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腎臓を守る食事と生活習慣ー腎臓セミナー開催 8月22日

岩本益宏

岩本益宏

テーマ:慢性腎臓病(CKD)腎不全と透析治療

中医学の「腎」と5つの身近な食材

「夕方になると足がむくむ」
「以前より疲れが抜けにくい」
「健康診断で血圧や尿たんぱくを指摘された」



仕事や家事、子育てに追われていると、自分の体の変化は後回しになりがちです。しかし、腎臓は不調があっても初期には自覚症状が出にくい臓器です。元気なうちから、食事、血圧、体重、睡眠などを整えておくことが大切です。

今回は、腎臓の働きを現代医学と中医学の両面から初心者にもわかりやすく解説し、毎日の食事に取り入れやすい5つの食材を紹介します。

腎臓は何をしているの?


腎臓は腰のあたりに左右一つずつあり、血液をろ過して、余分な水分や老廃物を尿として排出しています。それだけではありません。

・体内の水分、ナトリウム、カリウムなどを調整する
・血圧の調節に関わる
・赤血球をつくるためのホルモンを分泌する
・骨の健康に関係するビタミンDを活性化する

このように、腎臓は体内の環境を一定に保つために働く重要な臓器です。

慢性腎臓病(CKD)とは、腎機能の低下や尿たんぱくなどの異常が3カ月以上続く状態です。初期には症状が乏しく、むくみやだるさを感じたときには進行している場合もあります。だからこそ、健康診断の血液検査と尿検査を放置しないことが大切です。

中医学の「腎」と、現代医学の腎臓は同じではありません


中医学でいう「腎(じん)」は、解剖学的な腎臓だけを指す言葉ではありません。成長、加齢、生殖、水分代謝、骨や耳などを含む、体の土台となる働きを表す概念です。

中医学では、働きすぎ、睡眠不足、冷え、長く続く不安などによって「腎」の力が消耗すると考えます。疲れが取れない、腰や膝がだるい、冷えやすい、年齢とともに変化を感じる、といった状態を全身のバランスから見ていきます。

ただし、中医学の「腎が弱い」という見立ては、血液検査でわかる腎機能低下と同じ意味ではありません。中医学は体調を整えるための一つの視点であり、腎臓病の診断や治療の代わりにはなりません。

「腎臓に良い食べ物」だけで元気になる?


結論から言うと、特定の食材を食べるだけで腎機能が回復したり、老廃物の排出が急に良くなったりするわけではありません。

健康な腎臓を守る基本は、減塩、適正体重、血圧と血糖の管理、禁煙、適度な運動、十分な休養、定期的な検査です。そのうえで、主食・主菜・副菜をそろえた食事に、身近な食材を無理なく取り入れていきます。

毎日の食事を整える5つの食材


ここで紹介する食材は、腎臓病を治すためのものではありません。健康な人が食事のバランスを整えるための選択肢です。すでに腎機能の低下や高カリウム血症を指摘されている方は、自己判断で増やさず、主治医や管理栄養士に確認してください。

1.ショウガ――減塩料理に香りを加える

ショウガの香りや辛味を使うと、塩や濃い調味料を増やさなくても料理に満足感を出しやすくなります。みそ汁、スープ、蒸し魚、炒め物などに少量加えると便利です。

中医学では、ショウガは体を温め、胃腸の働きを助ける食材として使われてきました。ただし、ショウガを食べるだけで腎機能が改善するわけではありません。胃が弱い方は刺激になりすぎない量にしましょう。

2.ブロッコリー――副菜を増やすきっかけに

ブロッコリーは食物繊維、ビタミンC、葉酸などを含み、忙しい日でも冷凍品を利用しやすい野菜です。主菜だけで済ませず、副菜を加えるきっかけになります。

蒸す、ゆでる、スープに加えるなど、続けやすい方法で取り入れましょう。腎機能によってはカリウム制限が必要になるため、「野菜なら多いほどよい」とは限りません。

3.ブルーベリー――甘いお菓子の代わりに

ブルーベリーはアントシアニンや食物繊維を含む果物です。無糖ヨーグルトに少量加えれば、菓子や甘いデザートを減らす工夫になります。冷凍品なら保存しやすく、忙しい朝にも使えます。

果物にも糖質とカリウムが含まれます。健康によいイメージだけで大量に食べず、適量を意識しましょう。尿路感染症や腎臓病を治療する食材ではありません。

4.もち麦――主食から食物繊維を補う

もち麦は水溶性食物繊維を含み、白米に混ぜることで主食から食物繊維を補いやすくなります。食物繊維の多い食事は、体重や血糖の管理を考えるうえでも役立ちます。

最初は白米に少量混ぜ、胃腸の様子を見ながら増やすと続けやすくなります。腎臓病の食事療法では、必要なエネルギー量やたんぱく質量との調整が必要になるため、個別の指導を優先してください。

5.ビーツ――食卓の彩りとして楽しむ

ビーツは赤い色が特徴の野菜で、葉酸や食物繊維などを含みます。水煮を少量サラダやスープに加えると、食卓の彩りが増します。

「血流を良くして腎臓の老廃物排出を促す」といった表現を見かけることがありますが、ビーツを食べれば腎機能が改善するとまでは言えません。また、カリウムを含むため、腎機能が低下している方は摂取量を専門家に相談してください。

忙しい女性が続けやすい「腎臓を守る食べ方」


食材を探し回るより、毎日の選び方を少し変えるほうが続きます。

朝:もち麦入りごはん、卵、減塩みそ汁
昼:おにぎり、焼き魚または鶏肉、野菜のおかず
夜:主食を適量、豆腐や魚の主菜、ブロッコリーなどの副菜
間食:甘い菓子を毎日食べる代わりに、果物を適量

外食やコンビニを利用する日は、麺類とおにぎりだけのような組み合わせを避け、主菜と副菜を追加します。汁物や麺のスープを残す、ドレッシングをかけすぎない、加工肉や漬物を毎食重ねない、といった工夫も減塩につながります。

今日から始めたい5つの生活習慣


1.健康診断の尿たんぱくとeGFRを確認する
2.家庭でも血圧を測る
3.塩辛い加工食品や汁物を重ねない
4.睡眠を削りすぎず、無理のない運動を続ける
5.鎮痛薬やサプリメントを常用するときは医師や薬剤師に相談する

水分は多ければ多いほどよいわけではありません。健康な方は、のどの渇きや気温、運動量に合わせて補給します。一方、心臓病や腎臓病で水分制限を指示されている方は、その指示を優先してください。

漢方薬や健康食品も「自然なものだから安全」とは限りません。腎機能によっては成分が体内にたまりやすくなったり、処方薬と相互作用したりすることがあります。自己判断で始めず、服用中の薬や検査値を伝えたうえで相談しましょう。

こんなときは医療機関へ


次のような場合は、食材やセルフケアだけで様子を見ず、医療機関に相談してください。

・健康診断で尿たんぱく、血尿、クレアチニン、eGFRの異常を指摘された
・むくみが続く、急に体重が増えた
・尿が極端に少ない、泡立ちが続く、色がおかしい
・高血圧や糖尿病がある
・強いだるさ、息苦しさ、吐き気がある

腎臓の状態は、見た目や体感だけでは判断できません。早めに検査を受けることが、将来の腎機能を守ることにつながります。

まとめ――特別な一品より、毎日の小さな習慣


腎臓を守るために必要なのは、特定の「腎臓に良い食材」に頼ることではありません。塩分を控え、食事のバランスを整え、血圧や血糖、体重を管理し、健診を受けることが基本です。

中医学の知恵は、冷え、疲労、睡眠不足などを含めて生活全体を見直すきっかけになります。ただし、中医学の「腎」と現代医学の腎臓は同じではないことを理解し、検査や治療と上手に組み合わせることが大切です。

まずは今日の食事で、汁を残す、副菜を一品加える、加工食品を重ねない。その小さな選択から始めてみましょう。体質に合う食養生や漢方について知りたい方は、検査結果や服用中の薬がわかるものを持って、専門家へご相談ください。

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岩本益宏
専門家

岩本益宏(医薬品販売業)

有限会社くすりの厚生会

子宝専門の漢方薬店として、カウンセリングで「妊娠力」を高める食生活や睡眠など生活習慣改善についてアドバイスと漢方薬の販売を行う。漢方知識と、自らの不妊治療・体外受精・出産の経験を生かしお客様をサポート

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