SVガチャでOJTが辛いのでは?
目次
「意図を汲んでください」と言われても、何をすればいいのでしょうか
FAQやマニュアルを増やせば、意図を汲めるようになるのでしょうか
ベテランは「察している」のではなく、何かを確認しているのかもしれない
「意図を汲むための質問や確認」が、組織の知識になっていますか
AIに「意図を汲んでもらう」のではなく、人が意図を確かめるためにAIを使う
「意図を汲む」という言葉を聞いたとき、どんなことを思い浮かべますか?
相手の気持ちを察すること。
相手が言葉にしていないことを想像すること。
経験を積んで、相手が何を求めているのか分かるようになること。
コールセンターでも、「お客様の意図を汲み取って応対しましょう」と言われることがあります。
でも、少し考えてみると、
「意図を汲むって、具体的には何をすればいいの?」
と思うことはないでしょうか。
そして、もし意図を汲めないことで悩んでいるなら、
「意図を汲めないのって、私だけなのかな?」
と思ってしまうかもしれません。
今回は、そんな「意図を汲む」を、コールセンターの顧客応対から考えてみます。
「意図を汲む」と、顧客応対は何が変わるのでしょうか
例えば、お客様から、
「先月買った商品が動かないんですけど……」
と電話があったとします。
オペレータが、
「説明書の○ページをご確認ください」
と答えたとします。
質問には答えています。
しかし、お客様が電話をした理由が、
「説明書を見ても動かない。自分の使い方が悪いのか、商品の問題なのか知りたい」
だったとしたら、どうでしょうか。
お客様が知りたいことと、オペレータが答えたことが、少しずれています。
お客様から、
「そこを見ても動かないから電話しているんです」
と言われるかもしれません。
ここで起きているのは、単純な「回答ミス」とは少し違います。
お客様が話した言葉には答えているけれど、お客様が電話をした目的まで確認できていない。
つまり、
「質問に答えること」と、
「お客様が何を求めているのかを理解して応えること」
は、同じではないのです。
だからこそ、顧客応対では「意図を汲む」ことが意味を持ってきます。
「意図を汲めない」と、こんなことが起きていませんか?
では、実際のコールセンターではどうでしょうか。
例えば、
- お客様の質問には答えているのに、なぜか会話がかみ合わない
- 同じ説明を何度も繰り返している
- お客様から「そういうことではない」と言われる
- モニタリングで「お客様の意図を汲めていない」と指摘される
- ベテランなら対応できるのに、新人には難しい
- 「もっとお客様の意図を考えて」と教育しているが、なかなか変わらない
こんなことはないでしょうか。
もし思い当たることがあれば、
「自分の質問の仕方が悪いのかな」
「経験が足りないのかな」
と考えるかもしれません。
実際、経験によって応対が変わることはあります。
ただ、ここで一度、
「意図を汲む」とは、そもそも応対中に何をしていることなのか?
を考えてみる必要があります。
そもそも、「意図を汲む」って何をしているのでしょうか
「意図を汲む」という言葉は、どこか感覚的です。
「相手の気持ちを察する」
「相手の立場になって考える」
という説明もできます。
もちろん、それも大切でしょう。
しかし、コールセンターの応対を実際に見てみると、「意図を汲む」ことは、もっと具体的な行動として表れているのではないでしょうか。
例えば、
お客様の言葉を聞く。
↓
何が起きているのか確認する。
↓
その背景には何があるのか考える。
↓
必要なことを質問する。
↓
答えによって、次に何を確認するかを変える。
↓
お客様が何を求めているのかを確認する。
↓
その内容に合わせて応対する。
こうして見ると、
「意図を汲む=相手の心を読む」
だけではありません。
むしろ、
会話をしながら、お客様の意図を確かめていく
という側面が大きいのではないでしょうか。
「みんな、どうやって顧客の意図を汲んでいるの?」
ここで、少し視点を変えてみます。
「意図を汲めない人」の特徴を探すのではなく、
意図を汲めている人は、応対中に何をしているのか?
を見てみます。
ベテランの応対では、同じお客様の言葉を聞いても、確認することが違う場合があります。
例えば、
「商品が動かない」
という言葉を聞いたとき、
「説明書をご確認ください」
とすぐに答えるのではなく、
「いつから動かなくなりましたか?」
「その前に、何か操作をされましたか?」
「説明書のどの部分まで確認されましたか?」
など、状況を確認する質問をするかもしれません。
さらに、その答えによって、
「では、こちらを確認しましょう」
と次の質問や説明を変える。
ここで重要なのは、質問の数ではありません。
何のために、その質問をしているのか。
そして、
その答えを受けて、次にどう会話を進めるのか。
です。
「意図を汲んでください」と言われても、何をすればいいのでしょうか
コールセンターでは、モニタリングや品質評価によって、
「お客様の意図を汲み取れていない」
ということが分かる場合があります。
それ自体は、とても大切な気づきです。
問題は、その後です。
「次からは、もっと意図を汲みましょう」
と言われたとしても、オペレータからすれば、
「では、次の応対で何をすればいいのでしょうか?」
となることがあります。
どこを確認するのか。
何を質問するのか。
どんな答えだったら、次の質問に変えるのか。
どの段階で、お客様が求めていることを確認するのか。
ここまで具体化されていなければ、
「意図を汲む」という言葉だけでは、次の行動につながりにくいのです。
モニタリングで問題を見つけることと、
次の応対で何をするかを分かるようにすること。
この二つは、別々に考える必要があります。
FAQやマニュアルを増やせば、意図を汲めるようになるのでしょうか
コールセンターでは、FAQやマニュアルを整備することがあります。
これはもちろん重要です。
「この質問には、この回答」
という知識が整理されていれば、必要な情報を探しやすくなります。
しかし、「意図を汲む」という場面では、それだけでは足りないことがあります。
なぜなら、お客様が同じ言葉を使っていても、その背景が同じとは限らないからです。
だから必要になるのは、
答えだけではなく、その答えにたどり着くまでの会話の進め方
です。
例えば、
- 最初に何を確認するのか
- なぜ、その確認が必要なのか
- 次に何を質問するのか
- 答えによって、どこで分岐するのか
- どの状態になったら、説明に移るのか
- お客様が求めていることを、どこで確認するのか
といったことです。
FAQに「答え」があっても、
「その答えを出す前に、何を確認するのか」
がなければ、応対者によって会話の進み方が変わることがあります。
ベテランは「察している」のではなく、何かを確認しているのかもしれない
ベテランの応対を見ると、
「経験があるから分かる」
と説明されることがあります。
確かに、経験は重要です。
ただ、そこで終わってしまうと、
「新人も経験を積むしかない」
という話になってしまいます。
そこで、ベテランが実際の応対で何をしているのかを見てみます。
お客様の言葉のどこに反応しているのか。
どんな確認をしているのか。
なぜ、その質問を選んだのか。
どんな答えが返ってきたら、次の会話をどう変えるのか。
こうして見ていくと、ベテランが持っているのは、単なる「答えの知識」ではないことがあります。
質問の目的。
確認するポイント。
会話の進め方。
分岐するときの基準。
そうしたものが、経験の中に蓄積されているのです。
つまり、
「意図を汲む」という行為そのものを、もう少し具体的に見ることができます。
「意図を汲むための質問や確認」が、組織の知識になっていますか
ここまで考えると、少し違う問題が見えてきます。
ベテランにはできる。
新人には難しい。
モニタリングでは指摘できる。
教育でも説明する。
それでも、同じ問題が繰り返される。
このとき、
「オペレータの能力をもっと高めよう」
だけで終わらせてよいのでしょうか。
もちろん、教育は必要です。
しかし同時に、
「意図を汲むために、何を確認し、どのように会話を進めるのか」が、組織の知識になっているか
を見る必要があります。
ベテランが無意識に行っている質問や確認を、
「経験がある人だからできること」
で終わらせるのではなく、
誰が応対しても確認できる形に整理する。
そこに、応対品質を再現していくための一つの考え方があります。
AIに「意図を汲んでもらう」のではなく、人が意図を確かめるためにAIを使う
ここまで整理すると、AIの使い方も変わってきます。
AIに、
「このお客様の意図はこれです」
と決めてもらうことだけが、AI活用ではありません。
むしろ、
「お客様の意図を確かめるために、今、何を確認すればいいのか」
を応対者が進められるようにする。
そのためには、あらかじめ、
- 質問
- 確認ポイント
- 質問の目的
- 会話の流れ
- 分岐
- 選択基準
などを整理しておく必要があります。
AIは、その整理された知識をもとに、応対中の次の確認や会話の進め方をナビゲートする。
ここでは、
判断はヒト・意思決定はヒト
という考え方が重要になります。
AIが顧客の意図を勝手に決めるのではありません。
人が顧客と会話し、人が確認し、人が判断する。
AIは、そのための会話を支援する。
AIコーチングエンジンで、応対中の会話をナビゲートする
当社では、ベテランが持っている質問、確認、会話の進め方、分岐、選択基準などを、組織で使える知識として整理することを考えています。
そして、それを応対中に活用するための仕組みが、AIコーチングエンジンです。
目的は、AIに応対を任せることではありません。
応対者が、
「今、このお客様について何を確認すればいいのか」
「この答えだったら、次に何を確認するのか」
を考えながら、顧客との会話を進められるようにすることです。
「お客様の意図を汲んでください」
という抽象的な指導を、
「この状況では、まず何を確認するのか」
という具体的な応対行動に変えていく。
それが、AIを使った応対支援の一つの考え方です。
「意図を汲めない」のは、あなた一人の問題ではないかもしれません
ここまで読んで、
「やっぱり自分は意図を汲むのが苦手なのかな」
と思った方もいるかもしれません。
もちろん、質問の仕方や経験、知識などによって、応対には違いが出ます。
ただ、その前に一度確認してみてください。
- 意図を汲むことを「察すること」とだけ教えていないか
- 「もっと意図を汲みましょう」という指摘で終わっていないか
- ベテランが何を確認しているのか整理されているか
- FAQやマニュアルに「答え」だけが載っていないか
- 質問の目的や確認ポイントが共有されているか
- 質問の答えによって、次にどう会話を進めるのか決まっているか
- 同じモニタリング指摘が繰り返されていないか
もし当てはまるものがあれば、
「意図を汲めない人」を探す前に、
「意図を汲むための会話の進め方が、組織として整理されているか」
を見てみると、違うものが見えてくるかもしれません。
「意図を汲む」を、顧客期待に応えるための行動として考える
顧客は、必ずしも自分の求めていることを最初から正確に言葉にしてくれるとは限りません。
だからこそ、コールセンターでは、
聞く。
確認する。
質問する。
答えを受けて、次の会話を選ぶ。
そして、お客様が何を求めているのかを確かめる。
そうした会話が必要になります。
「意図を汲む」を、特別な才能や経験だけの問題にしてしまうと、ベテランとそれ以外の差を埋めることが難しくなります。
一方で、
「意図を汲むために、応対中に何をしているのか」
まで分解してみると、組織として共有できるものが見えてきます。
顧客の意図を確かめるための質問。
確認するポイント。
会話の流れ。
選択する基準。
これらを整理し、必要に応じて応対中に活用できるようにする。
その先に、顧客期待に応えるコールセンターのつくり方があるのではないでしょうか。
「意図を汲めない」という問題を、人の能力だけの問題として捉えるのではなく、まずは顧客との会話の中で、何が起きているのかから一緒に見てみませんか。


