【医師監修】 眠れない夜の意外な犯人 薬剤性不眠症のチェックポイント

こんにちは。睡眠障害の専門家として、あなたの眠りの質を客観的に見つめ直すためのガイドをお届けします。
現代社会において「よく眠れない」という悩みは、もはや珍しいことではありません。しかし、その悩みがただの疲れなのか、それとも治療が必要な不眠症なのかを判断するのは難しいものです。そこで役立つのが、世界共通の物差しであるアテネ不眠尺度(AIS)です。
◆アテネ不眠尺度(AIS)とは何か?
アテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale: AIS)は、世界保健機関(WHO)が中心となって策定した、世界的に最も普及している不眠症の判定指標です。全8項目の質問に答えるだけで、自分の睡眠状態を客観的な数値(スコア)として把握できるのが最大の特徴です。
なぜ、この尺度が信頼されているのでしょうか。それは、単に眠れない時間を測るだけでなく、日中のパフォーマンスへの影響まで考慮されているからです。睡眠の質が悪ければ、日中の集中力低下や倦怠感に直結します。アテネ不眠尺度(AIS)は、夜の睡眠と昼の活動の両面から、あなたの健康状態を浮き彫りにします。
◆アテネ不眠尺度(AIS)でチェックしてみよう
以下の8項目について、過去1ヶ月間に週3回以上経験した症状を選んでみてください。
A. 寝つき(入眠までの時間):問題ない(0点)、少し時間がかかる(1点)、かなり時間がかかる(2点)、非常に時間がかかる(3点)
B. 夜間の目覚め:問題ない(0点)、少し困る(1点)、かなり困る(2点)、非常に深刻(3点)
C. 希望より早い目覚め:ない(0点)、少し早い(1点)、かなり早い(2点)、非常に早い(3点)
D. 総睡眠時間:十分(0点)、少し足りない(1点)、かなり足りない(2点)、全く足りない(3点)
E. 睡眠の質:満足(0点)、少し不満(1点)、かなり不満(2点)、非常に不満(3点)
F. 日中の気分:普通(0点)、少し滅入る(1点)、かなり滅入る(2点)、非常に滅入る(3点)
G. 日中の身体的・精神的活動:普通(0点)、少し低下(1点)、かなり低下(2点)、非常に低下(3点)
H. 日中の眠気:全くない(0点)、少しある(1点)、かなりある(2点)、激しい(3点)
判定基準
・0点〜3点:睡眠に大きな問題はありません。現状を維持しましょう。
・4点〜5点:不眠症の疑いが少しあります。生活習慣を見直す時期です。
・6点以上:不眠症の可能性が高いと言えます。早めに専門医へ相談することをお勧めします。
◆スコアが高い場合の対策と向き合い方
もし合計が6点以上でも、過度に落ち込む必要はありません。まずは、どの項目の点数が高かったかを確認してください。
質問A〜Cの点数が高い場合(入眠・睡眠維持の問題):就寝前のスマホ使用や、カフェインの摂取、寝室の温度設定などが影響していることが多いです。脳をリラックスさせる入眠儀式を作りましょう。
質問F〜Hの点数が高い場合(日中の影響の問題):睡眠の時間は足りていても、質が著しく低下している可能性があります。いびきや無呼吸など、自覚しにくい要因が隠れているかもしれません。
睡眠の専門外来を受診する際、このアテネ不眠尺度(AIS)の結果を持参すると、診断が非常にスムーズになります。「なんとなく眠れない」という曖昧な表現ではなく、「アテネ不眠尺度(AIS)で8点だったので相談に来ました」と伝えることで、医師もあなたの状況を的確に把握できるからです。
◆専門家からのアドバイス
睡眠は、食事や運動と同じく、健康を支える大きな柱です。アテネ不眠尺度(AIS)は、あくまでセルフチェックのツールですが、自分自身の身体が出しているSOSに気づくための強力な武器になります。
「たかが不眠」と放置せず、スコアが示すサインを真摯に受け止めてみてください。質の良い睡眠を取り戻すことは、あなたの人生の質(QOL)を劇的に向上させることに他なりません。今夜から、自分の眠りと少しだけ丁寧に向き合ってみませんか?
雨晴クリニックでは、不眠に関するご相談をお受けしています。どうぞお気軽にお尋ねください。



