冬の乾燥肌は「外」と「内」から起きている
「ちゃんと寝ているつもりなのに、朝から疲れている」
「休日に寝だめしても、月曜にはもうぐったり」
仕事に家事に、毎日フル回転の40代・50代の女性から、こんな声をよく聞きます。
その疲れ、実は「睡眠負債(すいみんふさい)」が原因かもしれません。
■睡眠負債って何?――眠りの「借金」です
睡眠負債とは、足りない睡眠が借金のように積み重なっていくこと。
たとえば、体に必要な睡眠が7時間の人が5時間しか眠れないと、毎日2時間の「借金」がたまります。1週間で14時間。この借金、休日の寝だめだけでは返しきれないのです。
借金がたまると、体にはこんなサインが出てきます。
・風邪をひきやすくなる(免疫力の低下)
・仕事でうっかりミスが増える(集中力・判断力の低下)
・なんだかイライラする、気分が沈む
・食べすぎてしまう、やせにくくなる
最後の「食べすぎ」は意外に思われるかもしれませんが、睡眠不足になると食欲を増やすホルモンが増え、満腹を知らせるホルモンが減ることがわかっています。「寝不足だと太りやすい」のは、意志が弱いせいではなく、体のしくみなのです。
■漢方の考え方――眠れないと「若々しさの元」がすり減る
私たちが学ぶ中医学(ちゅういがく:漢方のもとになった中国の伝統医学)では、夜は体を修理する時間と考えます。昼にがんばるための「陽」の力と、夜に体を休めて回復させる「陰」の力。このバランスがとれていてこそ、元気でいられるのです。
睡眠負債がたまると、特に影響を受けるのが「心(しん)」と「腎(じん)」です。
「心」は気持ちの安定を担当。眠りが足りないと、不安になったり、ささいなことでイライラしたりします。
「腎」は若々しさとスタミナの貯金箱。睡眠不足が続くとこの貯金がすり減り、疲れが抜けない、肌が乾燥する、白髪が増える、骨が弱くなる……といった「老化のサイン」が早く現れやすくなると考えます。
つまり漢方の目で見ると、睡眠はいちばん身近なアンチエイジング。40代からの体にとって、眠りは「削ってはいけない時間」なのです。
■今夜からできる、眠りの借金の返し方7つ
むずかしいことは必要ありません。できそうなものから1つずつ試してみてください。
1.夜11時までに布団に入る
漢方では、夜11時からが体の修復タイム。この時間に眠っているかどうかで、回復の質が変わると考えます。まずは「11時就寝」を目標に。
2.食べ物で体を整える
生姜(しょうが)やナツメなど体を温める食材はおすすめ。黒ごまやクコの実は「腎」を補うとされ、スーパーでも手に入ります。夕方以降のコーヒーやお酒は、眠りを浅くするので控えめに。
3.漢方薬・ツボの力を借りる
眠れない悩みには「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」という漢方薬がよく使われます。また、手首の小指側にある「神門(しんもん)」というツボを寝る前にやさしく押すのもおすすめです。
4.寝る前の深呼吸
布団の中で、お腹をふくらませながらゆっくり息を吸い、細く長く吐く。これを数回くり返すだけで、体が「休息モード」に切り替わります。
5.夕方の軽い運動
夕方の散歩やヨガなど、軽めの運動は眠りの質を上げます。逆に、寝る直前の激しい運動は逆効果なのでご注意を。
6.お風呂でゆっくり温まる
シャワーで済ませず、湯船に浸かって体を温めると、血のめぐりがよくなり緊張がほぐれます。ラベンダーの香りや足湯も効果的です。
7.寝室を「眠れる部屋」にする
寝る前はスマホの光や明るい照明を避け、間接照明に。温度・湿度を心地よく保ち、自分に合った枕や布団を選ぶことも大切です。
■まとめ――眠りは、明日のあなたへの投資
睡眠負債は、放っておくと肥満や糖尿病、心臓の病気のリスクを高めることが世界中の研究でわかっています。そして漢方の知恵は、「よく眠ること」こそ若々しさと元気の土台だと教えてくれます。
全部やろうとしなくて大丈夫。まずは「今夜、11時に布団に入る」ことから始めてみませんか。
眠りの借金を少しずつ返して、朝スッキリ目覚められる毎日を取り戻しましょう。体質に合った食養生や漢方薬について知りたい方は、お気軽にご相談ください。


