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寺田淳

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寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

警告)郵便貯金には時効があります!

2018年12月12日 公開 / 2021年3月2日更新

コラムカテゴリ:法律関連


【今日のポイント】

 貴方のお手元に画像にあるような「通帳」はありませんか?

もしかするとその貯金は既に国庫に収まっているかもしれません!

意外に知られていなかった郵便貯金の中で、定額、定期、積立貯金には「時効」があるのです!


【郵便貯金には時効あり!?】

 この11月に新聞の紙面等で告知されていたのですが、郵便貯金のうち、定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金については満期後20年と2カ月を過ぎた場合、貯金の債権は消滅します。 消滅後はそのまま国庫に帰属することになり、時効後の救済措置は現時点では一切ありません。 完全に自己責任での債権放棄扱いになるのです。

 なんと、その額が2015年度で約150億円! 2016年度でも約68億円が「個人から国庫へ」納められているのです。

【満期後から20年2カ月】

 ここで念のために説明しますが、預け入れてから20年2カ月ではありません。満期を過ぎて20年2ヵ月です。具体的には1998年10月に満期を迎えている当該郵便貯金をお持ちの場合、今月で時効になり、1月には消滅することになります。 

 いわば、通帳の紙面上では金額が残っているものの口座には1円も残っていなくなるのです。

 さらにこの貯金、満期後は利息は1円も付きません。 元本に満期時までの利息が付いた状態で保管され続けるだけです。 ですから満期後に預けておくメリットは全くないのです。 無いどころか、この時効の存在のおかげで満期後はデメリットというかリスクだけが残ることにもなるのです。

 
 ここで念のために言いますと、「通常の郵便貯金」、今ではゆうちょ銀行の「通常預金」についてはこの規定は適応されません。気付いたら残高なしということにはならないのでご安心を。

【関連する疑問】

 この様な措置は郵便局だけはありません。 銀行では取引実績が無くなって10年以上経過すると「休眠口座」に移管されます。 ただ銀行の場合は入出金の事実があれば休眠とは見做されませんから、1円の出し入れだけで休眠口座行きは免れます。 ではこれと同じような行動をすれば、郵便貯金でも時効は停止するのではと問い合わせがありましたが、当該の郵便貯金は定期・定額でその都度記帳することもありませんし、普通貯金と異なり一部を換金する事も出来ません。解約か継続かの選択しか出来ません。 またアナログですが、例えば最寄りの郵便局の窓口に当該の通帳を持参して、「この通帳の存在、忘れていませんよ!」と釈明しても、何の意味もありません。

 対策としては、解約して改めて契約し、新たな通帳で管理する、もしくは通常預金に全額預け入れる等の行動でしか「虎の子」を手元に残しておくことは出来ないのです。

【銀行での対応は?】

 冒頭で銀行の休眠口座に触れたので補足しておきますと、2019年1月から「休眠預金等活用法」が施行され、最後の取引から10年以上経過した口座は休眠口座に認定され、預金保険機構に移管されます。見方によっては時効は10年で、郵便貯金より厳しいとも思えますが、最大の違いは10年以上経過してもこちらには救済策があります。

 口座の名義が正しく本人と同一であることが確認出来れば払い戻しに応じるのですが、煩雑な手続きになることは避けられず、無用な時間と手間を強いられることになるでしょう。

 また、1万円以上の残高のある休眠口座(予備軍)には取引銀行からその旨の通告がされますが、1万円未満であればそれはされませんし、1万円以上の場合でも届出の住所を更新していなければ、通知が届かない為、そのまま休眠口座に移管されることも予想されます。
 

【裏話ですが】

 最後に公表しますが、この記事は昨日急きょ作成し、予定外に投稿したものです。
実はトップの画像はたまたまこの日曜に開催したエンディングノートのセミナーに参加された方とのやり取りの中で発覚した相談者の持ち物です。 何と期限は来年の1月まででした!! まさに滑り込みで「時効」は免れたのでした。

 一般的には銀行でも郵便局でも定期預金と言えば、それなりの金額を預けると思われます。上記したように銀行の場合はまだ後からの手立てが用意されていますが、郵便貯金の場合は「消滅」後の救済は一切ありません。となれば、物心両面に相当なダメージを生じさせるのは必至でしょう。 

 特に高齢の親がこの手の通帳を持っているのであれば、至急その内容をチェックする必要がありますし、中には自分自身で通帳の存在を失念しているケースもあるかもしれません。 家族間で是非この話題を採り上げてもらいたいものです。


 
 

この記事を書いたプロ

寺田淳

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寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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