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折本徹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

企業法務の仕事は、留学生を雇用して担当させましょう「下請法、フリーランスとの取引、については知っておく必要があります」

折本徹

折本徹

テーマ:外国人材の雇用と活用

「企業法務の仕事で、留学生を雇用しましょう、育成しましょう」

ビジネスをしていれば、
自社で下請け業者に発注すること、
自社が下請けになること、
はあります。
又は、自社でフリーランスに仕事を発注すること
もあります。
問題が起こらないように、企業法務の仕事を理解し、
企業法務担当として留学生を雇用して育成しましょう。
尚、留学生は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が得られる可能性があります。

それでは、企業法務の内容を見てみましょう。
<下請法>
<フリーランスとの取引>


下請法


下記のことは、禁止されているので注意しましょう
(下請事業者が、親事業者との取引について、禁止されている行為について
公正取引委員会に申し立てをすることは可能です)

公正取引委員会のウェブサイトなどから抜粋し、ご紹介しています。

A 親事業者の禁止事項


1 受領拒否
 下請事業者に責任が無いのに、発注した物品などの受領を拒否することや、
 発注の取り消し、納期の延期などで納品物を受け取らない場合。

2 下請け代金の支払い遅延
 発注した物品などの受領日から60日以内で定められている支払い期日までに、
 下請け代金を払わないこと。
 物品などの検査、検収に日数がかかる場合でも、受領後60日以内に支払わなければ、
 支払い遅延になります。

3 下請け代金の減額
 下請け事業者に責任が無いのに、発注時に決定した下請け代金を発注後に減額すること。
 協賛金の徴収、原材料価格の下落など、名目や方法、金額に関わらず、
 あらゆる減額行為が禁止。

4 返品
 下請け事業者に責任が無いのに、発注した物品などに受領後に返品すること。
 尚、不良品などがあった場合には、受領後6か月以内に限って、
 返品することは認められている。

5 買いたたき
 発注する物品・役務などに通常支払われる対価に比べ、著しく低い下請け代金を
 不当に定めること。
 通常支払われる対価とは、同種又は類似品などの市価。
 下請け代金は、下請け事業者と事前に協議の上、定めることが必要。

6 物の購入強制と役務の利用強制
 下請け事業者に発注する物品の品質を維持するためなどの正当な理由が無いのに、
 親事業者が指定する物(製品、原材料など)、役務(保険、リースなど)を
 強制して購入、利用させること

7 報復措置
 親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、
 その下請け事業者に対して、取引数量の削減・取引停止など、
 不利益な扱いをすること

8 有償支給原材料等の対価の早期決済
 親事業者が有償支給する原材料などで、下請け事業者が物品の製造を行っている場合、
 その原材料などが用いられた物品の下請け代金の支払い日より早く、
 原材料などの対価を支払わせること

9 割引困難の手形の交付
 下請代金を手形で支払う際、銀行や信用金庫など、一般の金融機関で割引を受けること
 が困難の手形{長期の手形}を交付すること

10 不当な経済上の利益の提供要請
  親事業者が自己のために、下請け事業者に金銭や役務、その他の経済上の利益を不当に
  提供させることです。下請け代金の支払いとは独立して行われる、協賛金や従業員の
  派遣などの要請が該当。

11 不当な給付内容の変更、やり直し
  発注の取り消しや発注内容の変更を行ったり、受領した後にやり直しや追加作業を
  行わせる場合に、下請け業者が作業に当たって負担する費用を、
  親事業者が負担しないこと


B 委託取引と資本金の金額

委託取引による親事業者と下請け事業者の関係は、資本金等の額によります

1 物品の製造委託・修理委託
 情報成果物作成委託・役務提供委託
  の委託取引の場合の親事業者と下請け事業者になる関係は、
 資本金等の額によります
 (プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの)

 親事業者は 資本金3億円超  ⇒  下請け事業者は 資本金3億円以下(個人を含む)
 親事業者 資本金1千万~3億円以下 ⇒ 下請け事業者 資本金1千万以下(個人を含む)

2情報成果物作成委託・役務提供委託
の委託取引の場合の親事業者と下請け事業者になる関係は、
 資本金等の額によります
 (プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るものを除く)

 親事業者は 資本金5千万円超  ⇒  下請け事業者 資本金5千万円以下(個人を含む)
 親事業者 資本金1千万~5千万円以下 ⇒ 下請け事業者 資本金1千万以下(個人を含む)

C 委託取引の種類


1 製造委託
 物品の販売や製造を営む事業者が、規格、品質、形状、デザイン、ブランドなどを
 指定して、他の事業者に物品の製造や加工を依頼すること

2 修理委託
 物品の修理を請け負っている事業者が、その修理を他の事業者に委託すること。
 自社で使用する物品を自社で修理している場合に、その修理の一部を他の事業者に
 委託すること

3 情報成果物委託
 情報成果物の提供や作成を営む事業者が、他の事業者にその作成を委託すること。
 プログラム、ラジオテレビ番組、設計図作成など

4 役務委託
 各種サービスの提供を営む事業者が、請け負った役務を他の事業者に委託すること。
 貨物運送、ビルメンテナンス、コールセンターの委託など
 ただし、建設業における下請けは除きます。


D 親事業者の義務


 1 書面交付の義務

 2 書類作成と保存の義務

 3 下請け代金の支払期日を決める義務

 4 遅延利息の支払い義務

1 書面の交付の義務
  口頭発注によるトラブルを未然に防止するため、親事業者は発注にあたって、
発注内容に関する具体的な記載事項をすべて記載した書面を交付する義務があります。
  ただし、試作品の製造、委託修理など、事前に下請代金が算定できない場合などは、
下請代金の算定方法を正式単価の替わりに記載することが認められています。
  この他にも正当な理由があって、発注書面に記載できない項目がある場合は、
内容が決まり次第、補充書面を交付して通知することが認められています。

  記載事項
①親事業者及下請け事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
②製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託をした日
③下請事業者の給付内容
④下請事業者の給付を受領する期日(役務提供の場合は、役務が提供される期日又は期間)
⑤下請事業者の給付を受領する場所
⑥下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日
⑦下請代金の額(算定方法による記載も可)
⑧下請代金の支払期日
⑨手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期日
⑩一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、
親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
⑪電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
⑫原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法

2 書類作成と保存の義務
製造委託をはじめとする下請取引が完了した場合、親事業者は給付内容、下請代金の金額など、
取引に関する記録を書類として作成し、2年間保存することが義務付けられています。
親事業者の違反行為に対する注意を喚起するとともに、
迅速、正確な調査や検査に資することを目的としています。

3 下請け代金の支払期日を決める義務
不当な支払期日の変更、支払遅延により、
下請事業者の経営が不安定になることを防止するため、
親事業者は下請事業者と合意の上で、下請代金の支払期日を事前に定めることが義務付けられています。この場合、支払期日は納入された物品の受領後60日以内で、
かつ、できる限り短い期間になるように定めなければいけません。

4 遅延利息の支払い義務
親事業者が、支払期日までに下請代金を支払わなかった場合、
下請事業者に対して遅延利息を支払う義務があります。
遅延利息は、受領日から60日を経過した日から実際に
支払が行われる日までの期間、支払金額に年率14.6%を乗じた金額となっています。



公正取引委員会の資料から用語の定義


「業として」
社会通念上事業の遂行とみることができる程度にある行為を反復継続に行うこと。

「物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料」
物品とは、
動産をいい、不動産を含まない。固体、液体、気体を問わず有体物である。
半製品とは、
目的物たる物品の製造過程における製造物。
部品とは、
目的物たる物品にそのままの状態で取り付けられ、物品の一部を構成することとなる製作物。
附属品とは、
目的物たる物品にそのまま取り付けられたり、目的物たる物品に附属されたりすることによって、その効用を増加させる製作物。製品の取扱説明書など。
原材料とは、
目的物たる物品を作り出すための資材。

「製造(加工を含む)」
工作を加えることにより新たな物品を作り出すことを製造、一定の価値を加えることを加工。

「委託」
下請法上は、物品の製造、修理、情報成果物の作成、役務の提供を、それぞれ「委託」
する場合は、同法の規制の対象となる。
委託としての実質を有するものであるためには、何らかのデザイン、仕様等を発注者側が示して、これを受注者に作業させることが必要となる。
形式上、「請負」であるか「売買」であるかといった契約上の形式は問わない。
1回限りの委託取引であっても、当該取引について同法が適用されることになる。


「下請け取引の類型」
1 製造委託 
(類型1 )販売目的物品等の製造委託
事業者が業として行う販売の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品、
若しくは原材料若しくはこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託すること。
親事業者が今日として販売を行っていることが要件、
しかし、親事業者自身が製造していることは要件ではない。
例 大規模小売業者の自社ブランドの商品

下請け事業者も、100%丸投げしても、自社の責任で製造を受託していれば、下請け事業者である。
その他の例
・金属製品製造業者が、販売する金属製品を構成する部品の製造に用いる金型の製造を金型製造業者に委託すること
・出版社が、販売する書籍の印刷を印刷業者に委託すること

(類型2) 物品等の製造再委託
事業者が業として請け負う製造の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品、
若しくは原材料も若しくはこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託すること。
類型1との違いは、「業として請け負う製造」か「業として行う販売」である。

・金属製品業者が、製造を請け負う金属製品の製造に用いる金型の製造を金型製造業者に委託すること

(類型3 )修理用部品等の製造委託
事業者が業として行う物品の修理に必要な部婚若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること。
業として物品の修理を行っている事業者が、
その修理に必要な部品又は原材料の製造を他の事業者に委託する。
委託する内容は製造なので、修理ではない。
親事業者が、修理をその顧客から請け負うだけではなく、
自らの工場内の物品の修理を行うことも含まれる。

・販売した金属製品の修理を業としている金属製品業者が、
 修理用部品の製造を製造業者に委託すること

(類型4) 自家使用物品等の製造委託
事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合に、その物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又はこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者
に委託すること。

・工作機械製造業者が、自社の工場で使用する工具を、自社で製造している場合に、
 一部の工具の製造を他の工作機械製造業者に委託すること


2 修理委託
(類型1) 物品の修理再委託
業として修理を請け負っている事業者が、請け負った修理物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること。
修理委託は、修理を委託することが要件であるから、顧客の占有下にある物品の修理を
請け負った親事業者からの委託を受けて、下請事業者が当該顧客の元に出張して修理する
場合も該当する。

・自動車ディーラーが、請け負う自動車修理を修理業者に委託すること

(類型2) 自家用物品の修理委託
顧客から修理を依頼されているのではなく、事業者がその使用する物品の修理を業として
行う場合に、その修理の行為の一部を他の事業者に委託すること。

・製造業者が、自社で使用している工具の修理を自社で行っている場合に、
その修理の一部を修理業者に委託すること

[注意 保守点検業務]
保守点検業務を顧客から請負い、これを再委託する場合、その内容が、故障個所の発見、
定期的部品の交換など、故障個所の修理を伴わない作業に留まるのであれば、修理委託に
該当しないが(役務提供委託に該当する可能性がある)、修理業務を含めて下請け業者に委託する物であれば、修理委託に該当する。


3 情報成果物作成委託
<情報成果物とは?>
(1)プログラム
プログラム、制作過程のシステム設計書
例 ゲームソフト、アプリケーションソフト

(2)映画、放送番組その他映像又は音声その他音響により構成されるもの
例 テレビ番組、アニメーション、テレビCM

(3)文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により
構成されるもの 
例 デザイン、設計図、雑誌広告

(4)上記の3つのほかに、これらに類するもので政令に定めるもの

<情報成果物作成委託とは?>
上記の情報成果物について、販売目的などで仕様、内容を指定して作成を委託。

(類型1) 提供目的情報成果物委託
業として情報成果物を提供している事業者が、その情報成果物の作成の行為の全部
又は一部を他の事業者に委託。

・プログラムの開発業者が、消費者に販売するゲームソフトのプログラムの作成を、
 ほかのプログラム開発業者に委託
・放送事業者が、放送するテレビ番組の制作を番組制作業者の委託
・家電製品製造業者が、消費者に販売する家電製品の取扱説明書の内容の作成を他の事業者に委託
・情報通信事業者が、インターネット上で利用者に有料で提供するコンテンツ作成を、
 コンテンツ作成業者に委託
・飲料メーカーが、新商品の商品パッケージデザインをデザイン会社に委託

(類型2) 情報成果物の作成再委託
業として情報成果物の作成を請け負っている事業者が、その情報成果物の作成の行為の
全部又は一部を他の事業者に委託。

・ソフトウェア開発業者が、ユーザーから請け負うソフトウェアの設計の作成を、他の
 ソフトウェア開発業者に委託
・テレビ番組の制作業者が、制作を請け負うテレビ番組のBGM等の音響データの制作を、
 他の音響制作業者に委託
・工作機械製造業者が、ユーザーから請け負う工作機械に内蔵するプログラムの開発を
 ソフトウェア開発業者に委託
・コンサルティング会社が、顧客から請け負う経営改善計画の作成の一部を他の事業者に
 委託
・デザイン会社が、音楽CD制作会社から請け負うCDのパッケージデザインを他のデザイン会社に
 委託

(類型3) 自家使用情報成果物の作成委託
自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている事業者が、その情報成果物の
作成の行為の全部又は一部の他の事業者に委託。

・事務用ソフトウェア開発業者が、自社で使用する会計ソフトウェアの一部の開発を他のソフト  ウェア業者に委託
・自らポスターデザインの作成を行う広告制作会社が、自社ポスターのデザインの一部を
 デザイン専門会社に委託
・該当しない例
 通信販売業者が、顧客に無償で配布する商品カタログの内容・デザインの作成を自社で
 行っていない場合に、これをデザイン業者に委託しても、「類型3」に該当しない

<情報成果物作成委託とは?>
上記の情報成果物について、販売目的などで仕様、内容を指定して作成を委託。

類型1 提供目的情報成果物委託
業として情報成果物を提供している事業者が、その情報成果物の作成の行為の全部
又は一部を他の事業者に委託

プログラムの開発業者が、消費者に販売するゲームソフトのプログラムの作成を、
ほかのプログラム開発業者に委託
放送事業者が、放送するテレビ番組の制作を番組制作業者の委託
家電製品製造業者が、消費者に販売する家電製品の取扱説明書の内容の作成を他の事業者に委託
情報通信事業者が、インターネット上で利用者に有料で提供するコンテンツ作成を、
コンテンツ作成業者に委託
飲料メーカーが、新商品の商品パッケージデザインをデザイン会社に委託

類型2 情報成果物の作成再委託
業として情報成果物の作成を請け負っている事業者が、その情報成果物の作成の行為の
全部又は一部を他の事業者に委託
ソフトウェア開発業者が、ユーザーから請け負うソフトウェアの設計の作成を、他の
ソフトウェア開発業者に委託
テレビ番組の制作業者が、制作を請け負うテレビ番組のBGM等の音響データの制作を、
他の音響制作業者に委託
工作機械製造業者が、ユーザーから請け負う工作機械に内蔵するプログラムの開発を
ソフトウェア開発業者に委託
コンサルティング会社が、顧客から請け負う経営改善計画の作成の一部を他の事業者に
委託
デザイン会社が、音楽CD制作会社から請け負うCDのパッケージデザインを他のデザイン会社に委託

類型3 自家使用情報成果物の作成委託
自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている事業者が、その情報成果物の
作成の行為の全部又は一部の他の事業者に委託。

事務用ソフトウェア開発業者が、自社で使用する会計ソフトウェアの一部の開発を他のソフトウェア業者に委託
自らポスターデザインの作成を行う広告制作会社が、自社ポスターのデザインの一部を
デザイン専門会社に委託
該当しない例
通信販売業者が、顧客に無償で配布する商品カタログの内容・デザインの作成を自社で
行っていない場合に、これをデザイン業者に委託しても、「類型3」に該当しない


外国人材を雇用して、業務に活用し、発展させませんか?
大学卒業の留学生であれば、企業法務担当で許可が得られる可能性は有ります。

就労在留資格(技術・人文知識・国際業務)の申請の簡単なポイント(外国人社員の雇用)
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/1310576

外国人人材の受入・採用から定着まで

外国人材の就労の在留資格を得るまでの流れ「やることリスト」
外国人を雇う事業所は、日本語学習の支援が望まれるようになりました。
外国人を雇う事業所と日本語教育の推進に関する法律について

日本政府の東京外国人雇用サービスセンター(求人)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/kigyou.html


上記の委託取引を踏まえての親事業者の禁止事項


1 受領の拒否の禁止
下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと

<下請事業者の責に帰すべき理由とは?>
(1)下請事業者の責に帰すべき理由により、下請事業者の給付の内容が、
法3条書面に記載された委託内容と異なる場合
又は下請事業者の給付に瑕疵等がある場合
(2)下請事業者の責に帰すべき理由により、
下請事業者の給付が法3条書面に明記された納期に行なわれなかったため、
そのものが不要になった場合

<受領を拒む>
・下請事業者の給付の全部又は一部を指定した納期に受領しないこと。
・下請事業者が委託された製造等の行為を完了しているにもかかわらず、
 親事業者が納期を延期したり発注を取り消したりする場合。
・親事業者は、下請事業者の責に帰すべき理由があるものを除き、受領を拒むことは許されない。

許されない例
親事業者が自社の生産計画の変更や在庫調整を理由として受領を拒否
親事業者の取引先が発注を取り消したことを理由として受領を拒否


2 支払い遅延の禁止
親事業者が、下請事業者から給付を受領した日
(役務提供委託の場合は、下請事業者からその委託を受けた役務の提供をした日)
から60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払わないことを禁止するもの。
<支払期日の定まり方>
・支払期日が受領日から起算して60日以内に定められている場合は、当該期日が支払期日となる
・支払期日が受領日から起算して60日を超えて定められている場合は、
受領日から60日目が支払期日とみなされる
・支払期日が定められていない場合は、給付日の受領日が支払期日とみなされる

問題となる例
・親事業者がユーザーからの代金支払いが遅れ、
 支払期日に間に合わなくなってしまったとして支払い遅延になった
・下請事業者からの請求書の提出が遅れたことや検査が完了していないことを理由として、
 下請代金の支払いを期日よりも遅らせること
・月末締めの翌々月の25日払いとなれば、制度的に受領後60日を超えることになり支払い遅延
・親事業者が支払期日に120日手形により下請け代金を支払っていたところ、
 これを現金払いとし、従来の手形の満期日に現金を支払う場合は、
 現在の支払期日から120日後に支払うことになる


3 減額の禁止
下請事業者の責に帰すべき理由が無いのに、下請代金を減額すること
<下請事業者が責に帰すべき場合は?>
(1) 受領の拒否、返品の拒否において、下請事業者の責に帰すべき理由があったため、
  給付を受領せず又は返品を行った場合。
  ただし、減ずることができる額は、受領拒否又は返品された給付に係る下請代金に限られる。

(2) 受領の拒否又は返品の拒否において、下請事業者の責に帰すべき理由があり、
  受領を拒否すること又は返品を行うことができるのに、そのまま給付を受領し、
  親事業者が委託内容に合致させるために手直しを行った場合。
  この場合、減額することが許されるのは、親事業者が手直しに要した実費の範囲内。

(3) 下請事業者の給付に瑕疵があり、又は納期遅れがある場合であって、
  これによる給付の価値の低下が明らかであったが、そのまま給付を受領した場合。
  この場合、減額が許されるのは、客観的に相当の額と認められる額。

<下請け代金の額を減ずること>
親事業者が製造委託等をした場合に下請事業者の給付に対し支払うべき代金の額
(役務提供委託をした場合にあっては、役務の提供)
親事業者は、<下請事業者が責に帰すべき理由>があるものを除き、
法3条書面(下請取引において発注内容、下請代金、支払条件等が記載)に記載された下請金額を減額することは一切許されない

<ボリュームディスカウント等合理的な理由に基づく割戻金>
親事業者が、下請事業者に対し、一定期間内に、一定数量を超えた発注を達成した場合に、
下請事業者が親事業者に対して支払う割戻金。
下記の3つの要件を満たしていれば、例外的に下請け代金の減額として問題にならない
(1)当該割戻金の内容が取引条件として、合意・書面化されていること
(2)当該書面における記載と法3条書面に記載されている下請代金の額と合わせて、
実際の下請金額の額と合意されていること
(3)法3条書面と割戻金の内容が記載されている書面との関連付けがなされていること

注意すること
・割戻金支払いの対象となる一定期間(対象期間)における発注予定数量が、
 従来、実際に発注を行っていた一定期間(基準期間)における発注数量を上回ることが必要。
・下請事業者が割戻金を支払うことにより実質的に単価が下がることになっても、
 発注数量の増加による単位コストの低減により、下請事業者が対象期間において得る利益が、
 基準期間における利益を上回ることが必要。

<問題となるケース>
遡及値引きや協力値引きをすることは、問題になる
・遡及値引きは、単価引き下げの合意前に、既に発注されているものにまで、新たに合意成立した新単価に遡及適用すること
・協力値引きは、親事業者がコスト削減等を理由として、協力値引き、協力金などの名目を問わず、
 下請代金の減額をすること


4 役務提供委託
<役務とは?>
他人のために行う労務又は便益。建設工事は除外されている。
<役務提供委託とは?>
事業者が、他者に対し役務を有償で提供しようとする場合に、
その役務の全部又は一部を他の事業者に委託。
自社には、当該役務を提供する能力がない場合においても、提供を請け負って、
それを他の事業者に委託すれば該当する。
なので、委託業者自ら用いる役務を他の事業者に委託する場合は該当しない。

・貨物運送事業者が、請け負った貨物運送のうちの一部を他の運送事業者に委託する
・ビルメンテナンス事業者が、請け負うメンテナンスの一部たるビルの清掃を清掃業者
 に委託する
・広告会社が、広告主から請け負った商品の総合的な販売促進業務の一部の行為である
・商品の店頭配布をイベント会社に委託する
・ソフトウェアを販売する事業者が、当該ソフトウェアの顧客サポートサービスを他の事業者に委託する
・旅行会社が、旅行者から請け負う宿泊施設、交通機関等の手配を他の事業者に委託

該当しない例
・工作機械事業者が、自社工場の清掃作業の一部を清掃業者に委託
・イベント会社が、自社で主催するコンサートの歌唱を個人事業者である歌手に委託
・印刷業者が、自社で利用する印刷機械の保守・点検業務を機械器具製造業者に委託
・自社の社内研修をコンサルティング会社に委託


 5 買いたたきの禁止
下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付にたいし、
通常支払われる対価に比し、著しく低い下請代金の額を不当に定めること。
「定められた下請代金が著しく低いこと」「不当に定められたものであること」
の2つが要件である。
  
「定められた下請金額が著しく低いこと」については、
通常の対価との乖離状況、原材料等の価格動向等が勘案される。

「不当に定められたものであること」については、
下請代金の額の決定に当たり、
下請事業者と十分な協議が行われたかどうか等の対価の決定方法、
差別的であるか、どうか等の決定内容が勘案される。

 「通常支払われる対価」とは、
当該事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価(通常の対価)をいう。
通常の対価の把握が不可能又は困難な場合については、
当該給付についての「従前からの対価」を通常の対価として取り扱うことになる。


6 購入強制・利用強制の禁止
下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合
その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、
又は役務を強制して利用させること
<強制して購入させ、又は役務を強制して利用させる>
例えば、下記のような方法により、
下請事業者に自己の指定する物の購入又は役務の利用を要請すること

(1)購買・外注担当者等下請取引に影響を及ぼすこととなる者が、
下請事業者に購入又は利用を要請すること
(2)下請事業者ごとに目標額又は目標量を定めて購入又は利用を要請すること
(3)下請事業者に対して、購入又は利用しなければ不利益な取扱いをする旨の示唆
して購入又は利用を要請すること
(4)下請事業者が購入若しくは利用する意思がないと表明したにもかかわらず、
又はその表明がなくとも明らかに購入若しくは利用する意思がないと認められるにもかかわらず、
重ねて購入又は利用を要請すること
(5)下請事業者から購入する旨の申し出がないのに、
一方的に下請事業者に物を送付すること

(1)(2)のように取引条件に明示されていなくても、
事実上、下請事業者が購入・利用せざるを得ない場合も該当する。

<下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合
その他正当な理由がある場合とは?>
下請事業者に発注する物品について一定の品質を維持するために、
親事業者の支給する原材料や冶具、工具等を用いることを条件とし、
それらを有償で支給するようなケース


7 報復措置の禁止
親事業者が第1号若しくは第2号に掲げる行為をしている場合
若しくは第3号から前号までに掲げる行為をした場合
又は親事業者について次号各号の一に該当する事実があると認められる場合に、
下請事業者が公正取引委員会又は中小企業庁長官に対し
その事実を知らせたことを理由にとして、
取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取り扱いをすることは、
禁止されている。
口頭であろうと、書面であろうと、
直接知らせても、間接に知らせても知らせた事実があれば、該当する。
公正取引委員会等の調査に協力することによって知らせた場合も該当する。


8 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
自己に対する給付が必要な半製品、部品、附属品又は原材料(以下、原材料等)を
自己から購入させた場合に、下請事業者の責めに帰すべき理由が無いのに、
当該原材料等を用いる給付に対する下請代金の支払期日より早い時期に、
支払うべき下請代金の額から当該原材料等の対価の全部若しくは一部を控除し、
又は当該原材料等の対価の全部若しくは一部を支払わせること。

親事業者が下請事業者に有償支給した原材料等の対価を早期に、
決済することを禁止するものである
(当該原材料を用いた給付に対する下請代金の支払いよりも早く決済することを禁止する)。

<下請事業者の責めに帰すべき理由とは?>
(1)下請事業者が支給された原材料等を毀損し、又は損失したため、
  親事業者に納入すべき物品が不可能となった場合
(2)支給された原材料等によって不良品や注文外の物品を製造した場合
(3)支給された原材料等を他に転売した場合
などが考えられる。

<支払うべき下請代金>
継続取引の中で、これよりも早く支払い期日が到来する下請代金
例えば、月末締め翌月支払いの制度で、3/10に原材料を支給。4/1に納品。
この場合の支払いは、5/31。
にもかかわらず、4/30に支払われる別の下請代金から控除すると問題になる。

任意で支払う場合は問題にならないが、通常は、自ら好んで支払うとは考えられないので、
通常は、原材料等を早期に支払った事実があれば、親事業者が支払わせたものと考えられるので、注意。又、現金だけではなく、手形を交付させて支払ったり、
下請事業者が親事業者に対して債権を有する場合に、
親事業者が原材料等の対価に係る債権と下請事業者の有する債権を相殺させたりするときも、
支払わせることに該当する。


9 割引困難な手形の交付禁止
下請代金の支払いについて、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関
(預金又は貯金の受入れ及び融通を業とする者をいう)
による割引を受けることが困難であると認める手形を交付することを禁止するものである。

どのような手形がを交付することが該当するかは一律に定めることは難しいが、
その業界の商慣行、親事業者と下請事業者との取引関係、
その他金融情勢等を勘案してほぼ妥当と認められるサイトを超える長期の手形を交付することと解される。
現在の運用では、手形サイトが繊維業については90日、
その他の業種については120日を超える手形を交付することが
該当するおそれがあるものとされている。


10 不当な経済上の利益の提供禁止
自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることを禁止するもの。
<自己のために>
専ら下請事業者の利益となる場合を除く、という趣旨。
親事業者の子会社に対し経済上の利益を提供させることにより、
間接的に親事業者の利益となる場合も該当する。
    
<金銭、役務>
・金銭については、協賛金、決算対策費、季節協力金等の名目を問わない。
・役務についても、派遣従業員、手伝い店員等の名目のいかんを問わず、
様々な労務又は便益の提供をいう。
    
<その他経済上の利益>
親事業者が行った委託に対応する情報成果物等の作成過程において、
下請事業者に対し、知的財産権が生じる場合がある。
3条書面に当該詩的財産権を親事業者に提供させることが記載されていないにもかかわらず、
下請事業者に発生した知的財産権を、
作成の目的たる仕様の範囲を超えて親事業者に無償で譲渡・許諾させることは、
下請事業者の知的財産権から、不当な利益を受けることになるので、
その他経済上の利益を提供させるに該当する。
     
<・・・提供させる>
例えば、親事業者による、協力金、労務提供等の要請が単なる「お願い」に留まる場合であっても、
事実上、下請事業者が協力金等を提供せざるを得ない場合に該当する。
しかし、下請取引において、
下請事業者が自らの利益につながるとして親事業者等に対し経済上の利益の提供を行う場合は、
このような下請事業者の行為まで妨げるものではない。
しかし、下請事業者にとって直接の利益となることを親事業者が明確にしない場合には
(提供することの利益が不利益を上回る)、
下請事業者の利益を不当に害するものとして問題になる。
親事業者としては、下請事業者が金銭や労務の提供を行うことにやり、
どれだけの利益が見込めるか合理的根拠を示して明らかにして、
金銭等を提供することによって発生する不利益を上回ることを明確に示す必要がある。

 
11 不当な給付内容の変更及びやり直しの禁止
下請事業所の責めに帰すべき理由が無いのに、
下請事業者の給付の内容を変更させ、又は下請事業者の給付を受領した後に
(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした後に)
給付をやり直させることは、禁止するものである。
  
<給付の内容の変更>
給付の受領前に、発注書面に記載されている委託内容を変更し、
当初の委託内容とは異なる発注を行わせること。
発注の取り消しも該当する。
   
<やり直し>
給付の受領後に、給付に関して追加的な作業を行わせること。
受領した物品等をいったん下請事業者に返していても、
それを修繕させて再納入させたり、良品に交換させたりすること。

<下請事業者の責めに帰すべき理由とは>
親事業者が費用を全く負担することなく、
下請事業者に対して給付内容の変更ややり直しをさせることができるのは、
下記の3つに限られる。
(1)下請事業者の要請により給付の内容を変更する場合
(2)給付を受領する前に下請事業者の給付の内容を確認したところ、
給付内容が3条書面に明記された委託内容と異なること
又は下請事業者の給付に瑕疵等があることが合理的に判断されるので、
その内容を変更させる場合
(3)給付の受領後、その内容が3条書面に明記された委託内容と異なること
又は下請事業者の給付に瑕疵等があることからやり直しをさせる場合

ただし、下記の場合は、下請事業者の給付の内容が委託内容と異なること
又は下請事業者の給付に瑕疵等があることを理由として、
親事業者が費用の負担を全くすることなく、
給付内容の変更ややり直しを要請することは認められない。
(1)下請事業者の給付受領前に、
下請事業者から委託内容を明確にするよう求めがあったにも関わらず
親事業者が正当な理由なく仕様を明確にせず、
下請事業者に継続して作業を行わせ、その後、給付の内容が委託内容と異なる場合
(2)取引の過程において、委託内容について下請事業者が提案し確認を求めたところ、
親事業者も了承したので、下請事業者が当該内容に基づき製造等を行ったにもかかわらず、
給付内容が委託内容と異なるとする場合
(3)検査基準を恣意的に厳しくして委託内容と異なる又は瑕疵等があるとする場合
(4)委託内容と異なること又は瑕疵等のあることを直ちに発見することができない給付について、
受領後1年を経過した場合(
ただし、親事業者の瑕疵担保期間が1年を超える場合において、
親事業者と下請事業者にそれに応じた瑕疵担保期間を定めている場合を除く)
<下請事業者の利益を不当に害すること>
下請事業者の利益を不当に害する場合に給付内容の変更ややり直しが違反とされる。
一方、給付内容の変更又はやり直しのために必要な費用を親事業者が負担するなどより、
下請事業者の利益を不当に害しないと認められる場合は、問題は生じない。

  
公正取引委員会 知るほどなるほど下請法
公正取引協会 鎌田明著作 下請法の実務
から抜粋しました。

 
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外国人を雇う事業所と日本語教育の推進に関する法律について

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フリーランスとの取引


フリーランスとして安心して働ける環境を整備するガイドラインができました。

Aフリーランスとは何か?
実店舗が無い、そして、雇い人もいない
自営業者や一人社長が、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る人です。


Bフリーランスで適用されそうな法律は何か?
独占禁止法。下請法や現行法上「雇用」に該当する場合は、
労働関係法令が適用されることもある。


Cフリーランスとの取引で事業者が遵守すべき事項とは何か?
1 優越的地位の濫用規制についての基本的な考え方
 自己の取引上の地位が、フリーランスに優越的している発注業者が、
 フリーランスに対して、正常な商習慣に照らして不当に利益を与えることは、
 優越的地位の濫用として、独占禁止法により規制されます。

2 発注時の取引条件を明確にする書面の交付に関する基本的な考え方
 優越的地位の濫用となる行為は誘発する原因とも考えられ、発注事業者が発注時の取引
 条件を明確にする書面をフリーランスに交付しないのは、独占禁止法上不親切。
 又、下請法の規制の対象となる場合でも、
 発注事業者が書面をフリーランスに交付しない場合は、
 下請法3条で定める書面の交付義務違反になる。

3  独占禁止法と下請法上問題となる行為は?
(1)報酬の支払い遅延
想定例
・社内の支払手続きの遅延、役務の成果物の設計や仕様の変更などを理由として、
 自己の一方的な都合により、契約の定めた支払期日に報酬を支払わないこと。
・役務の成果物の提供が終わっているにもかかわらず、
 その検収を恣意的に遅らせることなどにより、契約で定めた支払期日に報酬を支払わないこと。
・取引に係る役務の成果物を自己に使用した後に報酬を支払うこととされている場合に、
 自己の一方的な都合によりその使用時期を当初の予定より大幅に遅らせ、
 これを理由として報酬の支払いを遅らせること。
・長期間の役務等の提供を受け、
 非常に高額な報酬を支払うことが契約で定められている場合において、
 当初、契約で一括払いとしたにもかかわらず、
 支払いの段階になって自己の一方的な都合により数年にわたる分割払いとし、
 一括払いに応じないこと 
 
(2)報酬の減額
想定例
・役務の提供が終わっているにもかかわらず、業績悪化、予算不足、顧客からの
 キャンセル等自己の一方的な都合により、契約で定めた報酬の減額を行うこと
・自己の一方的な都合により取引の対象となる役務等の仕様等の変更、やり直し
 又は追加的な提供を要請した結果、
 フリーランスの作業量が大幅に増加すること になるため、
 当該作業量増加分に係る報酬の支払いを約したにもかかわらず、
 当初の契約で定めた報酬しか支払わないこと
・作業量や拘束期間が確定しないため、一定の額を報酬総額として取り決めた後、
 実際に必要となった作業量や拘束時間が、
 自己の当初の見込みよりも少なかったことを理由として、
 フリーランスと交渉することなく契約時に定めた報酬総額を減額すること
・フリーランスは当初取り決めた範囲の役務等の提供が終わっているにも関わらず、
 フリーランスに発注した役務等の一部について、
 フリーランスに事前に連絡することなく並行して自己が実施し、
 重複が生じたことを理由として、自己が実施した役務等に相当する額を
 契約時に定めた報酬から減額すること

(3)著しく低い報酬の一方的な決定
想定例
・短い納期を設定したため、当該役務等の提供に必要な費用等も大幅に増加し、
 フリーランスが報酬の引き上げを求めたにも関わらず、
 通常の納期で発注した場合と同一の報酬を一方的に定めること
・自己の予備単価のみを基準として、
 一方的に通常の報酬より著しく低い報酬を定めること
・自己が報酬の見積金額まで記載した見積書を用意し、
 フリーランスが当該報酬について協議を求めたにも関わらず、
 当該見積書にサインをさせ、
 当該見積書に記載した見積金額どおりに報酬を決定することにより、
 一方的に通常の報酬より著しく低い報酬を定めること
・発注量等の取引条件に照らして合理的な理由がないにも関わらず
 特定のフリーランスを差別して取り扱い、
 他のフリーランスより一方的に著しく低い報酬を定めること
・自己の要請に基づいて、フリーランスが、
 複数回に及ぶ打ち合わせへの出席、人員の手配、
 他の発注事業者との取引で使用することが困難である新たな機材・ソフト
 ウェアの調達や資格の取得を行うことになるなど、
 役務等の提供に必要な費用が増加するため、
 報酬の引き上げを求めたにもかかわらず、
 かかる費用増を十分考慮することなく、
 一方的に従来の報酬と同一の報酬を定めること
・フリーランスにとって不都合な報酬の算定方法を用いることにより、
 一方的に通常の報酬より低い報酬を定めること

(4)やり直しの要請
 想定例
・役務等の提供を受ける前に、自己の一方的な都合により、
あらかじめ定めた役務等の仕様を変更したにもかかわらず、
 その旨をフリーランスに伝えないまま、継続して作業を行わせ、
 提供時に仕様に合致していないとして、フリーランスにやり直しをさせること。
・委託内容についてフリーランスに確認を求められて了承したため、
 フリーランスがその委託内容に基づき役務等を提供したにもかかわらず、
 役務等の内容が委託内容と異なる内容として、フリーランスにやり直しをさせること
・あらかじめ定められた検査基準を恣意的に厳しくして、
 発注内容と異なること又は瑕疵があることを理由に、やり直しをさせること。
・フリーランスが仕様の明確化を求めたにもかかわらず、
 正当な理由なく仕様を明確にしないまま、フリーランスに継続して作業を行わせ、
 その後、フリーランスが役務等を提供したところ、
 発注内容と異なることを理由に、やり直しをさせること。

(5)一方的な発注取り消し
 想定例
・特定の仕事を指示した役務等の委託取引を契約し、
これを受けてフリーランスが新たな機材・ソフトウェア等を調達しているにも関わらず、
 自己の一方的な都合により、
 当該フリーランスが当該調達に要した費用を支払うことなく、
 当該契約に基づく発注を取り消すこと。
・フリーランスに対し、新たな資格の取得を指示し、
 当該資格取得後直ちに発注することを説明して発注を契約し、
 当該フリーランスが当該資格を取得し、
 取引の実現に向けた行動をとっているのを黙認していたにもかかわらず、
 自己の一方的な都合により、発注を取り消すこと
・フリーランスに対し、契約時に定めていない役務等を無償で提供するよう要請し、
 当該要請をフリーランスが拒んだことを理由として、
 フリーランスが既に提供した役務等に相当する報酬を支払わないまま、
 一方的に発注を取り消すこと。

(6)役務の成果物に係る権利の一方的な取り扱い
 想定例
・役務の成果物の二次利用について、
フリーランスが著作権等を有するにもかかわらず、
対価を配分しなかったり、その配分割合を一方的に定めたり、利用を制限すること。
・フリーランスが著作権等の権利の譲渡を伴う契約を拒んでいるにもかかわらず、
 今後の取引を行わないことを示唆するなどして、
 当該権利の譲渡を余儀なくさせること。
・取引に伴い、フリーランスに著作物等の権利が発生・帰属する場合に、
 これらの権利が自己との取引の過程で得られたことを理由に、
 一方的に、作成の目的たる使用の範囲を超えて当該権利を自己に譲渡させること。

(7)役務の成果物の受領拒否
想定例
・フリーランスが、発注に基づき役務の成果物を提供しようとしたところ、
 業績不振に伴い当該役務の成果物が不要になったことを理由に、
 当該役務の成果物の受領を拒否すること。
・あらかじめ定められた検査基準を恣意的に厳しくして、
 発注内容と異なること又は瑕疵があることを理由に、
 当該役務の成果物の受領を拒否すること。
・フリーランスが役務の成果物の仕様の明確化を求めたにもかかわらず、
 正当な理由なく仕様を明確にしないまま、フリーランスに継続して作業を行わせ、
 その後、フリーランスが役務の成果物を提供しようとしたときになって、
 発注内容と異なることを理由に、当該役務の成果物の受領を拒否すること。
・発注した後になって、あらかじめ合意した納期を、
 フリーランスの事情を考慮せず一方的に短く変更し、
 その納期までに提供が間に合わなかったとして役務の成果物の受領を拒否すること。

(8)役務の成果物の返品
想定例
・単に役務の成果物を購入した客から返却されたことを理由に、
 フリーランスに返品すること。
・直ちに発見できる瑕疵であったにもかかわらず、
 役務の成果物の検収に要する標準的な期間をはるかに経過した後になって、
 瑕疵があることを理由にフリーランスに返品すること。

(9)不要な用品又は役務の購入、利用強制
想定例
・購入しなければフリーランスとの取引を打ち切る、
 取引の頻度を減少させるなど、
 今後の取引に影響すると受け取られるような要請をすることにより、
 自己の指定する商品を購入させること。
・発注担当者等のフリーランスとの取引関係に影響を及ぼし得る者が商品を指定し、
 当該商品の購入を要請することにより、購入させること。
・フリーランスに対して、
 組織的又は計画的に自己の指定する商品の購入を要請することにより、
 購入させること。
・自己の指定する商品についてフリーランスから
 購入する意思がないとの表明があった場合、
 又はその表明がなくとも明らかに購入する意思がないと認められる場合に、
 重ねて購入を要請することにより、又は商品を一方的に送付することにより、
 購入させること
・フリーランスに対し、役務等の提供上必要としないにもかかわらず、
  自己の取引先が提供する役務を利用するよう一方的に要請し、利用させること。

(10)不当な経済上の利益の提供要請
想定例
・決算対策のための協賛金を要請し、フリーランスにこれを負担させること。
・契約内容に情報システムの改修・保守・点検を行うことを含まれていない
 にもかかわらず、
 フリーランスに対し、情報システムの改修・保守・点検を無償で提供させること。
・契約上、フリーランスが自己の倉庫まで運送することのみが
 契約内容とされている場合において、
 当該フリーランスに対して、あらかじめ契約で定められていない
 自己の倉庫内における荷役等の役務について、無償で従事させること。
・契約で定められた役務の内容ではなく、
 さらに、発注内容と関連がないにもかかわらず、
 フリーランスに対し、自己の顧客に対する営業活動に参加するよう要請し、
 無償で参加させること。
・フリーランスの顧客リストについて、発注内容に含まれていないにもかかわらず、
 無償で提出させること。
・役務等の提供に付随して提供された資料について、
 使用範囲をあらかじめフリーランスとの間で取り決めているにもかかわらず、
 フリーランスに追加的な対価を支払わないまま取り決めた使用範囲を超えて
 使用すること。

(11)合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
 想定例
・フリーランスにとって発注事業者に役務等を提供したという事実が、
 新たな発注事業者を獲得する上で重要な情報となっているにもかかわらず、
 合理的に必要な範囲を超えて
 一方的に当該事実の公表を制限する秘密保持義務を設定すること。
・フリーランスへの育成投資や役務に対する報酬の額が著しく低いにもかかわらず、
 当該フリーランスに、合理的に必要な範囲を超えて長期間、
 一方的に当該役務等の提供に専念させること。
・既にフリーランスの育成に要する費用を回収し終わったにもかかわらず、
 当該費用の回収を理由として、当該フリーランスに対して、
 一方的に競業避止義務や専属義務を設定すること。

(12)その他取引条件の一方的な設定、変更、実施
・(1)から(11)までの行為類型に該当しない場合であっても、
取引上の地位が優越している発注事業者が、一方的に、取引の条件を設定し、
若しくは変更し、又は取引を実施する場合に、
当該フリーランスに正常な商習慣に照らして
不当に不利益を与えることとなるときは、優越的地位を濫用として問題となる。

D 現行法上「雇用」に該当するときはどんな場合?
1労働関係法令が適用される場合
フリーランスとして請負契約や準委任契約などの契約で仕事をする場合であっても、
労働関係法令の適用に当たっては、契約の形式や名称に関わらず、個々の働き方に
基づいて、「労働者」か、どうか、判断される。

2労働基準法の「労働者」の判断基準
⇒判断されれば、労働基準法上の労働時間や賃金等に関するルールが適用される
(1)使用従属性の判断基準は
ア)「指揮監督下の労働」であること
イ)「報酬の労務対償性」があること--「指揮監督下」の対価であること
(2)「労働者性」の判断を補強する要素
ア)事業者性の有無
イ)専属性の程度

(1)使用従属性の判断基準
ア)「指揮監督下の労働」であること
イ)「報酬の労務対償性」があること--「指揮監督下」の対価であること

ア)「指揮監督下の労働」であること
a 仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無
発注者等から具体的な仕事の依頼や、業務に従事するよう指示があった場合などに、それを受けるか受けないかを受注者が自分でくめることができるか?

(指揮監督関係を肯定とする要素となる例)
・発注者等から指示された業務を拒否することが、
 病気等特別な理由がない限り認められていない場合

(肯定する要素とは直ちにならず、契約内容なども考慮する必要がある例)
・いつくかの作業からなる「仕事」を自分の判断で受注した結果、
 それに含まれる個々の作業単位では、作業を断ることができない場合
・特定の発注者等との間に専属の下請関係を結んでいるために、
 事実上仕事の依頼を拒否することができない場合
・例えば建設工事などのように、
 作業が他の職種との有機的な連続性をもって行われているため、
 業務従事の指示を拒否することが業務上の性質上そもそもできない場合




 
(2)「労働者性」の判断を補強する要素
ア)事業者性の有無
仕事に必要な機械等を発注者等と受注者のどちらが負担しているか等
イ)専属性の程度
特定の発注者等への専属性か高いと認められるか

3 労働組合法の「労働者」の判断要素
⇒認められれば、団体交渉を正当な理由なく拒んだりすること等が禁止
(1)基本的判断要素
ア)事業組織への組み入れ
業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として確保されているか
イ)契約内容の一方的、定型型決定
労働条件や労務の内容を相手が一方的、定型的に決定しているか
ウ)報酬の労務対価性
労務供給者の報酬が労務供給に対する対価などとしての性格を有するか

(2)補充的判断要素
ア)業務の依頼の応ずべき関係
相手方からの個々の業務の依頼に対し、基本的に応ずべき関係のあるか
イ)広い意味での指揮監督下の労務提供
労務提供者が、相手方の指揮監督の下に労務の提供を行っている
と広い意味で解することかできるか等

(3)消極的判断要素
この要素が肯定される場合には、労働組合法上の労働者性が弱まる場合がある
ア)顕著な事業者性
恒常的に自己の才覚で利得する場合を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者か





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折本 徹 行政書士事務所

日本に住んでいるフィリピン人コミュニティを開拓し、相談を受ける事からスタートしました。その後、中国人、ネパール人、ベトナム人などの外国人、取扱う分野を拡げ、経験を積み、20年以上になります。

折本徹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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