【医師監修】精神生理性不眠について知ろう:質の高い睡眠を取り戻すために
「眠れない」という悩みを抱えている方は、多いのではないでしょうか。不眠には様々な種類がありますが、今回は「逆説性不眠症(睡眠状態誤認)」について、くわしく解説します。
■逆説性不眠症とは?
逆説性不眠症とは、自分が十分に睡眠を取っているにもかかわらず、眠れていないと強く感じてしまう状態のことです。脳波検査などでは正常な睡眠パターンを示しているにも関わらず、本人は「全く眠れていない」と訴えます。
■なぜ起こる?
逆説性不眠症の原因はまだ解明されていませんが、以下のような要因が考えられています。
・睡眠への過度なこだわり:睡眠の質や量に過度にこだわり、少しでも眠れなかったり、途中で目が覚めたりすると、それが気になってしまい、ますます眠れなくなってしまう。
・ストレス:仕事や人間関係など、日常生活でのストレスが睡眠の質を低下させ、睡眠に対する不安や不満を増幅します。
・身体的な問題:痛みや呼吸器疾患など、身体的な問題が睡眠を妨げ、睡眠への不安を募らせることがあります。
・睡眠習慣の乱れ:不規則な睡眠時間や、昼寝の習慣などが、体内時計を乱し、睡眠の質を低下させます。
■どんな症状がある?
・「全く眠れていない」という強い思い込み:睡眠時間や睡眠の質に関わらず、「一睡もできなかった」と訴えます。
・日中に眠気を感じない:十分に睡眠を取れていないように思えるのに、日中に強い眠気を感じない。
・睡眠への強いこだわり:睡眠時間や睡眠の質を過度に気にし、睡眠記録をつけたり、睡眠薬に頼ろうとしたりする。
■どうやって診断するの?
逆説性不眠症の診断には、問診に加えて、以下の検査が行われることがあります。
・睡眠日誌:睡眠時間や起床時間、日中の眠気などを記録します。
・終夜睡眠ポリグラフ検査:睡眠中の脳や筋肉などの活動を記録し、睡眠の質を客観的に評価します。
・アクチグラフィー(活動量計): 手首に装着する小型の装置で、睡眠・覚醒のリズムを記録する。
■どう治療するの?
逆説性不眠症の治療は、患者さんの状態や原因によって異なります。
・認知行動療法:睡眠に対する間違った考え方や行動を修正し、健康的な睡眠習慣を身につけるための心理療法。
・睡眠薬:一時的に睡眠を促すために、医師の指示のもと睡眠薬を使用する場合もあります。
・生活習慣の改善:規則正しい生活リズムを送り、睡眠環境を整えることが重要です。
■自分でできることは?
・規則正しい生活:毎日決まった時間に寝起きし、昼寝は控えめにする。
・リラックスできる環境づくり:寝室を暗く静かにして、快適な温度に保つ。
・眠る前のリラックスタイム:入浴や読書など、リラックスできる時間を設ける。
・カフェインやアルコールの摂取を控える:カフェインやアルコールは、睡眠を妨げる可能性があります。
・運動:適度な運動は、睡眠の質を改善する効果が期待できます。
■まとめ
逆説性不眠症は、本人が「眠れない」と強く感じていても、実際には十分な睡眠を取れている場合が多いのが特徴です。もし、あなたが「眠れない」と悩んでいる場合は、一人で悩まずに、まずは医師や専門家にご相談ください。
雨晴クリニックでは、逆説性不眠症の方の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。