29.経営者の「学び」への投資~なぜ私は5年で1000万円を知識に変えたのか?
はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。
前回(第59回)は、人間の「感情でモノを買い、理屈で正当化する」という性質に基づき、文章の中に映像や匂い、音を混ぜ込んで読者の脳内に疑似体験を生み出す「五感ライティング」の技術をお届けしました。
さて、超・実践編がスタートしてから、地方の町工場、崖っぷちの美容室、採用難の建設会社、老舗の食品メーカー、そしてBtoBのサブスクビジネスまで、本当に多種多様な業界のリアルな舞台裏をご紹介してきました。
一見すると、それぞれの会社が全く違うツールを使い、違う戦い方をして成功したように見えるかもしれません。しかし、彼らを間近で伴走してきたコンサルタントとしての私の目には、「最速で圧倒的な成果を出す経営者には、驚くほど完全に一致する『3つの共通行動』がある」という事実がはっきりと見えています。
この超・実践編の大きな節目に、業種や会社の規模を問わず、デジタルマーケティング(第31回)を成功に導くための「社長の絶対条件」を総括としてお伝えします。
行動1:100点の準備を待たず、「20点」で市場に突っ込む
成果を出す社長は、とにかく打席に立つスピードが桁外れに早いです。「まずはやってみよう」の精神が骨の髄まで染み込んでいます。
例えば、第51回の町工場の社長は、私が「動画が有効ですよ」とお伝えしたその日の夕方には、オフィスのホワイトボードの前にスマートフォンをセットして最初の1本を撮影していました。動画の編集も、演出も、お世辞にも「プロのクオリティ」とは言えない、いわば20点、30点の出来栄えです。
しかし、マーケティングの正解は、社長の頭の中でも私の頭の中でもなく、常に「市場(お客様)」の中にしかありません。100点満点の完璧なホームページや動画を3ヶ月かけて作る会社よりも、30点のものを今日出し、お客様の反応(データや声:第57回)を見ながら3日ごとに改善していく会社の方が、結果的に10倍の速さで本物の「正解」にたどり着くのです。
行動2:主語が常に「自社」ではなく「お客様」になっている
失敗してしまう経営者の発言は、不思議なほど主語が「うち(自社)」になっています。「うちの技術は」「うちの最新設備は」「うちの今月の売上目標は」─。
一方で、ブレイクスルーを起こす社長の主語は、常に「お客様」です。
第53回の美容室のオーナーは、お客様が帰宅した後の「髪の扱いづらさ(不満)」に24時間アンテナを立てていました。第55回の老舗BtoB企業の社長は、お客様が最も恐れる「インフラトラブルによる業務停止」という痛みを先回りして(第22回)解決しようとしました。
デジタルマーケティングのツールやノウハウ(第58回・第59回の文章術も同様です)は、自社を大きく見せるための拡声器ではありません。お客様の「不」や「悩み」を徹底的に理解し、そこに自社の強みをピタッと合わせるための補聴器であり、望遠鏡なのです。主語をお客様に変えた瞬間から、あらゆるデジタルの歯車が噛み合い始めます。
行動3:最後は「リアル(泥臭いアナログ)」でケリをつける
成果を出す社長は、デジタルを盲信していません。むしろ、デジタルを誰よりも冷徹に使いこなしながら、最後はお客様との「リアルな絆(アナログ)」を徹底的に研ぎ澄まします。
地方の食品メーカー(第56回)が全国から注文を集めた後、スタッフ全員で手書きのお手紙(第24回)を添えたように。口コミを起こした美容室が、紹介してくれたファンに直接「花束」を贈るようなお礼をしたように。
彼らは、デジタルを「効率化の道具」として使い、それによって生み出された時間(第44回)のすべてを、お客様との泥臭い人間関係、すなわち「人肌感(第20回)」の構築に注ぎ込んでいます。このデジタルとアナログの美しい融合(第45回)ができる経営者こそが、お客様を熱狂的なファンへと進化させ、紹介だけでビジネスが回る最強の基盤(第47回、第48回)を作り出すのです。
さいごに
デジタルマーケティングの世界は、日々新しいツールや流行が生まれては消えていきます。しかし、どれだけ時代が変わろうとも、今回お話しした「圧倒的なスピード」「徹底的な顧客視点」「泥臭い人肌感」という3つの本質が揺らぐことはありません。
さあ、これまでの事例やノウハウを胸に、あなたの会社では明日から、どの「小さな一歩」を最速で踏み出しますか?


