経営を脅かすリスクを再点検!! 経営リスクを無力化できる対策を公開。是非お役立てください
「コンペジター」という言葉を聞いたことがありますか。
コンペジターとは、英語のcompetitorに由来する言葉で、ビジネスでは「競合」「競争相手」「競合他社」といった意味で使われます。
市場分析では、自社だけを見るのではなく、顧客と競合、自社の3つの視点から市場を捉える「3C分析」がよく知られています。
では、競合を調べれば、顧客期待に応えられるのでしょうか。
ここで、少し視点を変えてみます。
実際に顧客と毎日会話しているコールセンターでは、顧客からどのような情報を得ることができるのでしょうか。
そして、顧客期待に応えているベテランの応対には、どのような特徴があるのでしょうか。
ACSでは、コールセンターの応対を実証的に調べる中で、興味深いことが分かりました。
ベテランは、顧客との応対をしながら、実は3Cに近い情報を自然に捉えていたのです。
コンペジターとは まず意味を確認する
コンペジターとは、競合、競争相手、競合他社を意味する言葉です。
自社と同じ市場で競争している企業や、顧客から比較対象となる商品・サービスなどを指します。
市場分析では、競合の存在を把握することは重要です。
例えば、
- 競合企業はどこなのか
- どのような商品やサービスを提供しているのか
- 価格はどうなっているのか
- どのような強みを持っているのか
- 顧客からどのように評価されているのか
といった情報を整理することで、自社が置かれている市場の状況を把握できます。
このような分析の代表的な考え方の一つが3C分析です。
3C分析とは何をするものなのか
3C分析は、
- Customer 顧客
- Competitor 競合
- Company 自社
という3つの視点から市場環境を分析する方法です。
競合だけを見るのではなく、顧客が何を求めているのか、自社には何ができるのか、そして競合はどのような存在なのかを整理します。
つまり、本来の3C分析は「競合に勝つために競合だけを見る方法」ではありません。
顧客を起点として、市場と自社の関係を捉えるための考え方です。
ところが、実際の企業活動では、いつの間にか「競合は何をしているのか」「競合より価格が安いか」「競合より機能が多いか」といった競合比較に意識が偏ってしまうことがあります。
そこで、一つの疑問が生まれます。
競合を詳しく分析しているのに、なぜ顧客期待に応えられないことがあるのでしょうか。
競合を分析しているのに、顧客期待に応えられない理由
競合を調べること自体に問題があるわけではありません。
問題は、競合情報を見ているだけでは、目の前の顧客が「何に困っているのか」「何を重要だと考えているのか」までは分からないことです。
例えば、競合の商品に価格面の強みがあったとしても、目の前の顧客が価格を最も重要視しているとは限りません。
「少し高くても安心できるほうがいい」
「購入後のサポートまで考えたい」
「今の自分の状況に合っているものを選びたい」
このように、顧客が求めている価値は、商品スペックや価格だけでは分からない場合があります。
だからこそ、顧客を直接理解する必要があります。
そして、その顧客理解が毎日起きている場所があります。
それがコールセンターです。
顧客期待は、毎日コールセンターに押し寄せてきている
コールセンターには、毎日さまざまな顧客から電話が入ります。
商品について質問する人。
購入を迷っている人。
使い方が分からない人。
不具合について相談する人。
返品や交換を求める人。
そして、会社に対して不満を伝える人。
表面的には、それぞれ違う問い合わせに見えます。
しかし、その会話の中には、
「この人は何に困っているのか」
「なぜ、それを気にしているのか」
「何を重要だと考えているのか」
「何が分かれば納得できるのか」
という情報が含まれています。
つまり、コールセンターには、顧客期待が毎日入ってきています。
ここを単なる問い合わせ処理の場所として見るのか、それとも顧客期待を理解する場所として見るのか。
この違いは、企業にとって非常に大きなものになります。
ベテランは、顧客との応対から何を見ているのか
ここからが、当社が実証実験を通じて見つけたことです。
コールセンターのベテランが顧客と応対している様子を見ていくと、単に質問に答えているわけではありませんでした。
ベテランは、顧客との会話の中で、次のようなことを自然に行っていました。
1 まず顧客の状況を聞く
顧客が何を質問しているのかだけではなく、
「今、どのような状況なのか」
を確認します。
同じ質問でも、顧客の状況によって必要な情報や解決方法は変わります。
2 顧客が商品・サービスの何を重要視しているのかを捉える
次に、自社の商品やサービスについて、
「この顧客は何を重要だと考えているのか」
を見ています。
価格なのか。
使いやすさなのか。
安心なのか。
時間なのか。
他にも、その人なりの選択基準があります。
ベテランは、それを会話の中から読み取っていました。
3 背景に見え隠れする競合の存在を見抜く
さらに、その顧客の質問や反応から、競合の存在が見えてくることがあります。
「他社の商品と比較しているのかもしれない」
「別の商品から乗り換えようとしているのかもしれない」
「競合の商品を使っていて、何か不満を感じているのかもしれない」
こうした情報は、顧客との会話の中に現れます。
4 自社の商品・サービスとの関係を考える
そして、
「この顧客の状況に対して、自社は何を提供できるのか」
を考えます。
ここでは、単純に自社の商品を勧めればよいわけではありません。
顧客が求めている価値と、自社が提供できる価値が合っているかを見ます。
5 そのうえで問題解決に進む
最後に、顧客の状況、重要視していること、競合の存在、自社が提供できる価値などを踏まえて、問題解決へ進みます。
これを整理してみると、ベテランは顧客との応対をしながら、まるで3Cを実践しているように見えます。
ただし、ベテランが頭の中で「Customer」「Competitor」「Company」と分類しながら話しているわけではありません。
顧客との会話を通じて、必要な情報を集め、意味を捉え、選択肢を考え、問題解決につなげているのです。
ベテランの応対スキルは、実はすごかった
この実証実験で分かったことを一言で表すなら、
ベテランの応対スキルは、実はすごかった。
これに尽きます。
ベテランは、単に経験が長いから質問に答えられるわけではありません。
顧客から受けた質問を入口として、
顧客の状況を把握する。
顧客が何を重要視しているのかを捉える。
背景にある競合の存在を見抜く。
自社が提供できる価値との関係を考える。
そして、問題解決へ進める。
こうした一連の会話運びを、自然に行っていました。
だからこそ、顧客から見れば「自分のことを分かってくれている」と感じられる応対につながります。
これは、単純な商品知識だけでは身につきません。
では、新人はベテランになるまで待つしかないのか
ここで、別の問題が出てきます。
ベテランの応対が非常に優れているのであれば、新人も経験を積んでベテランになるまで待てばよいのでしょうか。
もちろん、経験は重要です。
しかし、顧客からすれば、電話を受ける人が新人なのかベテランなのかは関係ありません。
必要なのは、その時に自分の状況を理解してもらい、問題を解決できることです。
新人だからできなくても仕方がない。
経験が浅いから、今は分からなくても仕方がない。
そうやって時間をかけて経験を積むだけでは、顧客期待に応えるまでの期間が長くなってしまいます。
そこで重要になるのが、ベテランが身につけてきた応対の知恵を、必要な瞬間に使えるようにすることです。
AIコーチングエンジンは、ベテランの代わりに判断するものではない
当社が提供するAIコーチングエンジンは、AIに顧客応対を任せるための仕組みではありません。
考え方の中心にあるのは、
「判断はヒト・意思決定はヒト」
です。
AIが行うのは、ベテランが応対の中で行っている、
- 次に何を確認するのか
- どの情報が必要なのか
- どのように会話を進めるのか
- どこで話を分岐させるのか
- 何を選択基準にするのか
といった会話運びを、必要なタイミングで支援することです。
つまり、ベテランになるまで待つのではなく、ベテランが蓄積してきた応対の知恵を、必要な人が必要な瞬間に使える状態をつくります。
顧客との応対を、会社の改善につなげる
もう一つ重要なのは、コールセンターで得られた情報を、その場の問題解決だけで終わらせないことです。
顧客から繰り返し同じ質問が出ている。
特定の商品について誤解が多い。
競合商品との比較で迷う人が多い。
ある説明をすると納得してもらえる。
こうした情報は、コールセンターだけの情報ではありません。
商品、サービス、Webサイト、営業、教育、業務フローなど、会社全体の改善につながる可能性があります。
顧客との応対で得られた情報を会社に戻し、改善し、その改善結果を再び顧客へのサービスに反映する。
この循環ができれば、コールセンターは単なる問い合わせ窓口ではなく、顧客期待を企業活動につなぐ重要な機能になります。
顧客期待に応えるために、コールセンターで何を見るのか
コンペジターを見ることは、もちろん重要です。
しかし、それだけでは顧客期待は見えてきません。
競合を見る。
自社を見る。
そして、顧客を見る。
その顧客が何に困っていて、何を重要だと考え、何を求めているのかを理解する。
その情報をもとに、自社の商品やサービスを考え、必要であれば改善する。
実は、その最初の情報が、毎日の顧客との応対の中にあります。
ACSが実証実験で見つけたのは、まさにこのことでした。
ベテランは、顧客との応対をしながら、3Cに相当する情報を自然に捉え、問題解決につなげていた。
この応対の知恵を、特定のベテランだけの経験で終わらせない。
必要な人が、必要な時に使えるようにする。
そして、顧客との応対で得られた情報を会社の改善につなげる。
それが、顧客期待に応えるコールセンターをつくるための一つの方法だと、ACSは考えています。
コンペジターという言葉を調べていた方も、ぜひ一度、自社のコールセンターに入ってくる顧客の声を見てみてください。
そこには、競合分析だけでは見つけにくい、顧客が本当に求めているものが含まれているかもしれません。
当社では、コールセンターの顧客応対を起点に、応対品質、業務効率化、オペレーター教育、ナレッジ活用、AI活用まで、企業全体の改善につなげる支援を行っています。
会社として顧客期待に応える。
そのために、まず顧客との応対で何が起きているのかを見ることから始めてみませんか。


