42.組織を1つにする「インナーブランディング」~経営者の想いがスタッフに伝わらない本当の理由
はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。
前回(第43回)は、「属人化からの脱却~社長が現場を離れても回り続ける仕組みの作り方」についてお話ししました。定型業務を動画マニュアルなどで徹底的に仕組み化し、スタッフに「任せる勇気」を持つことで、人間だからこそできるおもてなしに全員のリソースを集中させるという内容でしたね。
仕組み化が進み、プレイングマネージャーだったあなたが現場の最前線から一歩引くことができると、経営者自身にまとまった「時間(リソース)」が生まれます。
では、その生まれた貴重な時間を、一体どこに投資すべきでしょうか?
実は、ここでの時間の使い方が、5年後に「生き残る会社」と「ジリ貧になる会社」の決定的な分かれ道になります。
「暇になったから」と、また現場の仕事を探していませんか?
長年、忙しく現場を引っ張ってきた経営者様にありがちなのが、仕組み化によって時間ができると、何をしていいか分からなくなり、結局また現場の細かい仕事に手を出してしまうという現象です。
「スタッフのやり方が頼りないから、自分が手伝おう」「暇に見えるのが嫌だから、とりあえずアポを入れよう」──これでは、せっかくの仕組み化が台無しです。
経営者の時間は、会社の中で最も価値が高く、高コストなリソースです。それを、スタッフでもできるルーティンワークに消費してはいけません。社長の本当の仕事は、「現在の売上を作ること」ではなく、「未来の売上の基盤を作ること」なのです。
「緊急ではないが、重要なこと」に時間を全張りする
時間管理の有名な法則に「緊急度と重要度のマトリクス」というものがあります。日々の業務は以下の4つに分類されますが、現場に追われている経営者は、どうしても①と②の「緊急なこと」だけで1日が終わってしまいます。
| 重要度:高 | 重要度:低 | |
|---|---|---|
| 緊急度:高 | ① 緊急かつ重要(目先のクレーム対応、締め切りのある仕事) | ② 緊急だが重要ではない(突然の電話、意味のない会議や付き合い) |
| 緊急度:低 | ④ 緊急ではないが重要(未来の仕込み、経営戦略、学び、健康) | ③ 緊急でも重要でもない(無駄なネットサーフィン、長すぎる雑談) |
会社を5年先、10年先も存続させ、成長させるために本当に必要なのは、④の「緊急ではないが、重要なこと」にどれだけ時間を割けるかです。具体的には、現場を離れて生まれた時間を、以下のような「未来への仕込み」に投資してください。
デジタルマーケティングの次の一手の構想(新しいツールのテスト、GEO対策の強化など:第27回、第31回)
経営者自身の「学び」への投資(第29回でお話しした通り、私は5年で1000万円を知識に変えました。変化の激しい現代、経営者の知識のアップデートこそが最重要の投資です)
重要なビジネスパートナーやコアなファンとの関係構築(第39回で集まったお客様の声を聞きに行くなど)
社長の「時間の余白」が、会社のイノベーションを生む
毎日、夜遅くまで売上を追うために駆け回っている社長の元には、新しいアイデアやビジネスのチャンスは舞い込んできません。なぜなら、チャンスを受け取るための「心の余白」がないからです。
仕組み化によって生まれた時間を、未来への投資と、経営者自身のインプット(学び)に使う。そうして得た新しい知見や視点が、会社を次のステージへ引き上げる「イノベーション」や「新事業」を生み出します。
さいごに
「忙しい」という漢字は、「心を亡くす」と書きます。目先の業務に心を亡くしていては、会社をどこへ導くべきかという「舵取り」ができません。
今日から、1週間のうち「たった3時間」でも構いません。携帯の電源を切り、現場の仕事を一切忘れ、ただ「5年後の自社をどうしたいか」という未来の戦略を練るためだけの時間を、スケジュール帳に強制的に確保してみてください。その3時間が、数年後の会社の運命を大きく変えることになります。


