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桐生英美

中小企業の経営を支える人事総務コンサルタント

桐生英美(きりゅうひでみ) / 社会保険労務士

日本経営サポート株式会社

コラム

社員が長期にわたって休む時

2020年8月28日

テーマ:労務管理

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 就業規則 作成労務管理

社員が仕事以外の事故、病気、ケガなどで長期にわたって休むことを余儀なくさ
れることがあります。

そういう時には会社は「休職」という手続きをします。

この「休職」とは何でしょうか?

これは、雇用契約は継続しているが、働く義務は免除されているという状態です。

この休職はの制度は、就業規則などで休職期間や条件を決めることができます。

つまり、必ずしも決めなくても良い規定なのです。

なので、休職という制度を、会社で作るかどうか、を決めます。

そして、作るのであれば、
・休職期間をどれくらい設定するか
・休職中の条件
これらについては、会社が自由に決められます。

休職の期間については

社員一律に、1年間、6ヶ月間、3ヶ月間としても良いです。。

よく見られる例としては、

勤続年数に応じて

勤続1年以上3年未満の者 3ヶ月以内

勤続3年以上の者     6ヶ月以内

とするケースです。

休職となる条件も会社が自由に決められます。

就業規則に記載するなら、下記のような文例になる。

業務外の傷病による欠勤が
3ヶ月以内で通算30労働日にわたったときで、
その傷病が治癒しないとき
業務外の傷病により完全な労務提供ができず、
その回復に一定期間を要するとき

と条件を明らかにすることが必要です。

次に、休職をどう与えるかを記載します。

規則に記載するのは、一般的に次の2つ書き方があります。

A)休職を命ずる

B)休職を命ずることがある

とても似ている表現ですが、意味は異なるので理解しておく必要があります。

Aは休職の条件が発生すれば必ず休職させなければなりません。

休職の条件が成立すれば、

会社は休ませる「義務」が発生すると共に社員は休む「権利」が発生します。

しかし、Bの場合は、必ず休職させなくても良いということです。

会社に決定権がある状態です。

この場合には、休職に該当する条件が発生しても、

会社が認めなければ、「休職」にはなりません。

どちらが良いか?は、会社の判断です。

「強制的に休職になるか」
「任意で休職させるか」の大きなポイントは

社会保険料の問題に関わってきます。

休職なので、給料は発生しません。

しかし、社会保険料は「会社分」も「本人分」も負担します。

例えば、休職期間が「6ヶ月」と決めると、この期間は会社は社会保険料を負担しなければならないのです。

給料は、0円なので本人から徴収することができません。

ということは、本人分も一時会社が立て替えることになる。

最悪のケースは、社員から回収できなくなることもありえます。

会社にとっては大きな負担となります。

次に問題となるのが「復職できない」場合の対応です。

例えば、うつ病などで休職した社員の休職期間が終わり、社員は復帰したいと考えている場合を想定してみます。

会社の判断は、復帰不可という場合もあるでしょう。

会社としては「通常業務ができなければ、期間満了で退職」としたいと考えます。

しかし、社員は「復帰できるのに、認めてくれない」となります。

通常、社員の主治医、会社の指定医などの意見を基に、会社が判断することとなる。

会社の判断の結果、社員が納得できなければ、労務トラブルに発展することも考
えられるます。

さらには、解雇した場合には、「不当解雇である」と裁判所に訴えられる可能性も出てきます。

このトラブルを避けるためのポイントは休職させる前に
「休職に関する覚書」を交わし、上記と同じ内容を就業規則にも記載します。

これは、休職期間が終わっても傷病が治っていない場合に、「自然に退職する」ことを確認するためです。

このように最初に合意をしておくとトラブルは少なくなります。

休職は会社が「独自」に定義できる制度ですが、不十分な内容になっていることもよくあり、
トラブル発生の原因にもなっている部分でもあります。

覚書、就業規則に書くべきことを書き、
きちんと運用していくことが大切だと考えます。

この記事を書いたプロ

桐生英美

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桐生英美(日本経営サポート株式会社)

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