経営者は知っておきたい、ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の注意点
フィリピン人家政婦受け入れ 働く女性の家事軽減などにつながるか?
働く女性で、フィリピン人のヘルパーさんを雇いたい、という相談があります。
日本人のご家庭で、
子どもに英語も教えてくれるかもしれない、という期待を込めて、
フィリピン人ヘルパーさんを雇いたい、と考えている人や
現在、海外に駐在している家族で、フィリピン人ヘルパーを雇っており、
日本に帰任したときは、一緒に入国させたい、と考えている人もいます。
上記の件ですが、
日本人が、個人的にフィリピン人ヘルパーを雇う場合、
在留資格が「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」「日本人の配偶者等」のように、
原則として就労制限のない在留資格を得ている人、
「家族滞在」「留学」の在留資格で、資格外活動許可(原則1週間で28時間以内の就労)を得ている人、
ではないと、個人的に雇えませんし、
又、駐在している家族が、帰任時に、フィリピンヘルパーを日本に伴うことは、難しいです。
基本的に可能なケースは、外国人で、
既に、在留していて、13歳未満のお子さんがいたり、
病気のため、日常の家事ができない配偶者がいるご家庭や、
日本に入国する前に、上記のような家庭で、ヘルパーを個人的に雇っている場合は、
可能性は有ります。
職種としては、経営者・弁護士・会計士などで、
該当する在留資格を得ている必要があります。
日本人向けでは、
東京都、神奈川県など限られた地域にのみ許可を得ている
外国人家事支援人材制度を利用するしかないです。
外国人家事支援人材を行っている会社で、人材を探してもらうことになります。
下記は、外国人支援人材の概要です。
[概要]
国家戦略特区でフィリピン人家政婦の受け入れが始まります。成功するかどうかはこれからの運用次第ですが、働く女性の家事負担軽減や家政婦の労働力不足の解消につながることが期待されます。
[フィリピン人家政婦受け入れへ]
国家戦略特区で外国人家事支援人材(本文では家政婦)の解禁を決定し、パソナや保育大手のポピンズがフィリピン人家政婦を受け入れ、4月からサービスを本格的に始めるということです。
では、なぜフィリピン人なのかということですが、フィリピン人は海外で働くことについて国のバックアップ体制がしっかりしていることなどがあるようです。
報道によると、フィリピン政府の発表では、2013年末現在で、フィリピンの人口の1割にあたる、約1,023万人が、フィリピン国外で暮らしているのだそうです。
フィリピン人は、英語も堪能なことから、世界中で看護師、技師、船員、ホテル従業員
等々として働いて、こうした人達は、OFW(オーバーシーズ・フィリピ―ノ・ワーカーズ)と呼ばれているそうで、フィリピン中央銀行によると、2014年の送金額は、243億4,800万ドル(約2兆9,200億円)で、フィリピンの国内総生産の1割に相当するそうです。
フィリピン技術教育省の調べでは、家政婦などとして働く人を育成する企業や機関もあり、海外に家政婦を派遣しやすい基盤があるようです。
では、今まで日本では、家政婦のような仕事で在留資格を付与することを、まるっきり認めていなかったのかと言えば、そうではなく、限定的に認めています。
外交官又は領事官など入国管理局が定めている外国人との間で個人契約をして、使用人として家事に従事することは認められています。
ですので、今回の制度は、日本人の家庭も対象にした、修正拡大版なのかな、と思います。
[フィリピン人家政婦受け入れのメリット、デメリット]
この制度は、女性に働いてもらう上での家事負担の軽減及び家政婦の労働力不足を解消しようという考えで検討され、国家戦略特区で実験してみよう、となったと推測しています。
しかし、本当に働く女性の家事負担の軽減になるのかどうかは始めてみなければわからない、が現実だと思います。
フィリピン人家政婦と会話などのコミュニケーションがとれるのか、家の中に入れるのは抵抗がある、と考える女性も少なくないと思いますし、又、児童や要介護者への対応が現実的に可能なのかということもあります。
このことについては、例えばどの業務を行ってよいか、そしてダメなのか、が決められています。
炊事、洗濯、掃除、買物等の家事一般の業務は行えますが、児童については、日常生活の世話及び必要な保護は良いが(児童の送迎も含む)、あくまでも家事一般の付随的なものであること。
要介護者については、付き添いや手伝い、例えば、食卓への利用者の移動の手助け、買い物などの外出時の付き添いや、それに伴う衣服の準備及び着替えの手伝いは良いとされています。
一方で、要介護状態の軽減又は悪化の防止等に資するために行う、入浴、排せつ、食事等の身体介護を提供する行為は含まない等々、と決められており、専ら、保育士や介護職員のような仕事をさせてはいけない、なっています。
又、待遇面でも、受け入れ企業との間で雇用契約を交わす、日本人と同等額以上の報酬、保証金の徴収等の禁止、住み込みは不可で住居を確保しなければならない等々が決められています。
尚、受け入れ企業も、様々な要件が決められていて、ポピンズやパソナのように実績があり、財務基盤がしっかりしている企業が該当するようで、どの企業でも良い、とはならないようです。
受け入れ企業側でも、家政婦として派遣するので、目が届かないことが不安かもしれないので、入国直後の研修や、当初は、先輩の日本人社員と同行させるなどするようです。
[フィリピン人家政婦が使い捨てにならないような対応を願う]
では、どのようなフィリピン人家政婦が選ばれるのか?ですが、家政婦としての知識や経験、その実務経験1年以上や日本語能力のN4レベル等が求められています。
各種の報道を読むと、受け入れ企業は、フィリピンの人材派遣大手のマグサイサイグローバルサービス社に委託して、事前に研修しているとのことで、パソナでは、400時間の研修を実施し、そのうち約100時間は日本語の指導をし、他にも、家事や日本食の調理の仕方などを教えており、研修者の中から選抜するようです。
又、ポピンズでは、大卒で看護師資格の保有者を選んでいるようで、両社とも、優秀なフィリピン女性が入国するのかな、と思います。
でも、そのようなフィリピン女性が入国しても、家政婦としてずっと日本に滞在することができず、最長の滞在期間は3年間です。
仮に、この制度を長く続けるとしたら、3年間終了したとき、入国してきたフィリピン女性はどうするのか?があります。
個人的には、ステップアップできる道を示してあげたらどうか、と思います。
日本語の勉強もして入国しているし、入国後も日本人家庭に派遣されるので、日本語も使用するし上達するはずです。
ですので、3年間終了したら、大学を卒業していないフィリピン女性でも、働く在留資格「技術・人文知識・国際業務」の通訳の活動を認めることや、彼女たち向けの家政婦検定試験を創設して、それに合格すれば、引き続き働くことができる、などを検討して欲しいです。
使い捨てみたいなことは避けて欲しい、と切に願います。
そして、国家戦略特区でこの制度が定着し、全国に広がっていけば、結果として、日本とフィリピンの更なる友好に繋がりますし、私の仕事の経験から、フィリピン女性は日本に住むと、日本に親しみを持ってくれやすいので、この制度を成功することを期待しています。
外国人の家事支援人の受け入れの経緯
国家戦略特区/外国人家事支援人材
-外国の需要を日本国内に取り込む&外国の人に活躍してもらう-
神奈川県、大阪府に続き東京都でも検討か?
2016.7.26の日本経済新聞の記事によると、
2016年11月より、家事支援代行サービスが、神奈川県で開始されることになったようです。
ダスキン、パソナ、保育大手のポピンズがフィリピンから数十人受け入れることになった
そうです。
パソナで25-30人、ポピンズで10人程度のフィリピン人の採用を予定しているとのこと。
フルタイム雇用で、雇用期間は最長3年間、
日本人同等額以上の報酬を払うことになっていますが、
日本人による家事代行サービスはパートで月換算12-18万円程度
(1時間当たり4-5千円程度)。
日本人が外国人の家事代行を受け入れてくれるか、どうか、
が、焦点でしょう。
外国人の家事支援人材とは?
国家戦略特別区域法より
1 家事支援活動の業務範囲
・炊事、洗濯、掃除、買物等の家事一般
・上記と併せて実施される児童の日常生活上の世話及び必要な保護
・掃除については、床、水回り、炊事場の清掃のほか、家具等の清掃も含む
・児童の日常生活の世話及び必要な保護は、児童の送迎も含むが、
保育所等における保育の替わりとして、行ってはならない。
・家庭において日常生活を営むのに必要な行為については、裁縫、荷造り、
郵便・宅配等荷物の受取、寝具の整備、庭の手入れ等は、含む
・要介護者等の高齢者等を含む家庭での注意事項については、公的介護保険
等の保険給付等を行うことは想定していない。
利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止等に資するために行う、入浴、排せつ、
食事等の身体介護を提供す 行為は、含まれていない。
ただ、要介護者等の付き添いや手伝い、例えば、食卓への利用者の移動の手助け、
買い物などの外出時の付き添いや、それに伴う衣服の準備及び着替えの手伝いは含まれる。
2 家事支援を行う外国人の要件
・満18歳以上
・実務経験1年以上
・家事支援活動の知識/技能を有している
(出身国等において一定の研修の修了し、当該国政府の認定資格を保有し、
かつ、当該国による国外就労のための許可を受けている者。
更に、日本の生活習慣に関する研修を修了していること)
・必要最低限の日本語能力(N4程度) 等々
3 特定機関(受入企業)と家事支援を行う外国人
・雇用契約を交わす
・日本人と同等額以上の報酬
・保証金の徴収等の禁止
・必要な研修を実施すること
・通算して3年以上行わせてはならない
・住み込みは不可で、住居を確保しなければならない 等々
4 特定機関(受入企業)の要件
・指針に即した措置の実施
・経済的基礎
・日本での事業実績3年以上
・欠格要件の非該当(法令違反、暴力団など) 等々
*第三者管理協議会(関係自治体、内閣府地方創生推進室、地方入国管理局、
都道府県労働局、地方経済産業局で構成)が監査機関となる
3の条件を満たしつつ、特定機関になれるのか、どうか、事前に相談をする。
5 特定機関(受入企業)と利用世帯は、家事支援活動提供に係る請負契約を交わす
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