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【医師監修】子どもの夜泣き:つらい夜に寄り添い、乗り越えるためのヒント

坪田聡

坪田聡

テーマ:子ども

赤ちゃん・夜泣き
子育て中の親御さんにとって、夜泣きは最もつらい悩みのひとつではないでしょうか。「うちの子、どうしてこんなに泣くの?」「いつになったら終わるの?」と、不安や疲労を感じる日々かもしれません。睡眠障害の専門家として、今回は子どもの夜泣きについて、その種類や原因、そしてどうすれば良いのかを解説していきます。

◆夜泣きの種類:赤ちゃんの成長とともに変化する夜の顔

夜泣きと一言で言っても、実はいくつかのタイプがあります。

・生理的夜泣き:生後数ヶ月の赤ちゃんに多く見られ、空腹、おむつの不快感、暑い・寒いなどの生理的な欲求が原因で泣くものです。
・発達性夜泣き:精神運動発達が活発になる時期(寝返り、ハイハイ、つかまり立ち、言葉の習得など)に多く見られます。日中の新しい刺激や興奮が、夜間の睡眠を妨げることがあります。
・習慣性夜泣き:生活リズムの乱れや、寝かしつけの習慣が定着していないことなどが原因で起こる場合があります。特定の時間になると泣く、抱っこしないと寝ない、といったパターンが見られることがあります。
・病的な夜泣き:後述しますが、何らかの病気や不調が原因で泣いている場合です。

お子さんの成長段階によって、夜泣きの様子が変化していくことを知っておくと、少し冷静に対応できるかもしれません。

◆原因・メカニズム:なぜ赤ちゃんは夜泣くの?

赤ちゃんが夜泣きをする原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。

・睡眠サイクルの未熟さ:赤ちゃんの睡眠サイクルは大人よりも短く、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の切り替わりが頻繁です。この切り替わりの際に、目が覚めて泣いてしまうことがあります。
・発達による刺激:日中に新しいことを経験し、脳が活発に活動することで、夜間も興奮状態が続いてしまうことがあります。特に、急激な身体的・精神的発達の時期に夜泣きが増える傾向があります。
・環境要因:部屋の明るさ、室温、音、寝具の快適さなどが、赤ちゃんの睡眠に影響を与えます。
・身体的不快感:空腹、喉の渇き、おむつかぶれ、湿疹、かゆみ、鼻づまり、消化不良(お腹の張り、ゲップなど)といった小さな不調が、泣きの原因となることがあります。
・分離不安:生後6ヶ月以降頃から見られることがあり、ママやパパと離れることへの不安から泣くことがあります。

◆夜泣きと似た症状を示す病気や状態:見過ごせないサイン

ほとんどの夜泣きは成長過程の一時的なものですが、中には病気や特別な状態が隠れていることもあります。

・発熱や感染症:風邪、中耳炎、尿路感染症など、何らかの感染症による体調不良。
・消化器系の不調:胃食道逆流症、乳糖不耐症、食物アレルギーなど。
・神経系の問題:てんかん(夜間てんかん)、発達障害の兆候。
・睡眠時無呼吸症候群:呼吸が一時的に止まることで、苦しくて目を覚ます。
・むずむず脚症候群:脚に不快な感覚があり、動かさずにはいられない状態。
・外傷:転倒や衝突などによる痛み。

これらの病気や状態は、夜泣き以外にも特徴的な症状(高熱、嘔吐、下痢、けいれん、呼吸困難、特定の姿勢を嫌がるなど)を伴うことが多いです。

◆医者にかかった方が良いとき:専門家の助けを求めるサイン

「これは単なる夜泣きではないかも?」と感じたら、迷わず小児科を受診しましょう。特に以下のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。

・高熱がある、けいれんしている
・嘔吐や下痢がひどい、脱水症状が見られる
・呼吸が苦しそう、顔色が悪い
・泣き方がいつもと違う(甲高い叫び声、うめき声など)
・体を触ると特定の場所を痛がる
・活気がなく、ぐったりしている
・体重が増えない、発達が遅れているなど、全体的な成長に不安がある
・夜泣きが何ヶ月も続き、親の心身が限界である

また、発達性夜泣きの場合でも、専門医に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けられることがあります。

◆夜泣き対応のポイント

・まずは泣いている理由を探る(おむつ、空腹、暑い・寒いなど)。
・抱っこや優しい声かけで安心させる。
・すぐにあかりをつけず、寝室を暗く保つ。
・授乳や抱っこで寝かしつけたら、完全に寝入る前にベビーベッドに戻す(眠り始めは浅い眠りなので、親との距離を感じて起きてしまうことを防ぐため)。
・親御さん自身の休息も大切にする。無理な場合は、パートナーや家族に協力してもらう。

◆今日からできる夜泣き予防対策

医療的な介入が必要ない夜泣きについては、家庭でできる対策を試してみましょう。

・生活リズムを整える:毎日決まった時間に起こし、寝かしつける。お昼寝の時間を調整し、日中に適度な活動をさせる。
・快適な睡眠環境を作る 寝室を暗くし、室温を適切に保つ(夏場は26~28℃、冬場は20~22℃が目安)。静かで安心できる環境を整える。
・寝かしつけのルーティンを作る:入浴、絵本の読み聞かせ、子守唄など、毎日同じ行動を繰り返すことで、赤ちゃんが「もうすぐ寝る時間だ」と認識できるようになります。
・授乳や離乳食の時間を調整する:寝る直前の大量の授乳や、消化に悪い離乳食は避ける。夜中に空腹で起きるようなら、寝る前に少し多めに飲ませることも検討する。
・日中のスキンシップを増やす: 抱っこや触れ合い、声かけなど、日中に愛情をたっぷり注ぐことで、安心感が得られ、夜間の分離不安が軽減されることがあります。

子どもの夜泣きは、親にとって本当に大変な時期です。しかし、ほとんどの夜泣きは成長の一過程であり、時期が来れば必ず落ち着きます。一人で抱え込まず、周りの人に相談したり、必要であれば専門家のサポートも積極的に利用してください。心身ともに健康な状態で、この大変な時期を乗り越えていきましょう。


雨晴クリニックでは、 夜泣きの診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

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坪田聡
専門家

坪田聡(医師)

雨晴クリニック

不眠症など睡眠障害の治療に30年以上携わり、快眠に関する正しい知識の普及に力を入れています。コーチングによる生活習慣の見直しから枕の選び方までサポート。メディア出演や著書、セミナーの実績も豊富です。

坪田聡プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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