12.バナー広告vs検索連動型広告~使い分けの基準は「顧客の温度感」

森和吉

森和吉

テーマ:デジタルマーケティング

「ネット広告を出そうと思うが、画像が出る広告と、検索結果に出る広告、どちらが効果的なのか?」

ネット広告の相談を受ける際、最も頻繁に聞かれる質問の一つがこれです。
デジタル広告には多くの種類がありますが、中小企業がまず押さえるべきは「バナー広告」と「検索連動型広告(リスティング広告)」の2つです。

これらを使い分けるための唯一にして最大の基準は、顧客の「温度感」にあります。

1.【バナー広告】あなたの会社を知らない「潜在層」へ


バナー広告とは、ニュースサイトやブログの端に表示される画像付きの広告です。
この広告のターゲットは、まだ自社の存在を知らず、具体的な解決策も探していない「温度感の低い(冷たい)顧客」です。

  • 役割:「種まき」と「認知拡大」
  • 顧客の心理:「へぇ、こんなサービスがあるんだ」


例えば、管理栄養士が監修する「1食500円の冷凍宅配弁当」を売る場合を考えます。
ターゲットは「本当は手作りしたいけれど、忙しくて時間が作れない」と悩む共働きの母親です。彼女が何気なくスマホでニュースを見ているときに、「1食500円で栄養満点」という画像(バナー)が目に入れば、そこで初めて「宅配弁当という選択肢」を認識します。

バナー広告はクリック率(CTR)こそ高くありませんが、第8回でお話しした「ザイオンス効果(単純接触効果)」を狙うには最適です。7〜8回ほど繰り返し目に入ることで、いざ「今日は夕食を作るのがしんどい」となった瞬間に、自社の名前が真っ先に思い浮かぶようになります 。

2.【検索連動型広告】今すぐ解決したい「顕在層」へ


検索連動型広告は、GoogleやYahoo!でキーワードを検索した際、結果の最上部に出るテキスト広告です。
こちらのターゲットは、すでに自分の悩みを自覚し、解決策を探している「温度感の高い(熱い)顧客」です。

  • 役割:「刈り取り」と「成約」
  • 顧客の心理:「どこに頼むのがベストだろうか?」


先ほどの宅配弁当の例なら、「宅配弁当 ヘルシー」「冷凍弁当 おすすめ」と検索している人が対象です。自ら検索しているため、クリック後の成約率はバナー広告よりも格段に高くなります。

3.【数字で見る】予算配分とキーワード戦略


では、限られた予算をどう配分すべきでしょうか。
私が支援した企業では、以下の「4つのキーワード戦略」を使い分けることで、広告費の無駄を削り、効率的に集客しています。

戦略 キーワード例 目的 メリット
①人気ワード 「宅配弁当」 認知拡大 検索ボリュームが多く、多くの人に知ってもらえる
②比較ワード 「宅配弁当 ヘルシー」 検討客の獲得 ニーズが絞られているため、成約に繋がりやすい
③中間ワード 「宅配 ヘルシー弁当」 予算の最適化 競合が少なく、クリック単価(CPC)を抑えられる
④指名ワード 「(自社ブランド名)」 今すぐ客の獲得 最も成約率が高く、他社への流出を防げる


一般的には、まずは成約に近い「②比較ワード」や「④指名ワード」から広告を出し、利益が出るようになったら、バナー広告や「①人気ワード」へ広げて「種まき」を増やす、という順番が最もリスクの少ない経営判断となります。

「無関心」を「興味」に変える一歩


中小企業がネット広告で失敗する原因は、いきなり「熱い客(今すぐ買う客)」だけを奪い合おうとして、広告費が高騰し、赤字になることです。

「冷たい客」にバナー広告で自社を意識させ、「温まってきた客」を検索広告で確実に捕まえる。
この「パノラマ・デジマ地図」に沿った連携プレーこそが、長期的に安定して売上を上げ続けるコツです。

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