漢方を復活へと導いた人物とは?
漢方の症状は太陽病から厥陰病まで、表から裏へと進行していくのが常だとされています。
罹患した当初は表の部分に蔓延り、徐々に体の中へと場所を移していく病は単に症状が変化していくだけではなく、より重篤な状態へと向かって進んでいきます。
ですが、多くの法則に例外があるように、可逆的な病期の進行は実際にはそう単純ではありません。疾病の原因が複数存在する、いくつかの症状が絡まり合っていることもよくみられることなのです。
疾病の原因はひとつであっても、症状が多岐にわたっているケース。つまり、太陽病である発熱や悪寒と、少陽病である嘔吐や食欲不振が同時に現れているような状態を指して、漢方では合病と呼んでいます。
合病では症状の分散はみられますが、病の根源はひとつです。従って、そこに集中した治療を施すことで快方へと向かっていきます。
一方、合病とは違い、ひとつの病期が治りきらないうちに異なる症状が出てくることだって有り得ます。
漢方ではそういった状態、例えば熱が引かないうちに次の病期である少陽病を短い時間で通り過ぎ、腹満、便秘の症状(陽明病期)が並行して出てくるような場合を併病と呼んでいます。
端的に言えば、合病とは太陽病と陽明病が同時にみられる場合、併病とは病期が移行する際、前の病期が消えないうちに次の病期が現れる場合を指すのです。
上述したように複数の症状がみられるときは、どこから手をつければ良いのか迷ってしまうことがあるかもしれません。
このようなときに指標となってくれるのが、漢方で言われている先表後裏の原則です。
これは、まず表に属する病の治癒が先であり、その後に裏の治療に取り掛かるということを指南しています。
この法則は理にかなっており、このような順で治療を施さなかった場合は時に、病が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
しかし、こちらにも例外があります。
体の内部で起きている症状が重く、命に関わるようなケースでは治療の順番が変わることがあります。
これを先急後緩と呼び、場合によってはこちらを優先することもあるのです。