は、入電数に対して何件の電話に応答できたかを示します。一方、サービスレベルは、例えば「20秒以内に80%の電話に応答する」といったように、一定時間内に応答できた割合を測る指標です。
応答率が高くても、顧客が長時間待たされた後に応答しているのであれば、顧客にとって十分に利用しやすい窓口とはいえないかもしれません。
そのため、応答率だけでなく、時間帯別の応答率やサービスレベル、応答までの平均時間なども併せて確認すると、コールセンターの状況をより具体的に把握できます。
応答率が低下する原因と、要員配置による改善の限界
入電数は時間帯によって変動する
応答率が低下する原因の一つは、入電数と応答できる体制のバランスが崩れることです。
コールセンターには、問い合わせが集中する時間帯もあれば、比較的落ち着いている時間帯もあります。キャンペーンや商品・サービスの変更、障害などによって、想定以上の入電が発生することもあります。
そのため、応答率を安定させるには、過去の入電傾向を分析するだけでなく、入電数が変動する要因を把握し、状況に応じて体制を見直すことが必要です。
また、1日全体の数値だけでなく、30分単位や1時間単位など、適切な時間幅で入電数と応答状況を確認することも有効です。平均値では見えにくい時間帯ごとの課題を把握しやすくなります。
呼量に応じた要員配置と、人件費とのバランス
入電が集中する時間帯にオペレーターを増やせば、応答できる電話が増え、応答率の改善につながる可能性があります。
しかし、要員配置の調整だけで応答率を改善しようとすると、人件費とのバランスが課題になります。
応答率を高めるために常に余裕のある人数を配置すれば、コストが増加します。反対に、人件費を抑えるために配置人数を絞りすぎれば、顧客をお待たせする時間が長くなり、放棄呼の増加につながる可能性があります。
大切なのは、応答率だけを高めることでも、人件費だけを削減することでもありません。
顧客が許容できる待ち時間を意識しながら、人件費とのバランスが取れる運営方法を考えることです。
要員配置の調整に加えて、同じ人員で対応できる呼量を広げる視点
応答率を改善するために、もう一つ考えたいことがあります。
それは、現在の人員で対応できる電話の数を増やせないか、という視点です。
電話への応答から顧客の問題解決までにかかる時間は、問い合わせの内容や複雑さ、確認すべき情報などによって異なります。
もちろん、必要な確認を省いて通話を短くすればよいわけではありません。顧客の問題を解決するために必要な時間は確保する必要があります。
一方で、質問の順序が適切でない、必要な情報を探すのに時間がかかる、担当者によって確認の進め方が大きく異なるといったことがあれば、改善の余地があるかもしれません。
要員配置を調整するだけでなく、顧客の問題解決に向けた会話運びや業務の進め方を見直す。そうすることで、顧客期待に応える応対を維持しながら、生産性を高められる可能性があります。
顧客の問題解決から逆算する会話運び
応対のゴールは、顧客の問題解決
コールセンターで電話を受けるとき、応対のゴールは何でしょうか。
電話に出ること、必要な情報を聞き取ること、決められた案内を終えること。いずれも応対を構成する大切な要素ですが、それだけでは顧客の期待に応えたとは限りません。
顧客が問い合わせるのは、何らかの疑問や困りごと、解決したい問題があるからです。
そのため、応対を設計する際には、まず「この問い合わせで、顧客がどのような状態になれば問題が解決したと言えるのか」を明確にする必要があります。
ゴールが明確になれば、そのために必要な情報や確認事項、説明、案内が見えてきます。逆に、ゴールが曖昧なままでは、何をどこまで確認すべきかが担当者によって変わり、応対時間や品質にも差が生まれやすくなります。
T6から逆算して、T1からT6までの会話運びを設計する
顧客の問題解決を実現するには、応対のゴールから逆算して会話運びを設計することが有効です。
ここでは、応対の流れをT1からT6までの段階で考えます。
図 問題解決から逆算する会話運び
- T1:初動 — 顧客の問い合わせを受け、会話を始める
- T2:質問の起点 — 問題を把握するための質問を始める
- T3:顧客・業務の状態 — 顧客の状況や関連する業務の状態を把握する
- T4:確認 — 問題解決に必要な事項を確認する
- T5:必要状態・情報 — 解決に必要な条件や情報を揃える
- T6:顧客の問題解決 — 顧客が必要とする状態に到達する
設計する際は、まずT6で目指す状態を明確にし、そこからT5、T4、T3へと遡り、最後にT1までの流れを組み立てます。
実際の応対はT1からT6へ進みますが、設計はT6から逆算するのです。
この順序で考えると、各段階で何を確認する必要があるのか、どの質問が問題解決に必要なのかを整理しやすくなります。
また、担当者が変わっても、必要な確認や説明を一定の水準で実践できるよう、会話運びを設計することにもつながります。
必要な質問・確認を、適切な順序で行う
会話運びを設計するときは、質問や確認の数を増やせばよいわけではありません。
必要なのは、顧客の問題解決に必要な質問・確認を、適切な順序で行うことです。
例えば、先に確認すべき情報を後回しにすると、説明の途中で再確認が必要になったり、案内をやり直したりすることがあります。反対に、問題解決に必要な情報が揃っていれば、次に何を案内すべきかを判断しやすくなります。
ただし、すべての問い合わせに同じ質問を一律に行えばよいわけではありません。問い合わせの内容や顧客の状況に応じて、必要な確認を選ぶことが大切です。
顧客の問題解決から逆算して会話運びを設計することは、応対品質を高めるだけでなく、不要な確認や手戻りを減らし、生産性の向上につなげるための取り組みでもあります。
AHTは短ければよいのか?応答率と顧客期待の関係
AHTの短縮だけを目標にすると、顧客の問題解決を見失う
AHT(Average Handling Time:平均処理時間)は、一般に、電話の応対に加えて保留や後処理などを含めた、1件当たりの平均処理時間を示す指標です。集計範囲は運用によって異なるため、自社で何を含めているかを確認する必要があります。
AHTが短くなれば、同じ時間で対応できる件数が増え、応答率の改善につながる可能性があります。
しかし、AHTの短縮だけを目標にすると、本来必要な質問や確認を省いてしまうおそれがあります。顧客の問題が解決していないのに通話を終えれば、再問い合わせや苦情につながるかもしれません。
大切なのは、通話時間を一律に短くすることではなく、顧客の問題解決に必要な応対を適切に行うことです。
必要な時間を確保しながら、不要な確認や手戻りを減らす。顧客期待に応えることと生産性を高めることを、対立するものとして捉えないことが重要です。
呼種ごとに通話時間のばらつきを捉える
通話時間を分析する際には、すべての電話を一括りにして比較するのではなく、問い合わせの内容に応じて分類することが重要です。
例えば、問題が同じもの、手続きが同じもの、相談内容が同じものなどを基準に問い合わせを分類し、パレート図などを用いて呼種を整理します。
異なる呼種では、必要な確認や手続きが異なります。複雑な相談と単純な手続きでは、適切な通話時間が異なって当然です。
そのため、異なる呼種の通話時間を単純に比較して、すべての電話を同じ長さに揃えようとすることは適切ではありません。
注目したいのは、同じ呼種の中で、通話時間にどのようなばらつきがあるのかという点です。
同じ問題を扱っているにもかかわらず、担当者によって確認の進め方や情報の探し方が大きく異なる場合、会話運びや業務の進め方を見直す余地があるかもしれません。
ただし、ばらつきが大きいからといって、すぐに応対が悪いと判断できるわけではありません。顧客の状況や問題の複雑さも考慮し、ばらつきが生じている理由を確認することが必要です。
同一呼種内の不要なばらつきを抑え、生産性向上につなげる
同じ呼種の中で通話時間にばらつきがある場合、その理由を調べることで改善の糸口が見つかる可能性があります。
例えば、必要な確認事項が明確になっていない、質問の順序が担当者ごとに異なる、必要な情報を探すのに時間がかかるといった要因が考えられます。ただし、どの要因が影響しているかは、実際の応対や業務を調査して確かめる必要があります。
問題解決に必要な会話運びを設計し、不要な確認や手戻りを減らすことができれば、同一呼種内の不要なばらつきを抑えられる可能性があります。
ここで注意したいのは、ばらつきが小さくなることと、平均処理時間が短くなることは同じではないという点です。
ばらつきが小さくなっても、平均処理時間が必ず短くなるわけではありません。一方、適切な会話運びによって平均処理時間も短縮できれば、同じ人員で対応できる件数が増え、応答率の改善につながる可能性があります。
目指すのは、すべての電話を機械的に短くすることではありません。顧客の問題解決に必要な応対を維持しながら、不要な時間や業務のばらつきを見直すことです。
顧客の声を集めても、顧客の期待が分かるとは限らない
顧客が何を話したかを知るだけでは足りない
コールセンターには、顧客からさまざまな問い合わせや意見が寄せられます。
何に困っているのか、どのような手続きが必要なのか、商品やサービスについて何を尋ねているのか。こうした発言を記録し、分類することで、顧客の状況を把握できます。
しかし、発言内容を集めるだけで、顧客が本当に求めていることまで理解できるとは限りません。
例えば、同じ質問であっても、初めて利用する人と、何度も同じ問題に直面している人とでは、問い合わせの背景が異なるかもしれません。
顧客の言葉を記録することは出発点です。その言葉が何を意味しているのか、なぜ問い合わせる必要があったのかまで理解することが、顧客期待に応えるための第一歩になります。
顧客の発言の背景にある、意味や事情を理解する
顧客が話した内容の背景には、その人が置かれている状況や、これまでの経緯、解決したい事情があります。
例えば、手続きの方法を尋ねる問い合わせであっても、単に手順を知りたい場合もあれば、期限に間に合うか不安な場合や、以前の案内では解決できなかった場合もあります。
発言だけを見れば、いずれも「手続き方法の問い合わせ」として分類できるかもしれません。しかし、背景が異なれば、必要な説明や確認も変わります。
顧客の発言をそのまま受け取るだけでなく、何が起きているのか、なぜそれが問題になっているのかを理解する。そうすることで、表面的な質問への回答にとどまらず、顧客の問題解決につながる応対を考えられるようになります。
顧客が本当に大切にしている価値や期待を理解する
さらに考えたいのが、顧客が何を大切にしているのかという点です。
顧客は、単に情報を得たいだけとは限りません。安心したい、時間を無駄にしたくない、不利益を避けたい、納得して手続きを進めたいなど、発言の背景にはさまざまな価値や期待が存在します。
その期待を理解できれば、何を優先して案内すべきか、どのような説明が必要か、どこまで確認すべきかを考えやすくなります。
もちろん、すべての問い合わせで顧客の価値観を深く掘り下げる必要があるわけではありません。簡単な質問に簡潔に答えることが、顧客の期待に最も合っている場合もあります。
大切なのは、顧客の発言だけで応対を決めつけず、状況や背景、求めている価値を必要に応じて理解し、適切な応対につなげることです。
三層VOCで、顧客の状況・背景・価値を理解する
A層「状況・現象」を捉える
顧客の声を理解するための一つの考え方が、VOC(Voice of Customer:顧客の声)を三つの層に分けて捉える方法です。
最初のA層は、顧客が話した内容や、実際に起きている状況・現象です。
例えば、「ログインできない」「商品が届かない」「手続きの方法が分からない」といった発言や事象が該当します。
A層を把握することで、顧客が何に困っているのか、何が起きているのかを確認できます。まずは事実や現象を正確に捉えることが、問題解決の出発点になります。
ただし、A層だけでは、なぜそれが顧客にとって問題なのか、どのような対応を求めているのかまでは分からない場合があります。
B層「意味・背景」を理解する
B層では、A層で捉えた状況や現象の背景にある事情や意味を理解します。
なぜログインできないことが問題なのか。なぜ商品が届かないことに困っているのか。問い合わせに至るまでに、どのような経緯があったのか。
こうした背景を理解することで、同じ現象でも顧客によって必要な対応が異なることが見えてきます。
顧客が説明した内容だけで背景が明らかにならない場合には、問題解決に必要な範囲で質問や確認を行います。
重要なのは、担当者が自分の経験だけで背景を決めつけないことです。顧客の話や確認できた事実をもとに、何が起きているのかを理解していきます。
C層「価値観・要求・動機」を理解する
C層では、顧客が大切にしている価値や、求めていること、その行動の動機を捉えます。
例えば、顧客が求めているのは、単に手続きの方法を知ることではなく、期限までに確実に手続きを終えられるという安心かもしれません。あるいは、同じ問題が再び起きないことや、自分の事情を理解してもらうことを求めている場合もあります。
こうした価値や期待を理解できれば、案内する情報の選び方や、説明の仕方、優先すべき対応を考えやすくなります。
ただし、すべての応対で必ずC層まで確認しなければならないわけではありません。顧客の問題や問い合わせの目的によっては、A層の確認と回答だけで十分な場合もあります。
A層からB層、C層へと理解を深めることは、決められた手順ではなく、顧客の問題解決に必要な理解を得るための考え方です。
理解した顧客期待を、応対とサービス改善につなげる
三層VOCで顧客の状況・背景・価値を理解しても、それだけで顧客期待に応えられるわけではありません。
理解した内容を、実際の応対に反映する必要があります。顧客の状況に応じて質問や案内を変え、問題解決に必要な情報を適切に提供することが求められます。
さらに、複数の顧客に共通する問題や、繰り返し寄せられる要望が見つかった場合には、個々の応対だけで解決しようとせず、商品・サービスや業務の改善につなげることも重要です。
顧客の声を集め、背景を理解し、顧客期待に応える応対を行い、そこから得られた気づきを組織に還元する。この循環をつくることで、コールセンターは単に問い合わせに対応するだけでなく、会社全体の改善に貢献できるようになります。
理想だけでは実現できない現実
顧客期待に応える応対を、個人の経験や気力だけに頼っている
顧客期待に応えるためには、顧客の発言を聞き、状況や背景を理解し、必要な対応を考えることが大切です。
しかし、こうした応対を個人の経験や気力だけに頼っていると、担当者によって対応できる範囲に差が生まれやすくなります。
経験豊富な担当者であれば、顧客の発言から背景を推測し、適切な質問を選べるかもしれません。一方、経験の浅い担当者は、何を確認すればよいか分からず、決められた質問を繰り返すだけになってしまうことがあります。
また、日々の応答率や処理件数の管理に追われていると、顧客の背景を理解するために必要な時間や、応対を振り返る時間を十分に確保できないこともあります。
顧客期待に応えることが重要だと分かっていても、それを実践できる条件が整っていなければ、理想と日々の運営との間に隔たりが生じてしまいます。
知識を教えるだけでは、組織全体で応対を再現し続けることが難しい
応対品質を高めるために、研修やOJT、トークスクリプトの整備に取り組んでいるコールセンターは多いでしょう。
こうした取り組みは重要ですが、知識を教えたり、スクリプトを覚えたりするだけでは、さまざまな状況に対応できるとは限りません。
実際の顧客応対では、問い合わせの内容や背景が一件ごとに異なります。用意された文言をそのまま読むだけでは、顧客の状況に合わないこともあります。
必要なのは、何を話すかだけでなく、何のために質問するのか、どの情報を確認するのか、どのような条件で次の対応に進むのかを理解し、実践できることです。
そのためには、個人の経験に任せるのではなく、応対の目的や確認事項、会話の進め方を組織として設計し、実践状況を振り返りながら改善していく必要があります。
個人の努力に依存せず、応対を実践・改善できる仕組みが必要
顧客期待に応える応対を組織全体で実現するには、個人の努力に頼るだけでなく、応対を実践し、改善し続けられる仕組みが必要です。
まず、顧客の問題解決に必要な会話運びを設計します。次に、その会話運びを担当者が実際の応対で活用できるようにし、実践の中で生じた疑問や気づきを集めます。
さらに、うまくいった対応や、改善が必要な対応を振り返り、質問や確認の順序、案内の内容などを見直します。
このように、設計・実践・振り返り・改善を循環させることで、個人の経験を組織の知識として蓄積し、応対の再現性を高めていくことができます。
応答率の改善と顧客期待に応える応対は、別々に取り組むしかないものではありません。日々の業務を見直し、生産性を高めながら、応対を組織として改善できる仕組みを整えることが重要です。
生産性向上の成果を、顧客期待に応える力へ転換するAIコーチングエンジン
顧客の問題解決から逆算した会話運びを、応対で実践する
会話運びを設計しても、担当者が実際の応対で活用できなければ、期待する効果は得られません。
顧客の問題解決に必要な質問や確認事項を整理し、どのような状況で何を確認するのかを明確にする。そして、その内容を実際の応対で使い、顧客の状況に応じて適切な対応を選べるようにする必要があります。
株式会社アクティブ・コーチング・システムが提供する「AIコーチングエンジン」は、こうした会話運びの実践と改善を支援する仕組みです。
あらかじめ設計された会話の流れをもとに、応対中に必要な候補を提示し、担当者が顧客の状況に応じた対応を考えられるよう支援します。
目指しているのは、決められた言葉を機械的に読み上げることではありません。顧客の問題解決に必要な会話運びを、日々の応対の中で実践できるようにすることです。
AIが候補を提示し、人が判断・意思決定する
顧客の状況は一件ごとに異なるため、すべての問い合わせに対して、AIが一つの正解を自動的に決めればよいわけではありません。
AIコーチングエンジンでは、設計された会話の流れに沿って候補を提示し、担当者が顧客の状況を踏まえて判断・意思決定することを重視しています。
判断はヒト・意思決定はヒト。
AIが担うのは、担当者の判断を置き換えることではなく、必要な確認や対応の候補を提示し、適切な応対を支援することです。
担当者が候補を選択した結果や、その選択に関するフィードバックを蓄積することで、会話の流れや候補の提示方法を見直すための材料にもなります。
AIを導入すること自体が目的ではありません。顧客の問題解決に必要な応対を実践しやすくし、組織として改善を続けられる状態をつくることが目的です。
応対で得られた気づきを、スクリプトの改善につなげる
応対で得られた気づきを、スクリプトの改善につなげる
顧客応対では、設計時には想定していなかった質問や、判断に迷う状況が生じることがあります。
そうした経験を個人の記憶だけに残してしまうと、同じ問題が繰り返されたり、担当者が変わるたびに対応を考え直したりすることになります。
そこで重要なのが、応対で得られた気づきを集め、会話運びやスクリプトの改善につなげることです。
例えば、確認事項が不足していた、質問の順序を変えたほうがよかった、案内の条件を明確にしたほうがよかったといった気づきを整理し、必要に応じてスクリプトを修正します。
修正した内容を実際の応対で試し、その結果を振り返って、さらに改善する。この循環によって、個人の経験を組織全体で活用できる知識に変えていきます。
AIコーチングエンジンは、候補の選択や応対の履歴などを活用しながら、会話運びを継続的に見直すための支援を行います。
生産性向上で生まれた余力を、顧客期待に応える取り組みに活かす
会話運びの見直しによって、不要な確認や手戻りが減り、業務の生産性が向上すれば、コールセンターの運営に余力が生まれる可能性があります。
その余力を、単に人員削減や処理件数の増加だけに使うのではなく、顧客期待に応えるための取り組みに活かすこともできます。
例えば、難しい問い合わせへの対応を振り返る時間を確保する、顧客の背景を理解するための教育を充実させる、繰り返し寄せられる要望を分析するといった取り組みです。
生産性向上と顧客期待に応えることを両立させるには、効率化によって何を実現したいのかを明確にしておく必要があります。
応答率を維持するための業務を効率化し、その成果を応対品質の向上やサービス改善に振り向ける。これが、日々の運営と顧客期待に応えるコールセンターづくりをつなぐ考え方です。
応答率の改善から、会社全体のサービス改善へ
顧客応対で得られた声を、組織の学習につなげる
コールセンターには、商品やサービスを利用する顧客の声が集まります。
問い合わせや苦情には、顧客がどこで困っているのか、どのような説明が不足しているのか、何が期待どおりになっていないのかを知る手がかりがあります。
しかし、声を集めて報告するだけでは、会社全体の改善につながるとは限りません。
顧客の状況や背景を理解し、共通する問題や改善の必要性を整理したうえで、関連する部門が活用できる形で共有する必要があります。
例えば、同じ問い合わせが繰り返されている場合、応対者の説明方法だけでなく、商品・サービスの仕様、案内文、手続き、社内業務などに改善の余地があるかもしれません。
顧客応対で得られた声を、関係部門が検討や意思決定に使える情報へと変えることで、コールセンターは組織の学習を支える役割を担えるようになります。
顧客期待に応えることが、サービスや業務の改善につながる
顧客期待に応えるための改善は、コールセンターの中だけで完結するとは限りません。
顧客が何度も同じ質問をするのであれば、案内方法や情報提供の仕方を見直す必要があるかもしれません。手続きに時間がかかっているのであれば、手続きそのものや関連業務を見直す必要があるかもしれません。
顧客の声をもとに問題を整理し、改善すべき対象を特定することで、応対の改善だけでなく、商品・サービスや業務の改善にもつなげられます。
もちろん、顧客の声が集まっただけで、改善が自動的に進むわけではありません。関係部門が情報を共有し、優先順位を決め、実行し、結果を確かめる仕組みが必要です。
顧客期待に応えることを会社全体の取り組みとして捉え、コールセンターで得られた情報を改善に活かしていくことが重要です。
コールセンターを、サービスプロフィットチェーンを回す原動力にする
サービスプロフィットチェーンは、従業員の働く環境やサービス品質、顧客満足、事業成果などのつながりを捉える考え方です。
この連鎖を回すためには、顧客期待に応えるサービスを提供し、その結果から学び、次の改善につなげていくことが欠かせません。
コールセンターは、顧客と直接会話する接点の一つです。顧客の問い合わせや要望、困りごとを通じて、商品・サービスや業務に対する期待と、実際の利用体験との違いを知ることができます。
その情報を応対の改善だけで終わらせず、関連部門と共有し、商品・サービスや業務の改善に活かすことができれば、コールセンターはサービスプロフィットチェーンを回す原動力になり得ます。
応答率の改善は、そのための土台の一つです。顧客をお待たせしない体制を整えるとともに、顧客の声を理解し、組織の学習とサービス改善につなげることが、コールセンターの役割を広げていきます。
応答率の改善と、顧客期待に応えるコールセンターづくりを両立する
応答率を維持するための要員配置は、コールセンターの運営に欠かせません。
しかし、応答率の管理だけに追われていると、顧客期待に応える応対を考えたり、顧客の声をサービス改善につなげたりするための時間を確保しにくくなることがあります。
そこで、要員配置の調整に加えて、顧客の問題解決から逆算した会話運びを設計し、不要な確認や手戻りを減らすことが重要になります。
生産性を高めることで生まれた余力を、応対品質の向上や組織の学習に活かす。さらに、顧客応対で得られた情報を商品・サービスや業務の改善につなげる。
こうした取り組みを組み合わせることで、応答率の改善と、顧客期待に応えるコールセンターづくりを両立する道が見えてきます。
応答率の改善と、顧客期待に応えるコールセンターづくりについて相談する
応答率を改善したいが、何から着手すべきか分からない
応答率の改善に取り組みたいと思っても、要員配置を見直すべきなのか、AHTを分析すべきなのか、応対品質や業務の進め方を見直すべきなのか、判断に迷うことがあるかもしれません。
また、日々の運営を維持することが優先され、課題を整理したり、改善策を検討したりする時間を確保できない場合もあるでしょう。
そのようなときは、いきなり施策を決めるのではなく、まず現状を把握し、何が問題なのかを整理することが重要です。
応答率の数値だけでなく、入電の傾向、呼種ごとの処理時間、顧客応対の進め方、繰り返し寄せられる問い合わせなどを確認することで、改善の方向性が見えてくることがあります。
現状を調査・分析し、課題と対策の優先順位を整理する
株式会社アクティブ・コーチング・システムでは、コールセンターの運営や顧客応対に関する現状を調査・分析し、課題を整理したうえで、対策の立案と優先順位付けまでを無料でご支援しています。
課題を整理する際には、緊急性・重大性・時間の経過に伴う拡大性などを踏まえ、何から着手すべきかを検討します。
応答率の改善が必要な場合でも、原因や業務の状況によって、取り組むべき対策は異なります。要員配置の調整が必要なのか、会話運びや業務の進め方を見直すべきなのか、顧客の声を活用する仕組みが必要なのか。現状を踏まえて検討することが大切です。
改善策の詳細設計や実施、定着に向けた支援については、整理した課題やご要望に応じて検討します。
株式会社アクティブ・コーチング・システムへの相談
応答率の改善は、数値を高めることだけが目的ではありません。
顧客をお待たせしない体制を整えながら、顧客の問題解決に必要な応対を実践できるようにする。そして、顧客応対で得られた声を、組織の学習やサービス改善につなげていくことが重要です。
「応答率の改善に追われ、応対品質の向上まで手が回らない」
「AHTを見直したいが、どこに改善の余地があるのか分からない」
「顧客の声を集めているものの、具体的なサービス改善につながっていない」
このようなお悩みがありましたら、株式会社アクティブ・コーチング・システムにご相談ください。
まずは現状を調査・分析し、課題を整理して、何から着手すべきかを一緒に考えます。
応答率の改善を、顧客期待に応えるコールセンターづくりへ。
日々の運営と、顧客期待に応えるための取り組みを両立する方法を、一緒に考えていきましょう。



