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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

転送届の基礎知識

2018年8月30日 公開 / 2021年3月2日更新

コラムカテゴリ:法律関連

           

【今日のポイント】

 今日は前回のコラムで最後に触れた郵便物の転送に関する基礎知識について、紹介したいと思います。

【転送届の基礎知識】

 まず、厳密に言えば「転送届」という手続きはありません。
あくまでも転送は「転居の手続きの一環」となっているからです。

 転居(転送)届を出す場合は、本人確認書類(免許証等)と印鑑を持参して必要な届出の手続きをします。
仮に転居する当事者本人が郵便局に出向くことが叶わない場合は、同居の親族が代理人として身分確認が出来る公的な証明書と印鑑の持参で手続きをすることになります。 但し、届出は転居する当事者本人の自書が原則です。

 では、本人が既に自書も困難な状態であったり、タイミング悪く利き手を怪我して自書が困難な場合はの場合は? この場では解説は差し控えますので、直接窓口で確認をお願いします。 最近は個人情報の観点からこの手の紹介はなかなか微妙な問題を含んでいますのでご了承下さい。

 では、前回採り上げたような遠くの実家が当面空き家になる、その期間だけでも子供である自分の住まいの方に親宛の郵便物を転送してもらうことは出来るでしょうか? 残念ながら、ある意味当然ながら 回答は「否」です。

 正真正銘親子である! 親も了解している!と主張しても、親子揃って窓口に出向いたとしても、同じことです。

 親子だという証明があっても、親がその子の家に滞在しているという証拠は何もありません。
 親が転送を望んでいるかどうか、親子一緒の場合は逆に真意の確認が難しい場合があります。
 極端に言えば親子(と自称する者が)が本当にその家の住人かどうかの確認も出来ません。
 
 転居という確実な事実があって初めて転送というサービスが開始されるのです。

【局留めという選択】

 では、せめて空き家の自宅に郵便物が溜まることだけでも防ぐことは出来ないでしょうか?
最も適している手段としては、「局留め」の届けをすることです。

 郵便局の局留めとは、郵便物を自宅等に配達せずに郵便局内に留め置きにし、自分から窓口に取りに行くシステムのことです。
私書箱とも違います。誰でも簡単に無料ですぐに利用できます。原則として郵便局を指定可能ですから、自宅近くの郵便局を指定すれば遠くの実家に行かずとも郵便物を受け取ることが可能になります。

 但し、最大の問題は差出人にその旨を事前に伝えておかなければいけないという点です。 そして、差出人を知っているのは、当事者だけというケースが一般的なのです。

 仮に長期入院を勧められた、短期の介護入院する等、ある程度の準備期間が与えられた「長期不在」の場合は、受取人である当事者によってこの手続きをすることは可能でしょう。 ですが突発的に長期の不在を余儀なくされたような場合、家族や相続人は差出人を知る由もありませんから、この手は使えません。

 詳細については以下のリンクを参照して下さい。 
郵便局留めについて
 

【事前準備がすべて】

 こう見てくると、やはり事前の情報の提供や共有化こそが問題を最小限に留める最適な手立てという事となります。 個々の事情はあるでしょうが、不本意な迷惑を家族に強いることにしない為には、事前に伝えておく、または記録として残しておくことは大切ですし、もう一歩踏み込んで考えれば、本人が元気なうちに契約の見直しや解約を済ませておくことも重要です。

この記事を書いたプロ

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