「切り方」は、もっと、評価されてイイ

熊澤彰

熊澤彰

テーマ:シェフの技

ふぐのたたきー古伊万里染付皿

切った面から、美味しい とわかるか?


切り技が速い、というのなら、動画になります。

キレイに盛り付ける、とか、ちょ~薄切り、というのも、目に見える。

画像の、「天然ふぐのたたき」も、薄切りで、美味しそうですね。

でも、本当に、美味しいんでしょうか?

いや、美味しいんですけどね、

自分が切ったお刺身だから、こんな調子で そのまま、話を続けます。

お口に入った瞬間、「あ!」

となる、「達人の切った切り口」、というのは、確かに あるんですが、

その技は、まだ、顕微鏡の世界、でして、

顕微鏡を持ち出した瞬間に、お料理のお話から、

科学のお話に、お話が変わってしまいます。

「百聞は一見に如かず」っていうから、youtubeも流行ったのに。

残念ですね~

「あの人の切る刺身はスゴイ」

って、もっと そう人が前に出ても、良いと思うんですが~ 

簡単には まだ、見せようが、ない。

残念だなぁ~。

実際、達人が お刺身を切っていても、

一般の方には、ご自分と、どう違うのか、わからないと思います(笑)

ドリップ、ドリップ、ドリップ!


ドリップ

マグロのお刺身を作って、

どっちが先にドリップが出るか、の勝負のシーン。

板さんの超人的な腕前を表すのに、

1980年代の少年雑誌にあった料理人漫画では、定番でしたね!

切ったお刺身の ヘリ から、ぽたり、しずくが垂れる、

これが、ドリップ。

切り口の筋繊維が揃わず、細胞膜が潰れると、ドリップが出やすい。

わかりやすく申すと、

下に敷いた ツマ に、赤~く、お刺身の色が付いている、ソレですネ。

確かに、美味しく切られたお刺身は、ドリップは出にくいです。

このドリップが出にくいのは もちろん、

その、上。

舌先に乗せた時に、別次元の「旨さ」を感じる 切り方。

これを できる方を、たとえば「達人」と呼びましょうか。

この、達人の切り技、

言葉で言うのはね、案外に簡単です。

動いてゆく、包丁の切れる部分と、自分の切りたい部分を合わせ、

そこに、「むー」と 長いひと呼吸で、「切り気」を集中させて、切る


ね。

そうすれば、切れた面の筋繊維を潰さず、揃えて切れる、

要するに、

美味しく切れるんですが、

「ほぼ、精神論にしか聞こえない」ですって?

う~~ん。。

こうした言葉を ご存じなくとも、

もう、わかっている方は、いらっしゃいます。

実際、私が組合の ふぐの模擬試験で、未来のふぐ職人さんに説明するとき、

「貴方の包丁の切りたい部分が、多分、1センチずれてますよ」

と、私が申し上げると、

ハッとした、プロの方がいらっしゃいました。

ね。板さんたちはね、こんな世界で、お話しているんです~

和包丁で、ヘタな切り方をするくらいなら、

牛刀の方が、かえって使いやすい。

板さんにとって、

包丁は、見世物ではなくて、究極に誂えられた、道具です。

これを、伝えたくて。



この動画は、以前、包丁の切れ味に関する動画を、私のしゃべりでこさえました。

見えないものを説明する、って、難しいんですよ~

でも、見えないから、と言っても、

常人とは別領域の技を身に付けた達人は、確かにいらっしゃいます。

達人が切ると、切り口の舌触りが、全く違います。

でも、それを 言い表せる言葉、といえば、それも あまり無くて、

「旨い。」

今あるのは、多分、これだけ。

こういう、

切り手の技、というポイントは、もっともっと、評価されて良い、と思うんです。

達人は、思わぬところにも、居る


私が知っている、

スーパーの「お寿司詰め合わせ」を作っている方にも、

多分、そんな達人が いらっしゃいます。

お会いしてもいないし、勿論、残念ながら、打ち明けてもいません。

ですが、間違いなく、天才級の、達人です。

閉店間際に買っても、ドリップも出ないし、

特売になったものを、持ち帰っても、う、うまい・・・!

それで、私は小田原まで、足を延ばして買いに行くことがあります。

え、小田原の、どのスーパーか、ですって?

それは、内緒(笑)



<毎週日曜・水曜 12:30に更新します>

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熊澤彰
専門家

熊澤彰(ふぐ調理師)

ぎんざ姿

ふぐ調理師として40年以上の技術を、銀座で1日1組、最大6名の個室「ぎんざ姿」でふるう。自ら日本全国を渡り歩いて選んだ食材は、店舗と、オンラインショップで入手可能。

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