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孤独死の特殊清掃費用は保険で払える? 家財保険で必ず確認したい2つの補償

花輪隆俊

花輪隆俊

テーマ:特殊清掃

第4弾


「入居者が家財保険に加入しているので、孤独死が起きても費用はすべて保険で支払われますよね?」
大家さんや不動産管理会社の方から、このような質問を受けることがあります。
入居者が家財保険や少額短期保険へ加入していれば、孤独死が起きた後の費用に備えられる場合があります。
しかし、家財保険へ加入しているだけで、残置物の処分、特殊清掃、消臭、原状回復にかかる費用が、必ずすべて支払われるわけではありません。
家財に500万円の補償が付いていても、特殊清掃に500万円を使えるとは限りません。
確認するべきなのは、家財全体の保険金額だけではありません。
孤独死が起きた際に必要となる費用が、どの補償項目に含まれ、いくらまで支払われる契約になっているかです。
今回は、孤独死が発生した際に家財保険で確認したい補償と、事故が起きる前に見直しておきたいポイントを説明します。
家財保険とは何を補償する保険ですか?
賃貸住宅へ入居する際、多くの方が家財保険や少額短期保険へ加入します。
一般的な家財保険では、火災、水漏れ、落雷、盗難などによって、入居者が所有する家具や家電などに損害が発生した場合に備えます。
さらに、借りている部屋に損害を与えてしまった場合に備える借家人賠償責任補償や、日常生活で他人へ損害を与えた場合に備える個人賠償責任補償などが付いている商品もあります。
ただし、保険商品によって補償内容は異なります。
孤独死が発生した場合の残置物処分費用や特殊清掃費用が、最初からすべての家財保険に含まれているわけではありません。
特約として付ける商品もあれば、補償の対象にならない商品もあります。
支払限度額や保険金を受け取れる人も、契約によって異なります。
「家財保険へ加入している」という事実だけで安心せず、補償内容を確認することが必要です。
確認したい一つ目は残置物処分費用
孤独死が起きた後、室内には家具、家電、衣類、布団、食器、食品、書類などが残されます。
これらを整理するためには、次のような作業が必要です。
貴重品や重要書類の確認。
残しておく物と処分する物の仕分け。
家財の梱包。
室内からの搬出。
車両への積み込み。
処分施設への運搬。
廃棄物の処理。
家電リサイクル対象品の処理。
作業前後の写真記録。
残置物が多ければ、必要な作業員、車両、作業時間、処分費用も増えます。
エレベーターがない建物や、作業車両を近くへ止められない建物では、搬出費用が高くなる場合があります。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどについては、家電リサイクル料金が別に必要になることもあります。
ここで確認したいのが、家財保険の残置物処分費用に関する補償です。
保険証券や契約概要に、次のような名称が書かれていることがあります。
残置物処分費用。
遺品整理費用。
残存物取片づけ費用。
死亡時の家財整理費用。
ただし、似た名称でも補償内容が同じとは限りません。
どのような事故が対象になるのか。
誰が費用を請求できるのか。
どの作業まで補償されるのか。
支払限度額はいくらなのか。
自己負担額はあるのか。
実際の費用を支払った後に請求するのか。
これらを確認する必要があります。
確認したい二つ目は特殊清掃と原状回復の費用
孤独死が発生した部屋では、残された家財を撤去するだけでは、次の入居者を募集できない場合があります。
亡くなってから発見されるまでに時間が経過していると、床や壁などへ体液や臭いが広がっている可能性があります。
その場合は、次のような作業が必要になります。
汚染箇所の調査。
体液や血液などの除去。
消毒と除菌。
害虫対策。
消臭前の洗浄。
臭いの発生源の確認。
完全消臭。
必要な部分の原状回復。
作業後の臭い戻り確認。
これらに備えるのが、特殊清掃、消臭、原状回復に関する補償です。
保険商品によっては、孤独死が発生した際の清掃費用、修復費用、消臭費用などが特約に含まれている場合があります。
しかし、特殊清掃が対象でも、完全消臭や原状回復まですべて対象になるとは限りません。
床の表面を清掃する費用は対象でも、床下の処置や床材の交換が対象外になることがあります。
消毒費用は対象でも、臭いを取り除くための作業は対象外になることも考えられます。
保険会社へ確認するときは、
「孤独死は補償されますか?」
という質問だけでは不十分です。
残置物の処分。
汚染箇所の特殊清掃。
室内全体の消臭。
臭いの発生源への処置。
床や壁などの原状回復。
家賃の損失。
これらが、それぞれ補償されるのかを確認してください。
家財500万円と書かれていても安心できない理由
家財保険の証券に、
家財補償500万円
と書かれていることがあります。
この数字を見て、
「500万円までなら、残置物処分や特殊清掃に使える」
と思う方がいます。
しかし、家財補償500万円は、火災などで入居者の家具や家電に損害が発生した場合の保険金額として設定されていることがあります。
残置物処分や特殊清掃については、別の費用保険金や特約として支払限度額が設定されている場合があります。
例えば、家財補償は500万円でも、
残置物処分費用は上限10万円。
特殊清掃費用は上限20万円。
原状回復費用は補償対象外。
という契約になっている可能性もあります。
反対に、必要な特約を付けることで、孤独死後の費用へ手厚く備えられる商品もあります。
大切なのは、保険証券の一番大きな数字だけを見ることではありません。
事故が起きた際に必要となる作業ごとの支払限度額を確認することです。
全花連が確認をおすすめする補償額
全花連では、賃貸住宅で入居者が加入する家財保険や少額短期保険について、特に次の二つの補償を確認することをおすすめしています。
残置物処分費用が50万円以上あるか。
特殊清掃、消臭、原状回復費用が50万円以上あるか。
これは、すべての孤独死現場が50万円以内で対応できるという意味ではありません。
第一弾のコラムで紹介した全花連公式サイトの施工実例では、1DKの残置物撤去、特殊清掃、全室消臭、ハウスクリーニングを含む参考価格が約32万円でした。
一方で、残置物が非常に多い場合や、汚染が床下や壁の内側まで広がっている場合には、さらに費用が必要になることがあります。
間取りが広ければ、清掃や消臭を行う範囲も広くなります。
建材が腐食していれば、必要な部分を交換しなければならない場合もあります。
保険金額は、部屋の広さ、入居者の生活状況、建物の構造なども考慮して検討する必要があります。
50万円という金額だけで判断するのではなく、何の作業へ50万円を使える契約なのかを確認してください。
入居者の保険と大家さんの保険は役割が違います
孤独死への備えとして確認したい保険は、入居者の家財保険だけではありません。
大家さんが所有する賃貸住宅に付けている火災保険や、賃貸住宅向けの特約で補償される場合もあります。
入居者側の保険では、契約内容に応じて、入居者の死亡後に発生する残置物処分や清掃などの費用に備えます。
大家さん側の保険では、契約内容に応じて、建物の修復、清掃、消臭、家賃収入の損失などに備えられる場合があります。
ただし、入居者と大家さんの双方が保険へ加入していても、同じ費用を重複して受け取れるとは限りません。
どちらの保険へ請求するのか。
どの費用がどちらの契約で補償されるのか。
自己負担額はいくらなのか。
保険会社同士の調整が必要になるのか。
事故が起きたら、入居者側と大家さん側の両方の保険証券を確認し、それぞれの保険会社または代理店へ連絡します。
家賃保証会社の補償も確認が必要です
家賃保証会社と契約している物件では、
「保証会社が付いているので、孤独死後の費用もすべて対応してもらえる」
と思われることがあります。
しかし、家賃保証会社の主な役割は、契約内容に基づいて家賃債務などを保証することです。
孤独死後の残置物処分、特殊清掃、消臭、原状回復まで、必ずすべて対応するとは限りません。
保証会社によっては、死亡時の費用を一定範囲で保証する商品や、保険を組み合わせたサービスを提供している場合があります。
確認したいのは、次の内容です。
死亡後の未払い家賃は何か月分まで保証されるか。
残置物処分費用は対象か。
特殊清掃費用は対象か。
消臭と原状回復は対象か。
相続人と連絡が取れない場合の手続きに対応するか。
残置物を処分する権限まで持っているか。
作業を依頼する業者を指定されるか。
全花連へ作業を依頼できるか。
保証会社へ加入していることと、死亡後の手続きがすべて準備されていることは同じではありません。
家賃保証、保険、死後事務委任は、それぞれ役割が異なります。
事故が起きたら作業前に保険会社へ連絡する
孤独死が発生したら、早く部屋を片づけたいという気持ちから、先に特殊清掃業者へ作業を依頼することがあります。
しかし、保険を使用する可能性がある場合は、作業を始める前に保険会社または保険代理店へ連絡してください。
保険会社が事故状況を確認する前に、室内の物をすべて撤去したり、床や壁を解体したりすると、事故の状態を確認できなくなる可能性があります。
保険金の請求では、次のような資料を求められることがあります。
保険証券。
賃貸借契約書。
事故の発生状況が分かる資料。
警察などから受け取った書類。
作業前の室内写真。
汚染箇所の写真。
残置物の量が分かる写真。
特殊清掃業者の見積書。
作業内容の明細書。
作業後の写真。
領収書や請求書。
必要となる書類は、保険会社や事故の状況によって異なります。
作業前に保険会社へ連絡し、
「どの写真を残す必要がありますか?」
「見積書にはどのような内訳が必要ですか?」
「作業を開始してよいですか?」
と確認することが大切です。
全花連では写真台帳と事故報告書を作成します
全花連では、全国の認定事業者が現地を調査し、見積書、事故報告書、写真台帳を作成します。
それらを全花連本部が確認し、現場の状態と見積内容が合っているかを精査します。
なぜ残置物の撤去が必要なのか。
なぜ特殊清掃が必要なのか。
臭いの発生源はどこにあるのか。
どの範囲まで消臭する必要があるのか。
建材の解体や交換は本当に必要なのか。
写真と作業内容に食い違いがないか。
これらを確認したうえで、全花連の名前で見積りを提示します。
保険会社へ費用を説明する場合も、
「特殊清掃一式」
とだけ書かれた見積書より、必要な作業と金額が分かれている見積書の方が、事故の状況を説明しやすくなります。
ただし、全花連が見積書や写真台帳を作成した場合でも、保険金の支払いを保証するものではありません。
最終的な支払いの可否と金額は、保険契約の内容、事故の状況、提出書類、保険会社の審査によって決まります。
保険で支払われない可能性がある場合
孤独死が発生しても、費用のすべてが保険で支払われるとは限りません。
例えば、次のような場合には、支払いの対象外になったり、保険金だけでは足りなかったりする可能性があります。
必要な特約が付いていない。
孤独死や死亡事故が補償対象に含まれていない。
残置物処分費用の限度額が低い。
特殊清掃は対象でも消臭が対象外になっている。
原状回復費用が対象外になっている。
免責金額が設定されている。
保険契約が失効している。
事故の連絡が遅れている。
必要な写真や書類が残っていない。
契約上の支払条件に該当しない。
請求できる人が決められている。
事故後に補償不足が分かっても、発生した事故に対して後から特約を追加することはできません。
保険の見直しは、何も起きていない時に行う必要があります。
保険があっても残置物を勝手に処分できるわけではありません
ここで注意したいのは、費用を支払う保険があっても、室内の家財を処分できる権限が自動的に生まれるわけではないことです。
保険は費用への備えです。
残置物を処分する権限は、契約や相続に関係する問題です。
入居者が亡くなった場合、室内に残された家財の所有権は、原則として相続人へ承継されます。
保険会社が残置物処分費用を支払う可能性があっても、大家さんや管理会社が自由に家財を処分してよいという意味ではありません。
残置物へ手を付ける前に、次の内容を確認します。
相続人は誰か。
残置物を処分できる人は誰か。
死後事務委任契約はあるか。
賃貸借契約を終了させる権限を持つ人は誰か。
廃棄しない物は指定されているか。
費用の準備と、手続きを行う権限。
この二つがそろって初めて、死亡後の対応を円滑に進めやすくなります。
保険だけでは解決できない部分を準備する全花連安心サービス
全花連安心サービスは、保険商品そのものではありません。
また、保険金の支払いを約束するサービスでもありません。
全花連安心サービスが準備するのは、入居者に万が一のことがあった際に、誰がどのような手続きを進めるのかという道筋です。
死後事務委任に関する契約を活用し、事故が発生した場合の対応を事前に決めておきます。
賃貸借契約の終了に関する手続き。
残置物の確認と整理。
特殊清掃。
完全消臭。
必要な原状回復。
管理会社への鍵の返却。
保険は費用への備えです。
死後事務委任に関する契約は、亡くなった後の手続きへの備えです。
見守りサービスは、異変の早期発見を目指す備えです。
それぞれの役割は異なります。
どれか一つだけで、孤独死後に起きるすべての問題を解決できるとは限りません。
保険、見守り、死後事務委任を組み合わせることで、入居者、ご家族、大家さん、管理会社の負担を減らすことにつながります。
契約更新時に行いたい保険の確認
大家さんや管理会社が、入居者の家財保険を確認する機会として活用しやすいのが、賃貸借契約の更新時です。
更新時には、次の内容を確認します。
家財保険の契約が継続しているか。
保険期間が切れていないか。
現在の補償内容が分かる証券があるか。
残置物処分費用の補償があるか。
支払限度額はいくらか。
特殊清掃と消臭が補償されるか。
原状回復費用が補償されるか。
保険金の請求者は誰か。
事故発生時の連絡先はどこか。
大家さん側の保険と補償が重なっていないか。
ただし、入居者へ年齢だけを理由に保険の追加を求めたり、孤独死への不安を強くあおったりする説明は避ける必要があります。
「高齢だから確認する」のではありません。
賃貸住宅で暮らすすべての入居者について、契約が切れていないか、必要な補償が付いているかを定期的に確認する仕組みにすることが大切です。
入居者へは、
「万が一のときに、ご家族や大家さんへ費用負担を集中させないための確認です」
「火災や水漏れだけではなく、死亡後の片づけに関する補償も確認します」
「今の保険を必ず変更するという話ではありません」
と、丁寧に説明します。
今回のまとめ
孤独死が発生した場合、家財保険や少額短期保険から、残置物処分、特殊清掃、消臭、原状回復などの費用が支払われることがあります。
しかし、保険へ加入しているだけで、すべての費用が必ず支払われるわけではありません。
確認したいポイントは次のとおりです。
家財補償の総額だけを見ない。
残置物処分費用の補償と限度額を確認する。
特殊清掃、消臭、原状回復が補償されるかを確認する。
入居者側と大家さん側の両方の保険を確認する。
家賃保証会社の対応範囲も確認する。
作業を始める前に保険会社へ連絡する。
作業前の写真、見積書、事故報告書を準備する。
保険があっても、残置物を処分する権限が生まれるわけではない。
全花連では、残置物処分費用50万円以上と、特殊清掃、消臭、原状回復費用50万円以上の補償があるかを確認することをおすすめしています。
大切なのは、家財保険へ加入しているかどうかだけではありません。
孤独死が発生したときに必要となる作業へ、実際にいくら使える契約なのかを確認することです。
事故が起きてから補償不足に気づくのではなく、賃貸借契約時や更新時に確認しておく。
費用は保険で準備し、亡くなった後の手続きは死後事務委任に関する契約で準備する。
この二つを事故前に整えることが、入居者、ご家族、大家さん、管理会社の安心につながります。
孤独死後の残置物を処分する権限については、第三弾のコラム「孤独死した入居者の荷物は勝手に処分できる?大家さんが知っておきたい残置物と相続の基本」をご覧ください。
孤独死発生直後の対応については、第二弾のコラム「孤独死が起きたら大家さんと管理会社は何をする?賃貸住宅で最初に確認したい7つのこと」をご覧ください。
特殊清掃の具体的な費用については、第一弾のコラム「孤独死の特殊清掃費用はいくら?全花連の1DK約32万円の実例と料金が決まる仕組み」をご覧ください。
保険金の支払いは、加入している商品、特約、支払限度額、免責金額、事故の状況、提出書類、保険会社の審査などによって異なります。実際の補償内容については、保険会社または保険代理店へご確認ください。

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花輪隆俊
専門家

花輪隆俊(特殊清掃業)

一般社団法人全日本花輪式完全消臭連盟

孤独死現場の特殊清掃・残置物撤去、特許取得の花輪式完全消臭で対応。死後事務委任を備えた「全花連安心サービス」でオーナーの負担を抑え、高齢者や身寄りのない方の安心入居を支えます。

花輪隆俊プロは青森放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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