『山月記』読解の最重要ポイントは?ここだけきっちり押さえましょう!
「気に入った場所」「それについての簡単なすじ」「思ったこと、感じたこと」、の準備が整ったら、実際に感想文を書いてみましょう。もちろん、最初に書くのは「下書き」です。学校で配られる原稿用紙は「清書用」にとっておいて、別に原稿用紙を購入して下さい。袋入りのものでもいいですし、ハギトリ式で綴じられた冊子タイプのものもあります。またワードの「原稿用紙の設定(ページレイアウトの中にあります。B4にするのがいいでしょう)」を利用してもかまいません。
題名の書き方、氏名の書き方は、学校・先生のいつもの方針通りに書いて下さい。一般的には、一行目の上3マスか2マスあけたところから、題名を書きます。例を挙げると、
『ごんぎつね』を読んで
というのが、ごくごく一般的な書き方です。ただし、ほかにも書き方はあります。
「ごん」のために思ったこと
言葉が話せればよかったのに
なども、ありうるところでしょう。要は、小学生の読書感想文として許容される内容であればいいのです。ただ悩むようなら、最初に挙げた書き方で十分です。
さて、本文の書き出しにも、おおむね二通りの書き方があります。
一つ目は、はじめに大づかみな感想を言い切ってしまう方法です。『ごんぎつね』を題材として、例を挙げます。
<ぼく(わたし)は、『ごんぎつね』を読んで、ごんの気持ちも兵十の気持ちもわかるけれど、やっぱり最後にごんがうちころされてしまったのは、かわいそうだと思いました。>
というような書き方です。この場合、「なぜなら・・・」というように、そのまま内容に入って行く流れになります。
二つ目は、感想ではなく、作品の内容をはじめに言い切る書き方です。
<ぼく(わたし)は、『ごんぎつね』を読みました。この物語は、いたずら好きなきつねの「ごん」が、村人の兵十がとったうなぎをぬすんだあと後かいし、くりや松たけを兵十の家にとどけていたのに、それを知らない兵十に、てっぽうでうちころされてしまうお話です。>
この場合、あらすじを最初に言ってあるので、感想を順々に述べて行く流れとなります。
いずれにも一長一短がありますが、読んだ作品そのものの性質や、お子さん自身のフィーリングで、どちらにするか決めればよいことです(私のところの授業では、本を読み終わったあと、「枠」などの作業に入る段階で、どちらにするか決めさせています。あとの「作業」の手順にも、多少影響があるためです)。
それでは、「書き出し」のタイプごとに、感想文の本題に入って行く方法をお教えします。
書き出しの①、はじめに大づかみに感想を言い切る場合は、次のようなかたちで、「気に入った部分」の一番目へつなげて行きます。「気に入った部分」は、「ごんがうなぎをぬすんでかみ砕いてしまったところ」です。
(書き出し部分、再掲)
ぼく(わたし)は、『ごんぎつね』を読んで、ごんの気持ちも兵十の気持ちもわかるけれど、やっぱり最後にごんがうちころされてしまったのは、かわいそうだと思いました。
なぜそのように考えたのか、順番に説明します。
ぼく(わたし)が最初におもしろいと思ったのは、兵十がとったうなぎや魚を、ごんが逃がしたり、ぬすんだりしたところです。うなぎがごんにまきついたので、どうなるかと心ぱいしましたが、頭をかみ砕いてしまったのが、やっぱりきつねらしいと思いました。
このあとごんは、そのうなぎを兵十がおっかあのためにとったのだと知り、後かいしますが、はじめは何も知らずに、ちょっとしたいたずらのつもりでやったことだから、ごんには悪気はなかったのだと考えました。
・・・・・・・・(後につづきます)
書き出しの②、はじめにおおまかなあらすじを言い切る場合は、こんな感じになります。
(書き出しを再掲)
ぼく(わたし)は、『ごんぎつね』を読みました。この物語は、いたずら好きなきつねの「ごん」が、村人の兵十がとったうなぎをぬすんだあと後かいし、くりや松たけを兵十の家にとどけていたのに、それを知らない兵十に、てっぽうでうちころされてしまうお話です。
ある日ごんは、兵十が川でうなぎや魚をとり、びくに入れているところを見つけ、兵十がはなれたすきに、魚をみんな逃がし、うなぎの方は首にまきつかれたので、かみ砕いてころしてしまいました。
ぼく(わたし)は、うなぎがごんの首にまきついた時、どうなるかと思い、ひやひやしました。でもかみ砕いてころしたので、やっぱりきつねだ、すごいな、と思いました。
ところが、そのうなぎは、兵十が病気のおっかあのためにとったものだったのです。・・・・・・(後につづきます)
このようにして本文を書きはじめたら、同じ要領で、「気に入った部分」と「そのかんたんなすじ」、そして「思ったこと、感じたこと」をつなげて行きます。つなげ方、つまり接続詞の使い方や、前の段落の結びとの、文末の整合などについては、どうぞ親御さんも気をつけて見てあげて下さい。
感想文の本体は、これまでに述べたすすめ方で、完成しました。ただ、これで終わりではありません。仕上げとして、「結び」の段落が必要です。
「結び」は、「書き出し」と呼応させる点にだけ、注意して下さい。その上で、読んだお子さんが感じたとおりのことを、素直に書くのが一番です。だいたい、ここまでの流れに沿ったまとめができていれば、最後の一段落の感想は、自ずと出てくるものです。
そして、ここにこそ、子どもが一冊の本を読んで何かを感じ、何かを得た、そのエッセンスが凝縮されるわけですから、特に内容面には口出ししないのが理想です。結びの分量は、4~5行の一段落でかまいません(多い分には問題なし。ただし内容の重複は不可)。このように、「結び」が書けたら、これで感想文は完成です。
お子さんたちが楽しく、内容のある感想文を書けるよう、この文章がすこしでもお役に立つように、願っています。
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小田原漂情
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